コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
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カテゴリー別に分かれていて、下に表示されるようになっています。
----LC----- ライ関連
----LC小説---- BL小説
----LC小説Ⅱ---- BL小説
----小説以外---- その他
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★ プロフィール
HN:
ナッキー観音
HP:
性別:
女性
趣味:
BLゲーム/男主夢小説/小説書き
自己紹介:
(女性主権のBL編)(BL編)ライ・受ラブ同盟
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
別プログは、テキスト中心。
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★ お気に入り
★2009/08/03 (Mon)
Girls Dream of bubble・Ⅴ 驚き以上の戸惑い
ライが女子生徒として、学園に通うことになってから、本人の意思とは関係なしに周りの反応というものは、色々変るものだと、ライは性別が変わったことで改めて知る事となる。
「ライ先輩、教えてもらいところがあるんですけど」
「?」
廊下で声をかけてきたのは、二、三名の後輩、それも女性徒達だった。
「ちょっと、此処を見てくれませんか?わからないところがあって、今いいですか?」
「ああ・・・」
その一、前よりも、何故か話しかける機会が増えてきた。
それも、女の子達からの方が、数えて圧倒的に多い。
無表情で愛想笑いというものは前と変わらなくても、男だった時よりも、女になった時の方が、幾分か雰囲気が和らいでいるのか、それとも話しかけやすいからか、ライにはわからなかったのだが、学園へと新しく入った(ということになってる)ライは容姿も含めて、学園内で注目されることとなった。
そして、密かに後輩の女生徒の間で今や憧れの対象とされていたのだった。その事は、ライは知らない。
それにしても、男だったと、過去形にしてしまうのは、ライとしては、心中としてはとても複雑であった。
「カレン」
「あ、ライ、おはよう」
車から降りてきて、歩いてきたカレンに声をかけた。たまに見せる素の部分ではなく、今日もお嬢様としての、学園使用の淑やかな笑顔を向けてきた。
「ああ、おはよう」
その二、カレンのファンである、親衛隊から、あの刺さる様な視線を向けられなくなったこと。
男であれば、傍に寄るだけで、ピリピリと突き刺さる様な敵愾心むき出しの視線があったのだが、それもまた別なものへと変わった。
前のライと性別は違えど、中身は同じであるのだと知らないから無理もない。それを話したとしても、信じられるものではないことも、まして、それをライの口から口外する気もなく、ただの転校生として見られてる故か、視線が、和らいだというべきか、好奇心満々に向けられてくる視線は、寧ろ何か別の要素を含んで、居心地が悪いと言ったところか。
並ぶように歩きながら、難しい顔をしていることに気づいたカレンが、ライの表情を覗き込むようにして、声をかけてきた。
「どうしたの?」
「ああ、いや、毎度の事なら視線が集中しているなと思っただけだ」
「仕方ないわよ。私から見ても、あなた目を惹くらい綺麗なんだもの。女の子になってから、より一層ね。視線なんて、そのうち、慣れると思うから、気にしないことね」
「気にしないことか。・・・・・・カレンは、それで、気苦労するところもあるのだろう?」
「ええ、今はまだいい方だけど、あんまりだと、多少はね。不快に思う時だってあるわよ」
「女の子というのは、色々大変だな」
二、三歩前に出る形で、立ち止まったカレンに、ライの足も止まる。
「何言ってるの。まだまだ序の口よ。体育祭だとかプールとかの季節行事だとか、ほら、前の男女逆転祭りの再開の時みたいに、生徒会長のあの突飛な発想のイベントが始まったらそうも言ってられなくなるわよ。これからが、大変なんじゃない。あなたも」
「…つい忘れていたよ。そういうこともあるのだったな。それならば、僕も人事には出来ない事だな」
そんな会話がされてるとも知らず、美女二人が並んだ光景に、きらきらとした視線と頬を染めた男共は、その姿を心の中だけではなく残そうと、カメラのレンズを向ける。
