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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
女の子相手に頑張ってる、ライ(LC主人公)も魅力的なのだけれどね、女の子相手は難しい、の一言です
カレン×ライ(LC主人公)です。
(私が書くと、ライ君嘘くさい上たらしになってないと、思いますが)
お話は、続きからになります。
拍手を送る
触れない鼓動
雨ではない、水のシャワーが、葉や花々を濡らしていく。
移動しながら、緑のほうへと持ったホースの先を向けると、
「キャッ!?」
女の子の悲鳴にホースに付いたスイッチを切って、足早に声の方へと向かった。
覗いて見れば、知った顔があり、雨にでも降られたしまったように、肌や服を水で濡らしたままのカレンの姿があった。
学校では、しとやかに大人しくしているのだが、目が合った途端、相手に気が緩んでいるのか、本来の性格が姿を現し、キッと睨みつけてきた。
「ライ。ちゃんと人がいるのか、確認しなさいよ」
怒ってると言うより、叱ったような口調でそう言うカレンに手を貸しながら、謝るライに、悪意の色はなく、何もいえずその差し出された手を掴むと、すんなりと立ち上がる体制になった。
濡れているものなのだから、拭くのは当然なのだが、生憎周りを探してみても拭くものはなく、持っていたハンカチも使うには範囲が広すぎて、肌に張り付く水の冷たさも、どうにも出来ず、濡れた肌を擦れば水が広がるばかり。
カレンは自分の状況に困ったように、眉を寄せたのだが、バサリと服の音がして、見れば、肩にかけられた上着が映った。
尋ねるように、視線を上げると、同じように眉を寄せたライの心配げな目が、カレンに向けられる。
「カレン。そのままだと風邪をひく。タオルを取ってくるから、ちょっとだけ待っててもらえないか」
「別にいいわよ。これぐらい、部屋に帰って着替えるから」
「部屋にって、君の家は此処から歩くところだろう。とりあえず、今は、これしか持ちあわせてないけど、待ってる間これを使っててくれないか。すぐ戻ってくるから」
「ちょッ、大丈夫だって言っ、ックシュ」
やはり、寒くなってきたのか、とうとうくしゃみをし始めたカレンに念を押すように言って、ハンカチを渡して、駆けるようにその場を去った。
勝気な方のカレンは本性を知らない他の生徒達ではなく、知っている上でこうして、女の子として扱われるのは、やはり照れがあるらしく、昔の兄と外見や性格はまるで違うけれど、似た面を見つけて、ちょっとだけ笑みを浮かべた。
戻って来たライは、予告どおりバスタオルを持ってきて、後ろについてくる人影に目を凝らすと、ミレイの姿が見えた。
えっ、と驚いた顔のカレンの座るベンチの前にライが先に着いた。
「ありがとう」
ライから差し出されたそれを、戸惑ったように受け取り、もう一つの気配が視界の隅に入って、そちらを目をやると、同じように走ってきたミレイが着いて、その場で軽く息をついて呼吸を繰り返した。
「会長。どうして、此処に?」
「ッハァ。え、ああ。ライが私のところに突然来て、相談があるって聞いて、何かと思えば。誤って水をカレンにかけてしまった、だから手を貸してもらえないかって、詳しく話を聞いたら事情が事情だったし、それなら、帰る間私の服を貸そうって話し終わった後、貴方の様子が気になったのか、すぐ出て行っちゃったから、後を追ってきたのよ。ホントびっくりしたわ。けど、次からは、ちゃんと人の話を聞いてからにしなさいよね」
「すみません」
「誤ることじゃないでしよ、別に怒ってるわけじゃないのよ。寧ろ、褒めてる。うん。さすが、男の子。やるじゃない!。カレンから他所の目を遠ざけるために、わざわざ人目の付かない所で待たせて、上着なんか貸したりして」
その言葉に今更ながら、自分の服へと見てみた、急激にカレンは顔を赤らめ、上着で隠すように両手で閉じて体を屈める。
そんなカレンの様子を見た後、ライへと視線を向ければ、コチラも今更ながらに照れが出たのか頬を朱に染め、顔を背けていた。
ライに恋愛をしろといった手前、これは二人ともいい反応なのかもしれない。
クスっと、笑いを零したミレイは、パンと両手を自分の胸の前に打って。
場所へと、移る提案をした。
室内の中へと、戻って行った三人は、
「じゃあ、私はカレンに合う服を見繕ってくるから、待ってなさい。あ、ライ。他の目もあるから、二人とも室内で待機ね。後、念の為に、ライは傍にいなさい。変な虫が寄り付かないためにね」
「会長!」
顔を紅くしながら、怒ったように叫ぶカレンに、ミレイは笑顔を見せて、ひらひらと片手を振って、その場を後にした。
残された隣同士の座った二人は、顔を見合わせ、同時に顔を逸らして、其処に沈黙が降りる。
シーツで体を包むようにして、渡されたタオルで濡れてしまった髪を拭いていたカレンは、腰掛けた場所から立ち上がる気配を感じて、そちらを見上げた。
「じゃあ、僕は」
居辛いのか遠慮なのか立ち去ろうとする、ライを細い手が捉える。
手の元をたどると、何かに揺らいだ視線とぶつかった。
帰ってしまっても問題はないのだが、思わず手が伸びてしまっていたカレンとしては、
手を放すことも出来ず、さりとて、このままにしておくのも照れがあった。
だから、後は、気持ちだけなのだが、どうしたいのかもカレン自身もわからなかった。
「ちょっとだけ、いなさいよ。貴方の責任もまだあるわけなんだから」
恥ずかしさと何処となく寂しさを潜めた表情が下を向いたまま、手はライ腕の服を掴んだままでいる。
「・・・・」
少し間をおいて、言葉もなく、カレンの掴んだ手を、ライの方から解いた。
行き場をなくした手を、カレンは自分の方へ引き寄せた。
何を言ってるんだろう。
素直になれば、ライにも伝わったのだろうか。
そんな後悔が頭を掠めたて、ギシリッとベットの沈んだ音と、気配にカレンが隣を驚いたような瞳で見た。
ライが何処へ行くともなく、そこにいた。
無表情ながらに、瞳の色は優しく細めるようにして。、
拒むことなく室内に留まったライに、嬉しくなりながらも、口にすることは出来ず、カレンも黙ってしまう。
会話もないのに、其処に気まずさはなく、静かな空気が二人の間に流れた。
「風邪ひいたら、責任持ちなさいよね」
沈黙に耐えかねたわけではなく、口を開いた言葉は、やはり強がりで、ライの表情も言葉も避けるように、顔を前へと戻した。
カレンを見る視線と同意の言葉に、自然とカレンの頬が熱もないのに、赤くなった。
ミレイが来るまでの間、カレンは、早鐘を打つ、胸の鼓動と柔らかな視線と、戦うことになった。
今度は別の後悔を、その胸に覚え始めた。
隣にいるのに伝わってしまいそうな鼓動は、なかなか相手に伝わらず、行き場もなく恥ずかしさだけが増していったようだった。
【留め】