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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
主従恋人 「今の役目は空気になること」
晴天を映した瞳に、横切る飛行機雲が映る。
ライが好きだといった広がる青空を見上げて、アーニャは思うのだ。
いつから、自分もこうして青空の風景を見ることが好きになったのかと。
それは、心境の変化でありライの影響によるものかもしれない。
昼休みのお散歩中。
木々と緑と影の作る光景を何気なく、デジタルカメラのレンズ越しに覗いて見る。
そうして、中庭にあるベンチや埋め込みへとカメラを向けて、視界の隅に気になるものを捉えた。
普段なら気にすることもないのだけど、まどろむ様に通り過ぎる人が見落としてしまうような場所に、校舎の白い壁があり、そこに寄りかかるようにして寝ている愛おしい人の姿を見つける。
「ライ・・・」
カメラのレンズを下げるように愛おしいものの名前を呟いて、ゆっくりと歩み寄る。
「にー」
高い音の可愛らしい声がライの傍から聞こえ、あれだけライに対して威嚇しかなかったのに、いつから仲良くなったのだろうかと思えるほどに、ライに擦り寄るようにその膝の上を小動物が我が物顔で陣取っていた。
まるで、ライを守る小さなナイトのように思え、アーニャは思わず目を細めて笑うと、その場でしゃがみ込む。
今まで誰かが通っても耳を動かす程度で決して動かなかった白い子猫が、アーニャが手招くとあっさりとその場を退いて、アーニャの元へと駆け寄る。
抱き上げた子猫をその腕に抱えて、他人にめったに気を許さないはずのライの隣へと腰掛けて見るが、深く寝ているせいかそれとも相手がアーニャだからか起きる様子もなく、薄い唇から小さな寝息がこぼれるだけで起きる様子はなかった。
木漏れ日の差し込む程で、日差しからよけているせいか、少しだけ暖かかった。
ライは、外で簡単に寝るタイプでもないし、まして人通りの少ないとはいえ警戒心を弱めるほど単純ではないことを知っているアーニャは、最近軍と学校の行きかいに言葉には出さなかったものの、その顔には疲れが見えてうっすらとだが目の下に隈が出来ていたことはアーニャもわかっていた。
人の体調には気づくのだけど、知らず知らずに疲れを溜め込んでしまうライは、こうして人の知らない場所で仮眠を取っているのだろうと、アーニャはライの顔を覗き込むようにして静かに待っていた。
「にゃ」
腕の中で、子猫が遊んでと強請るように鳴き声をあげると、アーニャの視線が子猫へと向き、優しいかぜが子猫の体毛とアーニャとライの髪を揺らす。
連れて行かれないようにと小さなリボンをつけた子猫の頭を撫で、アーニャはライの方へと振り返り、今は何をするべきかを考える。
頭をなでられた子猫は甘えるように喉を鳴らして、目を閉じていた。
起こされたわけでもなく、目を覚ましたライは、うっすらとぼやけた視界を瞬きを繰り返しながら辺りを確認する。
そのうち視界がはっきりと映し出されて、ふと右半身に重みを覚え違和感に振り向けば、いつからそうしていたのだろう。
アーニャがライの方に寄りかかるようにして眠っていた。子猫と一緒に。
「アーニャ?」
微かに寝息が聞こえるだけで、アーニャを起こすように肩に触れようとすると、子猫が先ほどライにより寄っていた様子は何処へやら、毛を逆立て威嚇の声を出す。
「起こすな、ということか」
ライが手を引っ込めると、そうと知っているのか子猫は唸るのをやめ、アーニャの膝に足を折りたたむようにして丸くなる。
子猫と今はあどけない寝顔を見せているアーニャを見比べて、ライの瞳は細まる。
きっと起こさずに待っていたのだろう事はライにも伝わっていた。
その小さな心遣いに、ライは覗き込んだままささめくように呟いた。
「ありがとう。アーニャ」
そして、続けざまに普段は口に出来ない愛の言葉に反応するように、アーニャの瞼が震えた。
ゆっくりと持ち上げた瞼、その視界に大切な人を映すまで、そんなに時間がかかるはずもなかった。
[留め]