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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
目覚めた先に見たもの
頭の思考回路に靄がかかったようになる。
目の前の景色が、傾いてるような錯覚を覚え、ふらふらと足をもたつかせて、引き寄せられるように壁へと足が行った。
壁を横に半分預けるようにして、体を休めていると、
「ルルーシュ・・・・?」
いつも呼ぶその声が、今日は優しげに耳に反響して、ちらりと気だるげに視線を投げた。
声の主は、同じ制服姿の、ライだった。
違和感を覚え居辛そうに、関った生徒会メンバーすらも寄せつけないというより、自らの意思で孤立していた、ライは今はすっかりとメンバーの中に慣れつつある。それは、前のスザクと重なって見えたものはあるが、こうして少しずつでも頼るものを素直に見せるようになったライは、心にやましい策謀があったとはいえ、ルルーシュは嬉しく思っていた。
回らないはずの思考は、ライを瞳に移して、ライとの記憶を引き出して他に考えることもなく、視界が暗転した。
どさりと重く何かの倒れた音の後で、自分の名を呼ぶ声と、駆けてくる足音を耳にした。倒れたのは俺の方かと、思考がそう判断したのは、不意に自らの体が支えられるようにした誰かの腕で、大丈夫だと口を開いたが伝わったのかも確認できず、僅かに瞬いた瞳に、悲しげに眼を歪ませたのは一体誰の姿だろうか。それを確かめる術もなく、意識が遠のいていった。
カチカチと時計の針が耳に届いて、閉じた瞳を震わせ、視界をゆっくりと瞬かせるように開くと、見えたのは、天井だった。
まだぼんやりとした意識で視界を周りへと移した。
カーテンとベットの端とシーツが見えて、今の状況を理解したルルーシュは、いつの間にか保健室に来たのだろうと考えたが、そうじゃないと思い直す。
此処に来る前に誰かと会って、そのまま、そう考え始めた思考を、遮断するように開けられたカーテンに、視線を向けた。
「あ、起きたんだ。まだ、寝てるかと思ってたけど」
「スザク・・・」
「急に倒れたから、生徒会の皆も心配してたよ?。過労だろうって、さ。しばらく休養できるように、他の皆が先生方に先に連絡してるよ。それから、会長が生徒会業務はいつものように残りの皆でやるから、きちんと休んでなさいって、言伝を預かってきたよ」
そうか。と言葉を返しながら、スザクが連れてきたのか、という考えに妙な違和感を覚え、違うと、心が否定する。すると、心でも読んだように、スザクが口を開く。
「後、コレは僕の意見なんだけど。此処まで君を連れてきたのも、倒れたと教えてくれたのもライから知ったからなんだ。ちゃんと体を休めたら後で、出来れば、はじめにライに声をかけておいてほしいんだ。当人の口から言った方が、彼も安心すると思うから」
「ライが、此処に」
「そうだよ。・・・急に君が倒れたと聞いたときは驚いたけど、それよりも見ているこっちが不安そうになるくらい、ライの方が辛そうに見えたのは居た堪れなかったけどね」
スザクの言葉を聞きながら、アレはライだったと、おぼろげに覚えていた記憶が呼び覚ました。確かに、あの時の呼ぶ声は、何か必死に自分の名前を呼んでいたあの声は、ライだったのだと。
「それで、ライは、何処に?」
「ライには、君が起きたら、知らせてくれと言われてる。休憩をとってから改めた方がいいと思うけど、どうするんだい?」
「いや、体はさっきよりはだいぶ安定している。余計な心配をかけさせる前に、話がしたい。連れてきてくれないか?」
「うん・・・・。そうだね。ライのためにもそうした方がいいかもね」
「・・・・?」
何か躊躇うように言葉を言ったスザクにルルーシュは疑問を抱くが、聞くなというような眉を寂しげに下げた表情を見て、それ以上は何も言わなかった。
軽く言葉を交わして、スザクはカーテンを閉めて、出て行く靴の音を聞いた。
疲れた体を授業の合間に昼寝などして、身体を休めているからいいと思っていたのだが、当人の意思以上に身体の疲労は蓄積していたようで、こうして、倒れるという無様な姿態を、晒してしまった。
閉じた瞳を隠すように手をやって、あれが、ライだったのかと、心の中で安心すると同時に、見られたくはなかったと、ルルーシュのプライドがくすぐって、自然と口に自分を揶揄するように、皮肉に口端を吊り上げた。
そうした思考に浸ってるうちに、不意に、足音が近づく音を聞いた。
それは、急ぐような足取りで。
姿も見ていないというのに、思考はアレは、ライだと答えを出していた。
扉が開いて、室内へと気持ちを表すように、足早に近づいた足が、止まり、手がカーテンを開く。
もう、誰が来たのか気配で気づいて、予想通りの答えに今度は嬉しげに口を緩ませた。
手をのけて、見たライの姿を確認して、頭はある程度の答えを予想しながら、それでも、何を言ってやろうかと面白そうに、思考を巡らす。
「ルルーシュ・・・、起きて大丈夫なのか?」
今、どんな声をしているのか、わかっているのだろうか。
不安そうな、消え入りそうなほど静かで、ライの方こそどうなんだと、言いたくなる。
スザクが躊躇った原因が、今になって何となく伝わった。
「ああ、しばらく休養することになるが、誰の気もなくこうして静かに過ごせると考えると、こうした時間を活用するのも悪くはない。だから、そんな顔をするな。俺の方が心配になるだろう?」
倒れたルルーシュ以上に、こちらが不安を煽るぐらい、ライは悲しげで辛そうだった。
変な言い方をすれば、捨て犬のようだ。
此処まで、心配されていたのかと、不謹慎ながら嬉しくなったが、それを隠して、ライへと手を伸ばした。それに答えるように身を屈めたライに、伸ばした手をライの頬へと宥める様に優しげに触れて、ルルーシュは目を細めた。
「・・・心配をかけたな。不安にさせて悪かった」
その言葉で、ライの表情にも、徐々に表情に穏やかさが戻り、言葉もなく小さく首を振って、目を伏せた。
「目の前で倒れた君を見て、不安になったのは確かだ。けれど。こうして無事であっただけ、良かった」
ルルーシュの手を取って、額に手を甲をつけるようにしながら、ライは、何かを思うようにして、安心したように呟いた。
その言葉は、静かな室内故、ルルーシュの耳にも届く。
フッと笑ったのは、ルルーシュで、それを見たライも柔らかに笑みを浮かべて、音もなく、二人の距離が縮まった。
さわさわと柔らかな風がカーテンを揺らめかす。
ようやく、何処かで生徒達の賑やかな声が聞こえ始めた。それまでの、時間がようやく動き始めたように。
小さく音が鳴って、離れた二人に、漏れた笑いは一体どちらのものか。
扉の外で立ち止まったその影の主である、スザクは、部屋に入る様子もなく、何かをはくように吐息をこぼして、引き返すようにゆっくりとその場を立ち去っていった。
【留め】