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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
夜明け前の小さな幸せ
音もない足音が窓の前で止まると、カリカリと爪を引っ掛けて自分の存在をアピールする。
聞き逃してしまうほどの小さな音をその部屋の主は、ちゃんと聞いていたようで窓をそっと開いてくれた。
「アーサー?」
「ニャー」
まるで返事のようにその黒猫こと、アーサーは鳴くと同時に室内へと入り込む。
彼はまるで自分の部屋のように我が物顔で、いつもどおりの場所というか、もはやお気に入りとなってるベットの上にあがると、毛づくろいをはじめた。
そんな様子に、ライはいつも無表情が少しだけ和らいだようにふっと笑う。
この場に彼を好きだという女子がいれば頬を染めそうな光景であるが、残念ながら部屋にいるのは彼一人だけだった。
夜に彼の部屋に訪れるものがいるとすれば、女子よりも男かアーサーくらいのものであるのだから。
スザクが抱っこしている姿を昼間に見かけたのが、飼い主のはずのスザクの元に帰る様子もなく、アーサーは身体を丸めるようにして寝る体制に入っていた。
スザクと一緒ではなかったのか、この部屋に尋ねる理由を求めても猫であるアーサーの気持ちをライは知る由もないけれど、一人部屋に別の生き物がいるというのは一人でいるときよりも独り言がこぼれてしまうのは、安心感のせいか。
アーサーへと伸ばした手で頭から背中へと一撫ですると、ライも寝る支度へと移る為に、薄く白いカーテンの上から重ねるようにして濃い色のカーテンで閉めた。
まだ寒さの残る室内には、チクタクと小さな針の音が耳を澄ませると聞こえてくる。
寝返りの後にずれてしまった布団を肩の方まで引き上げる。その動いた際に何か柔らかいものに触れて、思わずうっすらと目を開き、ゆっくりとした動作で布団を捲って見ると黒い毛を確認するとともに、それがアーサーであると認識するのだ。
布団の上に寝ていたはずのアーサーが、いつの間にかライの布団の中に忍び込んでいた。
寒さを覚えての行動かはわからなかったが、ライはそのままにして布団をかぶり目を瞑る。
ライよりも小さな温もりのはずなのに、布団はいつもよりも暖かく感じる夜となった。
[留め]