コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
★ カテゴリー
カテゴリー別に分かれていて、下に表示されるようになっています。
----LC----- ライ関連
----LC小説---- BL小説
----LC小説Ⅱ---- BL小説
----小説以外---- その他
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★ プロフィール
HN:
ナッキー観音
HP:
性別:
女性
趣味:
BLゲーム/男主夢小説/小説書き
自己紹介:
(女性主権のBL編)(BL編)ライ・受ラブ同盟
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
★ お気に入り
★2009/08/04 (Tue)
一番宣言
樹の緑が徐々に鮮やかな色へと移り変わろうとしていた季節。
赤髪の少女は綺麗に整えた髪を歩くたびになびかせて、並木道にある樹木へと視線を上を向いて、模様がけしようと色の変わるそれらに、もうそんな季節かと目を僅かに細めてみた。
少女、学生服姿のままカレンは、公園の道を歩いている時だった。
鳥の声と風に揺らぐ木々の葉、子供達のハシャギ声やそれに付き添う大人や恋人達の声に交じって、聞き覚えのある声が耳に届いた。
不思議に思って、その音を辿るようにして、早足に歩いて行くと、徐々にベンチのある場所に出て、見間違うはずの無い後姿。柔らかな髪色が目を惹いて、顔を見たわけでもないのに、もしやと期待をこめ、カレンは近づいていった。
「今度は、何の絵を描いてるんだ?」
近づいていくと、柔らかな声がより近づいて少しずつ何を話しているのかがわかっている。こちらには背を向けたままであったが。それが誰なのかも確信めいたものに変わった。
「ライッ!」
声をかけながら駆け寄った姿に、呼ばれたその人物、ライが振りかえった。
さらりと髪が流れて、その映し出す瞳の色がこちらへと向けられ、カレンッと唇が動いた。その声がその表情がライなのだとわかって、喜んだもののつかの間、ライの後ろから顔を覗かせた幼い顔に、先客がいたのだと知り駆け寄る勢い弱まる。
確かに、誰かと話す口ぶりが聞こえていたのだけど、それ以上にライが視線を捕えていたせいなのかも知れない。ただ、ライの背中に隠れて見えなかっただけなのではあるが。
「誰?知りあいなの?」
ナナリーよりも幼い少女がライへと仰ぐようにして、話しかけていた。
少女の髪色は、リヴァルとまた違った青色で、瞳はシャーリーやスザクに似た色をしていた。ベンチの上にライと向かうようにして座っていた、その手元には書いてる途中と見えるスケッチブックと筆記用具や色鉛筆が数本出され、それらが少し散らかったようにあった。
「ああ、彼女はカレン。同じ学校の生徒だ。それから、こっちは、コリーナ。最近知り合った、僕の友人だ」
それぞれに顔を向け、紹介するライへと、名をコリーナというその少女が、口を開いた。
「ライ、そういう時は、ガールフレンドの方がいいと思うけど」
「友人であると紹介はしただろう?」
「・・・・・・わかってないわよね~、ライは。まぁいいけど」
カレンから再び、コリーナへと向けられたライの瞳が、無表情ながら和らいだように見えた。コリーナは興味なさそうに、カレンへと顔を向けて、ふーんと呟いて、
「彼女って言ってたけど、恋人?」
幼いわりに、ませているらしく、カレンに対して探るような視線を向ける。
「ち、違うわよ!。生徒会が同じなだけで」
ライが答えるよりも早く、カレンがうろたえながら否定すると、それを見て、コリーナは含んだように笑ってから、大人びたように笑顔を見せた。
「じゃあ、まだ望みはあるのね」
「え?」
「だって、先に恋人がいるんじゃ、これからもアプローチ出来ないもん」
どういうことというように、カレンはライへと視線を向けると、相手にしていないというより、わかっていないのだろう。その表情を見てため息をつきたくなった。
「ライ、私貴方のこと、好きだよ」
「そうなのか。ありがとう」
「ああ~?本気にしてないでしょ~?」
カレンがいるというのに、何故か二人きりの空気に変わりあることに、カレンは戸惑いを覚えた。ライはともかく、コリーナは遠巻きにカレンを遠ざけているように見える。ナナリー意外で年下と触れ合う機会はあるかどうかは置いとくとしても、子供に嫌われる方ではないように思えるのだ。
