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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
ココロ・ハイポトニック
壁に背を持たれかけたまま携帯から伸ばされたヘッドホンを耳にかけ、目を瞑ったままのアーニャに、金色の三つ編みを揺らしながら、片手を挙げて挨拶してくるのは、ジノだった。
「よう、アーニャ。また携帯いじってたのか?」
そうして、陽気に笑うのはいつもの事。アーニャは、無言で一瞥をよこすけれど、再び視線は携帯電話へと戻る。
「・・・・」
「今度は何の写真を撮って、今日は違うんだな」
ディスプレイを覗き込んだジノは、そこに映るのは写真でもなく名前であったと確認して、屈めた腰を元に戻した。
「何?」
呼び出しを受ける際、そのほとんどがスザクかジノからなので、声をかける理由を求めてアーニャはそう訊ねると、
「いや、声をかけただけだけど、まあ、俺が心配することでもなかったな」
表面的には普段と変わりないアーニャだったが、ライと離れているせいか多少元気がないよう見えていたのか、ジノは安堵したように微笑んで見せた。
だが、携帯から目線を話すことのないアーニャに、聞いているのか聞き流しているのか確認の為、ジノは携帯カメラを指差し。
「それさ、今度俺の携帯にも送信」
「嫌」
予想はついていたのだろう。しかし、残念そうに眉尻を下げ、苦笑も漏らしたジノは、
「即答か。そう返すとは思っていたけど、もう少し躊躇うとか考えるとかして欲しいけど」
「嫌なものは嫌」
「アーニャらしいな。じゃあ、必要なくなったら俺が貰うからそれまでアーニャが大切にしてろよ」
宣戦布告のように言い残して、踵を返すようにアーニャに背を向けたまま、ジノは片手を振って離れていった。
携帯電話には、アーニャの必要な記憶が保存されている。
いろんな人の写真の中、多くあるのは、仲間とライの姿だった。
ライとの写真は勿論の事、携帯にはライの声も当然ながら入っていた。
朝の声だとか、アーニャを呼ぶ声とか残った着信履歴と共に残されたライのメッセージは、まるで音楽のように耳障りよく何度も聞いてみたくなる。
離れている今は、この声で我慢する。
コレはアーニャが留守にしているときに、ミレイから届いたものだった。
レポーターのように話しかけてるのは、ミレイで、それに答えてるのはライ。
録音されていることなど露知らず、ライの声は自然であり本心と思える言葉だった。
『では、質問に入ります。ライにとって、アーニャとは?」
『唐突だな』
『本人がいないときこそどう思うのか、興味があるのよ。だから、ね』
『うーん。確認をとるまでもないけれど、僕にとっては、大切な人だ』
『前に聞いたときは、私たちの事をそう言ってたわね。同じってことかしら』
『大切なところは同じだろうけど、皆とすこし違う意味を持つとするなら』
『するなら?』
『女性として一番好感だと言うことだ』
『いやに客観的ね。それだと、゛愛してる ゛が正解なんじゃない?』
『そう、だな』
『互いに分かり合ってる。愛し合ってるから大丈夫。なん~て、決めちゃったら、気持ちがすれ違ったりするから、そういうときのためにも伝える言葉は重要よ。アーニャにもいまの言葉聞かせてあげたら?。どんなに遠くにいても好きな人の声が聞けると嬉しいものよ。それでも、恥ずかしいなら、手紙なり電話なりやり方はあるでしょ?』
『確かに、連絡や帰りを待つ手段しかとってはいなかったように思える』
『そうよ。アーニャも顔には出さないけど、本音では寂しがってるから、今もあなたからの電話待っているのかもしれないわね』
『・・・・考えてみる』
『聞いてる?。この通り、ライも寂しがって生徒会業務も手につかない状態で皆も心配してるんだけど』
『? ミレイさん? 誰に話しかけて』
『ああ、大丈夫。ライが浮気はしないよう見張ってますので、安心して励んでね』
『ミレイさん、さっきから何を』
『後、追伸。帰ったら、ライから愛してるを言うようなのでご期待を。通信以上。生徒会長からアーニャへ』
『何を言って、えっ? アーニャへって、まさか、ミレイさん今の』
そこで途絶えたメッセージは、アーニャにしっかりと届いていた。
声を聞くだけで寂しかった気持ちが薄れ、不思議と胸を暖め、帰りたい気持ちにさせられた。
その為に、これからの戦いを普段以上に集中で切り上げ、ライの元へと戻ろうと誓うアーニャだった。
[留め]