明日にしてください

赤頭巾と狼パロの続きで天子登場の第八話
赤頭巾の神楽耶×狼のライです。
お話は、続きからになります。

拍手を送る

明日にしてください



　ぴくぴくと動く狼の耳、揺らぐフサフサの尻尾、光沢感のある髪と同じく銀色で、戸惑いを浮かべた目が伏せて、綺麗な容姿は、姿形を隠せば一見普通の人間にも思える。


「大きな耳も尻尾があるのも、神楽耶が言っていた狼だから」


　天子はベットに身を乗り出すようにしてライの顔を凝視した後、神楽耶へと振り返る。


「そうです。見た感じはイメージと違うかも知れませんが、彼が話していたあの狼で間違いないです」


　微笑む神楽耶に、天子は可愛らしく小首を傾げると、サラサラと長く白い髪が肩をすべって布団へと落ちた。


「どうして、おばあちゃんのネグリジェを着ているの？」

「尻尾を隠すためです。此処に会いに来る為のカモフラージュですわ」に

「ふーん」


　天子は興味津々とした様子でライを見上げるものの、思ったとおり時間が経つにつれて狼への恐怖心が薄まって行くのは目に見えた。
　綺麗な顔がにこりとも笑わない無表情と特有の近寄りがたさに心配はあったものの、普通の狼とは違うことを天子も気づいたのだろう。
　まあ、見た目の格好がだいぶ本来のライの印象を緩和させている気もする。

「怖いと思いますか？」

「ううん」


　素直に首を横に振る天子に笑いかけ、


「ほら、大丈夫って言ったでしょう。そんなに堅くならないで。自己紹介したらどうですか？」


　天子は関心を寄せているものの、ライのほうはと言うと、先ほどから無言のまま、猫を借りてきたように大人しい。
　元々喋るほうではないけれど、今日はさらに寡黙となっていた。
　緊張しているのかもしれない。
　神楽耶以外の人間に人馴れしているわけではなく、何よりずっと人に見られることがないためか視線が定められぬまま目を背ける。


続く