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コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
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主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
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★2010/01/04 (Mon)
お相手アンケート結果による
神楽耶×ライです。
お話は、続きからになります。

拍手を送る

缶ジュース、君と一缶


 見えるのに届かないというのは、なんともじれったい。
 自動販売機を前に、一人で唸る黒髪の少女に手を貸す者がいた。


「何処のどなたが存じませんが、ありがと、う?」


 にっこりと笑顔で振り返った神楽耶は、出会った運の悪さもあってか、一方的に敵視しているライを目にして、固まってしまった。


「どうした?」

「いえ、何でもありませんわ。何処かの誰かさんが勘違いで押し間違えてしまったようですので、呆れただけです」

「コレが欲しかったんじゃなかったのか」

「確かに、手を伸ばした先にそれは在りましたけれど、私が押そうとしていたのは、その隣のお茶のほうですわ」


 神楽耶が指摘すると、自動販売機のほうへと目を向けたライは、新商品の隣に並ぶ緑茶へと目を向ける。
 新商品のボタンを押すことに間違いないのだが、それが買いたかった等と変に思われたくなくて、神楽耶はとっさに嘘を吐くと、続けるように。


「クラスの方々が話題にしてましたから、どんなものかと気になっただけですわ」

「飲みたかったのか」

「なっ! お金を入れたのは、のどが渇いたからで元からお茶が目当てです。それを貴方が勘違いされて」

「なら、僕の不注意だな。すまない」


 再びコインを入れたライは、神楽耶の目的だった緑茶のボタンを押すと、下へと落ちた緑茶の缶を手にとって、それを差し出して来た。


「・・・ありがとう。わかってるならそれでよろしいですわ」



「お茶を飲もうとしただけです。貴方こそ、そんなに缶を大量に購入なさって、まさか貴方が全部飲むつもりではないですわよね」

「ああ、コレは。生徒会長に頼まれたものだ。僕が飲むものではない」

 
 袋に幾つか入れた缶とは別に、新商品の缶が今はライの手元にある。それを見た神楽耶は、


「随分と、珍しい味みたいですわね。それは」


 神楽耶の視線に気づいたライは、手元にある缶を眺める。新感覚のジュースと書いてあるのだが、名前を見るにはライにも覚えのない名前だった。


「それは、どうするつもりなんですか?」


 思わず訊ねてくる神楽耶に、


「誤認したものを、さらに、見たこともない味を何の保証もなく会長達に手渡すわけには行かないだろう」

「それでは、貴方が飲むと?」

「神楽耶。やっぱり、気になるんじゃないのか」

「違いますわよ。そんな得体の知れない味を

「・・・」


 のどが渇いた様子もなく、少し考え込むようにしてから、


「何ですか」

「誤認したのは事実だが、やはりコレは、君に返そうと思う」

「いりませんわよ!。そんな」

「君が飲まなくても、クラスの誰かが話題にしていたというのなら、興味がある輩もいるだろう。その人たちにでも渡してやればいいだけの話だ」

「どうして、私が」

「すまない。僕は買出しの途中だから、此処で失礼する」


 そう言って背を向けたライを神楽耶は唖然と見つめる。
 見えているものは届かないのは、じれったいのは、高い場所も好きな人も同じ。


「感づかれてましたわ。飲んでみたいなんて、興味本位で行動するものではありませんね」


 おそらく、話す中でどこかで察したのだろう。間違えたと思われる缶は今は、神楽耶の手元に戻って来た。
 本来の目的がコレだったから、正しい事に変わりはないのだが、神楽耶は近くにあったベンチへと腰掛けて、緑茶とそれを見比べて溜息をつく。
 クラスで密かに話題となっているというだけで、自動販売機にそれを見つけてしまったために、興味本位で手を出した。
 どんな味なのかと、誰かに譲る考えもなく、缶ジュースを開くと、それを口につけて飲んでみた。


「うっ、おいしいとは言えませんわ」


 人によっては、当たり外れもあるらしく、神楽耶にとってもそれはハズレの粋だったが、ライと会ったのは好機だとしても、出会った頃の印象が残っているせいか、突っかかるような態度をとってしまう。
 あの時ぶつかったのは、神楽耶が学園内でも常に従えている護衛の者から逃げていただけで、ライに非はない事は知っていた。
 自分を知っていても変わらぬ態度で接してくるライが、嬉しくて甘えてるだけかもしれないそう思うと、口が緩んだ。


「お返ししませんと、ね」


 少女ではなく、どこか大人びた表情で目を細めるようにして笑う神楽耶の表情は、仕返しを考えてるものではなく穏やかなものだった。

 
[留め]

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