「僕は敵視なら、まだ慣れもあるのだが」
カメラのシャッター音のする方へと、視線を伏せるように横目で一瞥して、呟いたライの独り言に、カレンがくすりと笑みを漏らした。
その三、今まではなかったこと(ライの知らないところであったかもしれない)が目にわかる形で起こり始めている。
「……」
無言で立ち尽くした、ライの姿を下駄箱の前で見かけて、スザクが話しかけてきた。
「あ、ライ。ん?、どうしたんだい?そんな暗い顔をして」
「・・・スザク、か。また、封筒が入っていた」
下駄箱から、ライの白く細い指先で、取り出したのは何枚かの封を切っていない手紙、それらをトランプのように広げてスザクへと見せる。
「ああ、凄いね。昨日もそうだったけど、最近また増えたみたいだね」
「そうだな。だが、此処は、ポストでもないというのに。わからないな。何故、こんなことをするのか」
言いながら、下駄箱へと顔を向けたライは、困ったように眉を下げていると、スザクが苦笑した。
「あはは、こういうことは君は初めてだから、無理もないかもしれないけど、でも、嫌がらせみたいな悪質なものではないから、そんなに深く悩むことはないよ」
普通なら、喜んでもいいと思うが、ライにしてみれば、至極不可解な行いで、その意味すら、気づいていないものだった。
そう話したときに、シャーリーとミレイから、言われた言葉が脳裏に蘇る。
「君と似たようなことを、ミレイさんやシャーリーにも、言われたよ」
「何て言われたんだい?」
『手紙でも直接でも、好きな気持ちは、相手に伝えたくなるんだよ。それには、物凄い、勇気がいる行為なんだからね。ライの持っているそれにも勇気といったいろんな気持ちがいっぱい詰まっているんだから、だから、ちゃんと答えなきゃ駄目だよ』
『ふーん、ライにも、そういう機会が出来たのね。うんうん、いい傾向よ。これで少しは、恋愛にも少しは興味沸いてくるんじゃないかしら?』
脳裏に蘇った二人の言葉を口に出して言うように、ライがスザクに語る。
「ーーーと、二人にそう言われてしまった。ミレイさんに限れば、恋愛ごとに少し過敏になりすぎるところがあるのだが、それが、僕が女となってより一層、積極的に恋愛を進めているのは、正直戸惑いを覚える」
話の途中でスザクへと顔を向けてから、ライは視線を伏せるようにして、そう言うと、
「ああ、君も恋愛を経験すべきだと話をしたのは、僕も聞いたことがあるけど、ライは、その事をどう思っているんだい?」
「・・・・前であれば、少しは考えていたところもあるが、今は、どうだろう。・・・・・・色恋よりも、まずは、変わってしまったこの肉体を元に戻すことを探す方が、僕には大事なことに思うんだ。だから、今の状態では色恋に、現を抜かす状態じゃないことは、確かだ」
「そうなんだ。ふふ」
ライの言葉を聞いて小さく笑みをこぼしたスザクへと、視線を上げたライは、小首をかしげる。
「スザク? 随分と、嬉しそうな顔をするな」
「えっ。ああ。君は、髪や瞳の色、身長とか、名残は残っていても、性別があまりにも変ってしまって、多少、僕も戸惑ったのはあるんだ」
最初に女となって出逢った時の事を思い出してか、ライは、眉を顰め、
「そうは見えなかったが?」
「そうかい? でも、女の子になった君が、そういった事がきっかけで女の子として変ってしまうんじゃないかって、どこかに危惧するところもあって、それで、ああ、変ってないんだって、再確認して、安心したんだよ」
「変るか・・・・。確かに、記憶喪失だった時の僕と今の僕とでは、現状が違いすぎるかもしれないな」
「大丈夫だよ。君は、一人で此処に来た時から、記憶がなくても、周りと打ち解けようと努力していたじゃないか、それから表情もだいぶ、以前と比べて柔らかくなってきたと思うし。うん、大丈夫。君は、強いから」
女となっても、変わらず接してくれるスザクの優しさに触れてか、自然とライは口の端を引き上げたのを見たスザクは、
「あ、笑ったね。ほら、そういうところは、前と変わってないじゃないか」
「ああ、そうだな。ありがとう、スザク。君はやはり、凄いな」
「何言ってるんだよ。凄いのは僕じゃないよ」
二人が話をしているその時、それに気づいた女生徒の一人が立ち止まって、前を歩く彼女の友達に手で招くようにして二人から目を離さぬまま声をかける。
「ああっ見て、ライさんだよ~。スザク君と一緒にいるけど、何を話しているのかな?」
それに集まった数名の女生徒が固まるように、二人を見つめる。その傍観者となった者が一人一人と、数を増やしていく事に、スザクとライは気づきはじめる。
