もうすこしだけ、騙されたふりをして

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赤頭巾と狼パロの続きで天子も一緒に第九話
赤頭巾の神楽耶×狼のライです。
お話は、続きからになります。

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もうすこしだけ、騙されたふりをして



　互いを見つめて自己紹介を交わす。


「紹介に預かった、ライだ」

「私は、天子。本名は他にあるけど、皆にはそう呼ばれているの」

「天子・・・」

「うん。私も今日からライって呼んでもいい」

「ああ」


　胸の前で手を叩いて目を爛々と輝かせた天子が、申し出たのは、


「うわぁ! あのね、ライに気になることがあって、ちょっとお願いがあるんだけど」

　
　布団をいじるようにしてもじもじとした様子で、上目遣いを向ける天子。


「？　何だ」

「その、お耳触ってもいい？」


　無邪気におねだりしてくる天子に、慣れないことでライは躊躇いつつも、頷く。
　あの様子なら二人が親しくなるのも時間はかかるだろうと神楽耶は口元に笑みを浮かべる。
しばし憩いのひと時、雑談交えた二人と一匹。


「これからは、三人だけなので互いに愛称を呼び合うこと。勿論、此処にいる私達以外にこの関係は秘密にすることで、いいですわよね？」

　
　最後に神楽耶は提案を申し入れると天子は文句なく頷いたのを見届けて、ライへと視線を向ける。


「ライ・・・？」


　約束の儀式として差し出された指に、ライは目を伏せたものの、僅かに躊躇はあったが黙諾する様にその指に絡めた。
　神楽耶も頷き返して、大人には内緒の秘密を共有する関係となった三人は約束を結んだ。

　天子と二人で神楽耶は笑顔を浮かべているものの、ライはどこか憂いを見せた横顔がなぜか気になった。

　以前、人に迫害を受けたことがあると話を聞いて事があって、まだ人間に対して警戒心もしくは、恐怖心が残っているからだろうと神楽耶はそう思っていた。

　人間の家に入っていったライの姿を見つめる影がいたことなど気づかぬままに。


続く