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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
鮮烈なるは我が純情
ライに借りを作ってしまったことはさほど重要なことではなかったのだが、あの後の寂しげなライの表情が気にかかる。
以前よりは表情も表向きに現れるように、変化は着実にあるものの、物静かな姿勢と冷静な思考は、周囲と上手く距離を取れてるつもりでも、ライから深く人に関わることはなく、見えない壁のようなものが見える。
傍にいても、不意に消えてなくなりそうな幻影のように見えるときがあって、それがライの持つ雰囲気のせいか、時折ルルーシュは不安にかられるのだ。
身元不明の記憶喪失者と聞けば、怪しい限りだったが、話をしていくうちに、ライの持つ性質を理解してきたつもりだった。
ライの持つ知力や運動面の優秀さに、一時は記憶喪失との要素を利用して、黒の騎士団に引き入れようかと考えたこともあったが、気になるのは才能だけではないように思えた。
ゼロにおいては、戦術は敵をも圧倒させることは出来るものの、今はどうだろう。
ライ一人相手にどう借りを返すかで、ぐるぐると考えがまとまらずにルルーシュは唸っていた。
ライの部屋へと向かうままに、脳裏に過ぎったのは、C.C.の何かをわかりきった笑みを浮かべた言葉だった。
「気づいてないのか?。お前は借りが重要なのではなく、ライと一日を過ごすのに、誘うきっかけが欲しいだけなように私にはそう見える」
借りを返すだけだというのに、妙に緊張してか、ルルーシュの手のひらに汗さえ滲む。
普段声をかけるときには、無いにもかかわらずにだ。
何を緊張する必要があるのかと自分に問いかけ、緊張を解くように小さく吐息をこぼして、扉へとノックした。
「はい」
返事はいつもの声だったが、その声を聞いた途端に、またも解けたはずの体が強張り、一瞬間を置く。
可笑しなことに、心臓が高鳴っている状態だった。
誰かを誘う事に、こんなにも緊張してしまうものか、相手が女性であれば納得できるものの、今訊ねた場所は、ライの部屋だ。
男に対して、ただ借りを返しに来ただけで、こうなることは予想はしてなかったが、沈黙が多いと怪しまれると思い、声を出す。
「ルルーシュだ。起きているか?」
平常よりも高鳴っている心臓に、声まで裏返っては変に思われると危惧したが、通常通りの声がでたことに心中ほっとする。
だが、すぐさま思考は、部屋にはいってからのシミュレーションを整える。
部屋の中には、ライ一人のはずだ。
中に他のものの声や音が混じってなかったことを既に確認している。
誰に見られるわけでもなく作られた空間で、話す内容といえば、勿論本来の目的は、借りの返しについてではあるが、ライがそれを気にする人間ではないとわかっている前提で、どう返しを受けてもらうか、だが、入った途端にその話を持ち出すのは、可笑しいように思える。まずは、たわいのない話に始まり、その後に、
「っ!!!」
ルルーシュの脳内に、思い浮かべたシミュレーションをぶち壊す勢いで、頭に衝撃が走り、その反動で床に手をついた。
「ルルーシュ?」
扉を開けたライが立っていて、自分を見下ろしていた。
少し驚いた顔をしていたのは一瞬、そんな顔も出来るのだなと思うのだが、痛みに思い起こされ、状況を理解する。
ライの前で、床の上に尻餅をついて、打った頭に手を当てたまま立てないでいる。
自分の無様な醜態をさらしている事に。
思い出そうとする目的よりも、じくじくと打つ額の痛みに、ルルーシュは顔をしかめる。
「大丈夫か?」
「ああ、予測できた事態だ。俺にも非はある」
「・・・何か急用なのか」
「いや、たいした事はないんだが・・・」
開ける事を予想しなかったわけではないが、考えに夢中になってた為、足音に気づけなかった自分が悪いと悔やむ気持ちを押し隠し、立ち上がったルルーシュは、
「廊下で立ち話もなんだか、今はとりあえず中で話さないか?」
ああっと頷いたライと共に移動して扉が閉まると、ルルーシュとライだけの空間へと変わるのだが、まとめたはずの考えが、鈍痛する痛みと共に上手く言葉にいえたものではなく、歯切れの悪いものとなっていた。
結局、ライに悟らせることになってしまったけれど、計画は若干くるったが、借りを返すのは叶った。
ライが何を望むのかといくつもの考えがルルーシュの頭によぎったが、その中の一つであったものの、至極簡単な答えが返ってくるとは思いもしなかったことに驚いた。
「街を案内してくれるか?」
ライと共に、租界を探索するのも悪くはないと思っている自分に、ルルーシュは口角を吊り上げた。
それは目的が達成した以前に、ライと過ごすことに素直に喜んでいることに、ルルーシュは気づいていないのだった。
[留め]