「手紙も不思議であるのだが、誰かと一緒というだけで、前よりも遠巻きに見られることが多くなったのだが、あれも何かと関係があるのか」
「そうだね。でも、それは手紙が多いように、君に話しかける口実がほしいのかもね。それだけ、皆君と仲良くなりたいと思ってるのかもしれないよ」
「・・・仲良く?」
「うん、近いもので言うと、友達かな」
「友達…」
考え込むようにして顎に指をあて僅かに俯き視線を伏せて、頬を僅かに染めたライに、二人の様子を見ていた第三者は、勘違いを始める。
「きゃ~ッ!、今の見た?頬を赤く染めたわ。スザク君に何を言われたんだろう」
「そりゃ、愛の言葉なんじゃない?。あの二人、仲いいもの」
「私は、ルルーシュ君とツーショットの方が美男美女で、凄く絵になると思うけど」
「そんなのダメ!。私はまだ、どっちも、一人でいてほしい」
「えぇ!?、それなら、私は」
傍観者となった一部の女生徒の妄想と勘違いを発展されてると走らず、スザクとライの会話は続いていた。
「友達じゃなくても、もしくは、恋人になりたいのかもしれないね」
「恋人、それは、彼女と言うことか?」
「どうかな。けど、やっぱり今の姿で考えると、男であるのが自然だと思うよ」
「わかってはいるものの、男と、恋人、それは今の僕には考え付かない事だな」
そうして、視線を伏せるように、表情に影を落としたライを見て、傍観者達は騒ぎ始める。因みに、ライ達のいる場所から遠くにいるため、彼女達の会話の内容までは、ライ達に届いていなかった。
「あら、今度は、落ち込んでしまったわ」
「ライさんが、あんな表情を見せるなんて、スザク君によっぽどの事を言われたのね」
「あ~ん、私が、慰めてあげるのにぃ~」
「あんた、ルルーシュ君の時にも、そんな事言ってなかった?」
ざわざわとした女生徒の話し声がライ達のいる場所まで届くと、
「どういうわけか、こうしてる今も、いつの間にか、人が集まっているな」
「そうだね。あんまり此処にいると、他の子にも迷惑になるし、場所移ろうか」
「ああ、僕は生徒会室に行くから、君は先に教室に戻っていてくれ」
歩き出したスザクに声をかけると、スザクが振り返る。どうして言いたげな視線が、ライの手に抱えるようにあった手紙の束を見て、納得するように頷いた。
「またミレイさんの標的にされかねないが、一時的に生徒会室に置いておくことにするよ。持ち運ぶには、量が多すぎる」
「うん、わかったよ。じゃあ、また教室で」
「ああ」
そうして、スザクとライは、廊下で別れた。
すれ違いざま、まだ見ていた女の子達の視線に気づいて、ライが振り返ると、頬を染めて慌ててその場から散り散りになっていく光景を、ライは不思議そうにそれを見るのだった。
【Ⅴ・続く】
ライが女子生徒として、学園に通うことになってから、本人の意思とは関係なしに周りの反応というものは、色々変るものだと、ライは性別が変わったことで改めて知る事となる。
「ライ先輩、教えてもらいところがあるんですけど」
「?」
廊下で声をかけてきたのは、二、三名の後輩、それも女性徒達だった。
「ちょっと、此処を見てくれませんか?わからないところがあって、今いいですか?」
「ああ・・・」
その一、前よりも、何故か話しかける機会が増えてきた。
それも、女の子達からの方が、数えて圧倒的に多い。
無表情で愛想笑いというものは前と変わらなくても、男だった時よりも、女になった時の方が、幾分か雰囲気が和らいでいるのか、それとも話しかけやすいからか、ライにはわからなかったのだが、学園へと新しく入った(ということになってる)ライは容姿も含めて、学園内で注目されることとなった。
そして、密かに後輩の女生徒の間で今や憧れの対象とされていたのだった。その事は、ライは知らない。
それにしても、男だったと、過去形にしてしまうのは、ライとしては、心中としてはとても複雑であった。
「カレン」
「あ、ライ、おはよう」
車から降りてきて、歩いてきたカレンに声をかけた。たまに見せる素の部分ではなく、今日もお嬢様としての、学園使用の淑やかな笑顔を向けてきた。
「ああ、おはよう」
その二、カレンのファンである、親衛隊から、あの刺さる様な視線を向けられなくなったこと。
男であれば、傍に寄るだけで、ピリピリと突き刺さる様な敵愾心むき出しの視線があったのだが、それもまた別なものへと変わった。