カレンの視線に気づいたのか、不意に、ライの腕にある裾をグイグイと下に引っ張って、耳を促すようにすると、ライも答えるように屈めるようにして耳を傾けた。
コリーナが、口元に手を翳すようにライの耳にこそこそと何か耳打って、ライがこちらを一瞥したことに、カレンのドキッと心臓が跳ね上がった。
「カレン」
「え、何?」
「・・・今から飲み物を買いに行こうと思うんだが、何か飲みたいものはあるか?」
カレンの言葉を聞くよりも、コリーナが声を上げた。
「私は、ジュース」
「わかった。カレンは?」
「え、あ、じゃあ、同じもので」
とっさにカレンはそう口にして、それに了解したライはベンチから腰を上げ、その後姿を二人で見送った。
残った二人、とりわけカレンが気まずそうにしていたのだが、視線に気づいてみてみると、コリーナがこちらを睨みつけるように見ていた。いや、単にマジマジと見ていた視線がそう見えただけかもしれない。
「何かしら?」
「その制服、アッシュフォード学園の制服でしょ?」
今更ながらに気づいた、アッシュフォード学園は、ブリタニア人の多いところだというのは知っているし、血は半分同じである日本人には、あまりいい用には見られていないことも、知っている。ブリタニア人から見る日本人の印象もいい意味がないことも、彼女もそのブリタニア人と同じなのだろうか。そう思うと、カレンの口調が自然ときついものに変わった。
「それが、どうしたって言うの」
急に雰囲気が変わったカレンに、コリーナは目を見開いたが、それも一瞬で戻る。
「そう。ライも、あそこの生徒って聞いたけど、彼もブリタニア人なの?」
確認をとるようにコリーナは、伺う視線をカレンに向けた。
「違うわ。彼・・・ライは今はあそこに引き取られてるだけで、ブリタニアか、それとも日本人かなんて、まだわからない」
「どういうこと?そういえば、此処の周辺の事に対して、あんまり詳しくないみたいだし、結構目立つ容姿をしているけど、この辺で見たことがない事と何か関係があるの?」
「ッ!。記憶喪失なのよ。それで居場所が無いから、今は学園の敷地内に滞在しているだけ。ブリタニア人だとか、イレブン人だとか、関係なくね」
「ハーフ?」
「ええ・・・そうね」
「ふーん?ハーフね」
「調べはついてるけど、それ以外の事はまだはっきりといえるわけじゃないのよ。私はそれだけでも嬉しいけど」
子供だからか、油断しているのかよどみなくベラベラと口から出てきた言葉を、コリーナはしっかりと相槌を打ちながら聞いていた。
「もしかして、貴方も、ハーフなの?」
「・・・ええ、日本人の血が入ると、可笑しいかしら」
それが他の者にどう見られてるのかを、理解してる為にとげのある口調になったものの、コリーナは、気にしていないようで、
「私は別に差別はしてないわ。ただ、彼のことが知りたかっただけよ」
「そう。偏見な目で見る人が多いから、それなら、いいけど」
「フン。でも、彼も大変なのね。そう言うとこ一つも教えてくれないから、
まぁ、でも、張り合える人がいるのは嬉しいわね」
「張り合えるって?」
「貴方も好きなんでしょ?ライのこと」
からかうような少女の眼差しに、急激に、頬の色を赤く染めた、カレンは、
「そ、そんなわけ!?」
「嘘?さっき言った事も嘘?」
「違うわよ!、あ」
「・・・お姉ちゃん、モロバレだよ。すぐ顔に出てるから、気づかれる。ああ、でも、ライは鈍感だから苦労しているのは、お互い様よね」
口の端を上げるようにしてから、コリーナはにっこりと微笑む。
カレンに対して、悪い印象は持っていないのはわかったが、ライに好意があるだけに警戒していただけのようだ。そんな事に気づいたカレンに、ライの声がかかる。
「やけに、仲良くなってるな。何かあったのか?」
気さほどとは違って、紙コップを両手して、ライが其処に立っていた。
「ライには、内緒。ねぇ?」
「え?ああ、そうね」
「?」
首を傾げたライの様子に、カレンとコリーナがクスクスと顔を見合すように笑い合って、ライはそれに疑問に思いつつも、カレンとコリーナへと買ってきた飲み物を手渡すと、二人はそれを受け取ってありがとうと笑みを浮かべた。
「そうして並んでいると、仲のいい姉妹みたいだな」
