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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
確かめるように触れた大きな手
寒さが少しずつ肌に感じるようになり、紅葉や服の袖の長さなどが秋へと変わりゆく頃に、目の前を一枚の葉がふわりと舞い落ちる。
アーニャはいつものように取り出した携帯カメラでその瞬間を撮ろうと思うのだが、一瞬を写し取るのは難しく地面の上で他の落ち葉と同化した光景を撮る羽目になった。
無表情でわかりづらいが、眉を少しだけ寄せて難しい顔をしたアーニャの背後から、そっと差した大きな影。
逆光に隠れて顔が一瞬見えずいないはずの父親の姿を重ねてみたアーニャは、大きな目を凝視したまま細めると、ぼやけた顔がはっきりと見え出した。
日本人の黒髪と違う異質な色、老人の白髪とは違う光沢のある色、それは並木道の中でもその存在感をうすらせることのない、綺麗な灰白色はライの髪。
秋というよりも冬のイメージに合うその色は、確かにアーニャの好きな色だった。
無言でカシャリと携帯カメラで撮ったアーニャに、一瞬ライはょとんとしたものの、すぐさまその表情はいつも向けられる優しいものに変わる事をアーニャは知っていた。
仕方ないないなと言いたげに細められた瞳と白い肌の上小さく苦笑を浮かべる薄い唇、伸ばされた手はどこか優雅な仕草で、アーニャの頭へと運ばれる。
撫でる手はいつも暖かくて小動物を愛でるように優しい。
「熱心に何を見ていた」
ただ眺めていただけなのだが、ライには熱中しているように見えたらしく、否定することもなくアーニャは小さな口を開く。
「秋探し」
「秋探し?」
「日本には四季があるから」
ふっと空と紅葉を見上げたアーニャの視線をおって、ライもああと感嘆な声を上げ隣に並んだ。
「僕は他所の国は知らないけれど、確かにこの国は四季の移り変わりと共に風景も様変わりするな」
物珍しくも興味深いともとれる発言に、アーニャはライへと一瞥する再び視線を上に戻す。
以前までいつも傍にいたのは、歳の近いジノかもしくは他のナイトオブラウンズの人達だった。
プライベートまで一緒に過ごしたわけではなかったが、それでもめぐってくる季節に以前と同じ日に、別の人が当たり前のように傍にいることがなんだか不思議ではあったが、それが運命だというのなら、もうあの時のように一瞬を逃さないようにしようとアーニャは、手を伸ばしてライの手を握る。
ライが気づいて視線を向けたものの、アーニャは何も言わずただ見上げた。
二人には言葉はなかったが、確かに手の中に温もりと繋がりのようなものがあるように見えた。
それは感嘆にほどけてしまうくらいに脆くも、確かに存在する赤い糸だったのかもしれない。
終わり