前のライと性別は違えど、中身は同じであるのだと知らないから無理もない。それを話したとしても、信じられるものではないことも、まして、それをライの口から口外する気もなく、ただの転校生として見られてる故か、視線が、和らいだというべきか、好奇心満々に向けられてくる視線は、寧ろ何か別の要素を含んで、居心地が悪いと言ったところか。
並ぶように歩きながら、難しい顔をしていることに気づいたカレンが、ライの表情を覗き込むようにして、声をかけてきた。
「どうしたの?」
「ああ、いや、毎度の事なら視線が集中しているなと思っただけだ」
「仕方ないわよ。私から見ても、あなた目を惹くらい綺麗なんだもの。女の子になってから、より一層ね。視線なんて、そのうち、慣れると思うから、気にしないことね」
「気にしないことか。・・・・・・カレンは、それで、気苦労するところもあるのだろう?」
「ええ、今はまだいい方だけど、あんまりだと、多少はね。不快に思う時だってあるわよ」
「女の子というのは、色々大変だな」
二、三歩前に出る形で、立ち止まったカレンに、ライの足も止まる。
「何言ってるの。まだまだ序の口よ。体育祭だとかプールとかの季節行事だとか、ほら、前の男女逆転祭りの再開の時みたいに、生徒会長のあの突飛な発想のイベントが始まったらそうも言ってられなくなるわよ。これからが、大変なんじゃない。あなたも」
「…つい忘れていたよ。そういうこともあるのだったな。それならば、僕も人事には出来ない事だな」
そんな会話がされてるとも知らず、美女二人が並んだ光景に、きらきらとした視線と頬を染めた男共は、その姿を心の中だけではなく残そうと、カメラのレンズを向ける。
「僕は敵視なら、まだ慣れもあるのだが」
カメラのシャッター音のする方へと、視線を伏せるように横目で一瞥して、呟いたライの独り言に、カレンがくすりと笑みを漏らした。
その三、今まではなかったこと(ライの知らないところであったかもしれない)が目にわかる形で起こり始めている。
「……」
無言で立ち尽くした、ライの姿を下駄箱の前で見かけて、スザクが話しかけてきた。
「あ、ライ。ん?、どうしたんだい?そんな暗い顔をして」
「・・・スザク、か。また、封筒が入っていた」
下駄箱から、ライの白く細い指先で、取り出したのは何枚かの封を切っていない手紙、それらをトランプのように広げてスザクへと見せる。
「ああ、凄いね。昨日もそうだったけど、最近また増えたみたいだね」
「そうだな。だが、此処は、ポストでもないというのに。わからないな。何故、こんなことをするのか」
言いながら、下駄箱へと顔を向けたライは、困ったように眉を下げていると、スザクが苦笑した。
「あはは、こういうことは君は初めてだから、無理もないかもしれないけど、でも、嫌がらせみたいな悪質なものではないから、そんなに深く悩むことはないよ」
普通なら、喜んでもいいと思うが、ライにしてみれば、至極不可解な行いで、その意味すら、気づいていないものだった。
そう話したときに、シャーリーとミレイから、言われた言葉が脳裏に蘇る。
「君と似たようなことを、ミレイさんやシャーリーにも、言われたよ」
「何て言われたんだい?」
『手紙でも直接でも、好きな気持ちは、相手に伝えたくなるんだよ。それには、物凄い、勇気がいる行為なんだからね。ライの持っているそれにも勇気といったいろんな気持ちがいっぱい詰まっているんだから、だから、ちゃんと答えなきゃ駄目だよ』
『ふーん、ライにも、そういう機会が出来たのね。うんうん、いい傾向よ。これで少しは、恋愛にも少しは興味沸いてくるんじゃないかしら?』
脳裏に蘇った二人の言葉を口に出して言うように、ライがスザクに語る。
「ーーーと、二人にそう言われてしまった。ミレイさんに限れば、恋愛ごとに少し過敏になりすぎるところがあるのだが、それが、僕が女となってより一層、積極的に恋愛を進めているのは、正直戸惑いを覚える」
話の途中でスザクへと顔を向けてから、ライは視線を伏せるようにして、そう言うと、
「ああ、君も恋愛を経験すべきだと話をしたのは、僕も聞いたことがあるけど、ライは、その事をどう思っているんだい?」
「・・・・前であれば、少しは考えていたところもあるが、今は、どうだろう。・・・・・・色恋よりも、まずは、変わってしまったこの肉体を元に戻すことを探す方が、僕には大事なことに思うんだ。だから、今の状態では色恋に、現を抜かす状態じゃないことは、確かだ」
「そうなんだ。ふふ」
ライの言葉を聞いて小さく笑みをこぼしたスザクへと、視線を上げたライは、小首をかしげる。