「姉妹じゃなくて、ライバルよ」
「ライバル?」
「そう。あ、そだ」
カレンにこそこそ耳打ちした後、ベンチから降りたコリーナは、飲み物を置いて、散らかった筆記用具を片付け、閉じたスケッチブックの上に置くように集め、手の内に持つと、空いた方の片手で飲み物を抱えた。
「帰るのか?」
「うん、また来るから、その時に、またお願いね」
「お願いって、何のこと?」
カレンが訊ねると、ライが変わりに答えようとするのだが、
「ああ、コリーナが・・・」
「ライ・・・、恥ずかしいから、それ以上は、言っちゃ駄目よ」
「出来るまでの、秘密だったのか?」
「そう。覚えておいてね。じゃあまたね、ライ!それから、カレンお姉ちゃん!」
ぶんぶんと片手を振るようにして、走り去っていたコリーナの後姿を見送って、一休みした二人はベンチから腰を上げて、歩き始めていたのだが、カレンが不意に、先ほどコリーナから聞いた言葉を思い返す。
『ライバルとなったから教えるけど、彼って、好きな人いるみたいよ』
呼びかける声と、覗き込んだ顔に、不意にカレンは、思考が現実に戻る。
「カレン?」
「あ、何?」
「いや、何回か声をかけても返事がなかったから、考え事でもしていたのか?」
「え、ああ、うん。そう、考え事をしてたの。それだけだから気にしないで」
僅かに首を傾げたぐらいでライは、それ以上何も言うこと前を歩き出す。それに追いつくように、隣に並んだカレンは、コリーナの言葉を思い出して、ライに聞いてみることにした。
「ねぇ、よく私といるけど、その、変な意味じゃないんだけど、好きな人とかは、いないの?」
「・・・珍しいな。カレンから、質問なんて」
「そう?。・・・ちょっと興味があったのよ。私や他の子といて、その好きな人にでも見られたりしたら、誤解されるかもしれないじゃないかと思って」
「誤解・・・?」
「ああ、そういうこともあるんじゃないかって話よ」
視線を向けられて、カレンがその視線から逸らすように、正面を向く。すると、ライの口から意外な言葉を聴いた。
「・・・誤解するようなこともないと思うが」
「どういうこと?」
カレンがライへと顔を再び向けると、問いかけられた言葉に、ライは、カレンへと視線を向けて、
「その好きな子と一番長くいるから、だろうか」
「え?」
長くいるとはどういうことかと、問うよりもカレンの記憶がライの思い出を辿る。確かに、ライはいろんな人と一緒にいる姿を見かけたことがあるが、最近では黒の騎士団の仲間となってから、多い気がする。自分といることが。
少女の゛好きな人がいる゛という言葉と、ライからの゛好きな人とは長くいる゛との言葉が組み合わさって出てきた答えは、カレンの中で一つに繋がる。
それを自覚して、顔を染めたカレンが立ち止まると、それに気づいたライは、カレンを振り返った。いつもどおりの表情だった。
これは、勘違いなのかと、なんでもないと言いながら、また歩き出すカレンだったのだが、顔の赤みは抜けてなく、ライに顔の赤い事を指摘され、ますます赤くなった。
「カレン、顔が赤くなっているが、風邪か?」
「ち、違うわよ!。これは、だって、貴方のせいじゃない!!」
「僕の、せい?」
つい、口の滑った言葉に、カレンが黙るようにして、眼を伏せた。だが、それさえも気づいていないライが、困ったようにぼそりと呟く。
「何か言っただろうか。カレンが怒るようなことを」
「怒ってるわけじゃなくて、これは・・・」
「何だ?」
「・・・・」
自覚ないのか、それともあの発言は友好的なものの意味だろうか、ライの表情から心は読み取れない。ただ、今まさに原因があるとすれば、この人の気持ちに鈍い天然さだろう。何か言いたげに開いた口は、引きつって、やがて、ふぅっと、溜息をこぼし、恨みがましく横目に睨んだカレンは、ぼそりと聞こえない声で言った。
「・・・・朴念仁」
「?」
「気がついてないなら、いいわよ。それでも」
走り出したカレンが、数歩手前で立ち止まり、その場でくるっと振り返って、ライに向き直る。
「私も、もう少しがんばってみる。だから・・・」
カレンは腕を前にして、手を拳銃の形に変え、ライの方を向けたまま。
「まだ、好きな人から勝手に狙いそらさないでよ」
ばんっと撃つ振りをして見せて口の両端を引き上げるように笑う。
その表情は、いつものカレンだった。
