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コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
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★2012/07/09 (Mon)
休んでいる合間にも、訪問者様、拍手を押してくださった方々、ありがとうございます! <(_ _)>

幼少期のライと契約者との出会い。

お話は、続きからになります。

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Cry for the moon



1つの大陸に複数の国があり、それぞれが領地を広める為にと戦争を始める。

 巻き込むのは、人。
          犠牲になるのも、人。

 そこに一時的な狂喜は得たとしても、幸せとは違う。

 戦いを、愚かと謡うのも、生きる為の何かを得るための強さと捕らえるのか、それもまた人の成り立ち。 


 遠くに聞こえるは、子供の泣き声と、人の悲鳴。

 荒れ果てた街の残骸には、ところどころ炎が上がる。

 そんな街中を子供一人が走っていた。
 追いかけてくる複数の騎士から逃げるように。
 息も苦しくなり、足に疲れが蓄積されたとしても、止まれなかった。


「あ!」


 急ぎ行く足が絡んで、その場で躓くように倒れる。
 手を差し伸べる手も受けいるものもない。
 地面を打った痛みに顔をしかめるが、追っての声が聞こえ目を見開く。


「此方に走ってきたはすだ。手分けして探せ!」

「ハッ!」


 怖い怖いと恐怖を物語る揺れる瞳、身を震わすようにそう思ったのは、やつらが自分を殺す為に追いかけていることだけ。
 捕まえることが前提のはずなのだが、抵抗するのならそれも厭わないと騎士が集まっていた場所に偶然居合わせた、少年はその場を逃げるように走ってきたのだ。

 そのときの物音によって、こうして追いかけごっこが一方的に始められていた。

 少年は、痛む足を庇うように無様に地面を這うようにしてその場を逃れ、物陰に身を潜めた。
 息切れの残るままに、壁に寄りかかる。
 貴族と思わしき服装は、薄汚れたもののとなっていて、その白い肌には土の汚れが付いてあり、また膝からは血が流れていた。

 痛みはあったが、折れるほどのものではなく、追っ手に見つかる心配よりも、ある心配事が頭を過ぎった。

 自分が狙われていた。義兄弟である者たちに。

 確かに、初めから異国の地の混ざる自分達を快く思ってないことは子供の目線からでも見えた。
 実際、執拗な苛めもあったのだが、やってこれたのは自分の家族を守るため、そして、一部ではあったが確かに自分達を理解して受け入れるものたちの存在もあった。


 何より、ショックだったのは、自分達に優しく迎えてくれた義兄弟の一人が、一番自分達を忌み嫌い亡き者にしようと騎士達に命令していたことだ。

 今は外では領地争いもあるが、時期王を受けづく親族争いも内部であった。
 この争いに乗じて、排除しようと企てているものがいても可笑しくなかった。
 
 自分が狙われているということは、必然妹や母親もその対象となることも理解できた。

 それだけは守りたかった。
 例え行方知らずで会った事もない父親の代わりとしても。
 ぎゅっと小さな拳が震えるままに握りしめる。
 守りたいという強い気持ちは人一倍あったのたが、小さな子供、それも親族からは異端の扱いで親族の中にさえ入っていない自分達に、権限の持つ力もない。

 力が欲しい。

 例え叶わぬ希望としても、願わずにはいられなかった。


 その時、目の前を横切るようにシュッと何かが飛んできた。
 カランカランと物音に、驚いて目を見張るが、それよりもその場にあるはずのない剣が落ちていることに驚いたのだ。

 さっきまでは何もなかったそこに、突然武器が、それも自分の手の届く場所に、まるで取ってくれとばかりにある。

 これは好機と思ってよいのか、恐る恐るその剣の柄を握りしめたと同時に、声が聞こえた。


「その剣で、貴公の死か生を選ぶがよい」


 音を聞きつけてきたのか、追っての一人現れた。その腰鞘には剣があった。
 殺されるのは嫌だと剣で自分を貫くのも、その剣で戦うのも自分で選べと、残酷な選択肢を誰かから与えられた。
 差し出された剣はあっても、自分を守るのは自分しかいないといわれた気がした。


「我に答えてみせよ」


 どこからともなく声だけが、鼓膜を震わせるようにして聞こえてくる。
 生か死かの答えを求める声を聞きながら、剣を持った騎士が確実に自分に近づいてきた。
 自分を捕らえようとする大きな手に、その未来を想像して恐怖したのだが、


「さすれば、望みいる力を与えよう」


 望む力が欲しかった少年には、それは甘い誘いだった。

 一瞬、少年の耳には音が消えたように静寂が広がった。
 幼少頃から、戦うすべなどは身につけていたのだが、それを誰がに怪我をさせるため、また殺す為に使ったことは一度もなかった。

 ばたりと大きな音で倒れたのは、追っ手のほうで、緊張したように身体を硬直し震える手で柄を握り、息を乱すままに口を開閉してそれを凝視していた。


「っあ、ああ」


 地面に広がる赤い血、それは自分が付けたものだとわかるように、剣はおろか返り血を浴びた自分がそこにいた。
 怖くなって手から滑り落ちた剣が鏡のように、呆然と立ちすくむ少年を映す。


 生を選んだ結果、自分がやったことだった。
 後戻りは出来なかった。

 街はいつの間にか暗雲とした暗さに包まれ、残りの火を消すように雨が降り注ぐ。

 後先考える間もなく、少年は空を見上げて咆哮するかのごとく泣き叫んだ。
 
 その声に気づいてやってきた騎士は何故か一人もいないと聞く。 
 崩れるようにその場に座り込む少年を、黒いフードを纏った背の高い男が抱きとめ、微笑を浮かべたことなど、その場で見たものはなかった。

 

続く
 

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