「スザク? 随分と、嬉しそうな顔をするな」
「えっ。ああ。君は、髪や瞳の色、身長とか、名残は残っていても、性別があまりにも変ってしまって、多少、僕も戸惑ったのはあるんだ」
最初に女となって出逢った時の事を思い出してか、ライは、眉を顰め、
「そうは見えなかったが?」
「そうかい? でも、女の子になった君が、そういった事がきっかけで女の子として変ってしまうんじゃないかって、どこかに危惧するところもあって、それで、ああ、変ってないんだって、再確認して、安心したんだよ」
「変るか・・・・。確かに、記憶喪失だった時の僕と今の僕とでは、現状が違いすぎるかもしれないな」
「大丈夫だよ。君は、一人で此処に来た時から、記憶がなくても、周りと打ち解けようと努力していたじゃないか、それから表情もだいぶ、以前と比べて柔らかくなってきたと思うし。うん、大丈夫。君は、強いから」
女となっても、変わらず接してくれるスザクの優しさに触れてか、自然とライは口の端を引き上げたのを見たスザクは、
「あ、笑ったね。ほら、そういうところは、前と変わってないじゃないか」
「ああ、そうだな。ありがとう、スザク。君はやはり、凄いな」
「何言ってるんだよ。凄いのは僕じゃないよ」
二人が話をしているその時、それに気づいた女生徒の一人が立ち止まって、前を歩く彼女の友達に手で招くようにして二人から目を離さぬまま声をかける。
「ああっ見て、ライさんだよ~。スザク君と一緒にいるけど、何を話しているのかな?」
それに集まった数名の女生徒が固まるように、二人を見つめる。その傍観者となった者が一人一人と、数を増やしていく事に、スザクとライは気づきはじめる。
「手紙も不思議であるのだが、誰かと一緒というだけで、前よりも遠巻きに見られることが多くなったのだが、あれも何かと関係があるのか」
「そうだね。でも、それは手紙が多いように、君に話しかける口実がほしいのかもね。それだけ、皆君と仲良くなりたいと思ってるのかもしれないよ」
「・・・仲良く?」
「うん、近いもので言うと、友達かな」
「友達…」
考え込むようにして顎に指をあて僅かに俯き視線を伏せて、頬を僅かに染めたライに、二人の様子を見ていた第三者は、勘違いを始める。
「きゃ~ッ!、今の見た?頬を赤く染めたわ。スザク君に何を言われたんだろう」
「そりゃ、愛の言葉なんじゃない?。あの二人、仲いいもの」
「私は、ルルーシュ君とツーショットの方が美男美女で、凄く絵になると思うけど」
「そんなのダメ!。私はまだ、どっちも、一人でいてほしい」
「えぇ!?、それなら、私は」
傍観者となった一部の女生徒の妄想と勘違いを発展されてると走らず、スザクとライの会話は続いていた。
「友達じゃなくても、もしくは、恋人になりたいのかもしれないね」
「恋人、それは、彼女と言うことか?」
「どうかな。けど、やっぱり今の姿で考えると、男であるのが自然だと思うよ」
「わかってはいるものの、男と、恋人、それは今の僕には考え付かない事だな」
そうして、視線を伏せるように、表情に影を落としたライを見て、傍観者達は騒ぎ始める。因みに、ライ達のいる場所から遠くにいるため、彼女達の会話の内容までは、ライ達に届いていなかった。
「あら、今度は、落ち込んでしまったわ」
「ライさんが、あんな表情を見せるなんて、スザク君によっぽどの事を言われたのね」
「あ~ん、私が、慰めてあげるのにぃ~」
「あんた、ルルーシュ君の時にも、そんな事言ってなかった?」
ざわざわとした女生徒の話し声がライ達のいる場所まで届くと、
「どういうわけか、こうしてる今も、いつの間にか、人が集まっているな」
「そうだね。あんまり此処にいると、他の子にも迷惑になるし、場所移ろうか」
「ああ、僕は生徒会室に行くから、君は先に教室に戻っていてくれ」
歩き出したスザクに声をかけると、スザクが振り返る。どうして言いたげな視線が、ライの手に抱えるようにあった手紙の束を見て、納得するように頷いた。
「またミレイさんの標的にされかねないが、一時的に生徒会室に置いておくことにするよ。持ち運ぶには、量が多すぎる」
「うん、わかったよ。じゃあ、また教室で」
「ああ」
そうして、スザクとライは、廊下で別れた。
すれ違いざま、まだ見ていた女の子達の視線に気づいて、ライが振り返ると、頬を染めて慌ててその場から散り散りになっていく光景を、ライは不思議そうにそれを見るのだった。
【Ⅴ・続く】
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