意味は伝わった確認とることもなく、その表情を見れば、わかったのだが、これ以上言ってしまうのも気恥ずかしくなったのか、ライに手を振るようにして、カレンはその場で別れた。
唖然としたライを一人残して、カレンは小さく笑った。
[留め]
樹の緑が徐々に鮮やかな色へと移り変わろうとしていた季節。
赤髪の少女は綺麗に整えた髪を歩くたびになびかせて、並木道にある樹木へと視線を上を向いて、模様がけしようと色の変わるそれらに、もうそんな季節かと目を僅かに細めてみた。
少女、学生服姿のままカレンは、公園の道を歩いている時だった。
鳥の声と風に揺らぐ木々の葉、子供達のハシャギ声やそれに付き添う大人や恋人達の声に交じって、聞き覚えのある声が耳に届いた。
不思議に思って、その音を辿るようにして、早足に歩いて行くと、徐々にベンチのある場所に出て、見間違うはずの無い後姿。柔らかな髪色が目を惹いて、顔を見たわけでもないのに、もしやと期待をこめ、カレンは近づいていった。
「今度は、何の絵を描いてるんだ?」
近づいていくと、柔らかな声がより近づいて少しずつ何を話しているのかがわかっている。こちらには背を向けたままであったが。それが誰なのかも確信めいたものに変わった。
「ライッ!」
声をかけながら駆け寄った姿に、呼ばれたその人物、ライが振りかえった。
さらりと髪が流れて、その映し出す瞳の色がこちらへと向けられ、カレンッと唇が動いた。その声がその表情がライなのだとわかって、喜んだもののつかの間、ライの後ろから顔を覗かせた幼い顔に、先客がいたのだと知り駆け寄る勢い弱まる。
確かに、誰かと話す口ぶりが聞こえていたのだけど、それ以上にライが視線を捕えていたせいなのかも知れない。ただ、ライの背中に隠れて見えなかっただけなのではあるが。
「誰?知りあいなの?」
ナナリーよりも幼い少女がライへと仰ぐようにして、話しかけていた。
少女の髪色は、リヴァルとまた違った青色で、瞳はシャーリーやスザクに似た色をしていた。ベンチの上にライと向かうようにして座っていた、その手元には書いてる途中と見えるスケッチブックと筆記用具や色鉛筆が数本出され、それらが少し散らかったようにあった。
「ああ、彼女はカレン。同じ学校の生徒だ。それから、こっちは、コリーナ。最近知り合った、僕の友人だ」
それぞれに顔を向け、紹介するライへと、名をコリーナというその少女が、口を開いた。
「ライ、そういう時は、ガールフレンドの方がいいと思うけど」
「友人であると紹介はしただろう?」
「・・・・・・わかってないわよね~、ライは。まぁいいけど」
カレンから再び、コリーナへと向けられたライの瞳が、無表情ながら和らいだように見えた。コリーナは興味なさそうに、カレンへと顔を向けて、ふーんと呟いて、
「彼女って言ってたけど、恋人?」
幼いわりに、ませているらしく、カレンに対して探るような視線を向ける。
「ち、違うわよ!。生徒会が同じなだけで」
ライが答えるよりも早く、カレンがうろたえながら否定すると、それを見て、コリーナは含んだように笑ってから、大人びたように笑顔を見せた。
「じゃあ、まだ望みはあるのね」
「え?」
「だって、先に恋人がいるんじゃ、これからもアプローチ出来ないもん」
どういうことというように、カレンはライへと視線を向けると、相手にしていないというより、わかっていないのだろう。その表情を見てため息をつきたくなった。
「ライ、私貴方のこと、好きだよ」
「そうなのか。ありがとう」
「ああ~?本気にしてないでしょ~?」
カレンがいるというのに、何故か二人きりの空気に変わりあることに、カレンは戸惑いを覚えた。ライはともかく、コリーナは遠巻きにカレンを遠ざけているように見える。ナナリー意外で年下と触れ合う機会はあるかどうかは置いとくとしても、子供に嫌われる方ではないように思えるのだ。
カレンの視線に気づいたのか、不意に、ライの腕にある裾をグイグイと下に引っ張って、耳を促すようにすると、ライも答えるように屈めるようにして耳を傾けた。
コリーナが、口元に手を翳すようにライの耳にこそこそと何か耳打って、ライがこちらを一瞥したことに、カレンのドキッと心臓が跳ね上がった。
「カレン」
「え、何?」
「・・・今から飲み物を買いに行こうと思うんだが、何か飲みたいものはあるか?」
カレンの言葉を聞くよりも、コリーナが声を上げた。
「私は、ジュース」
「わかった。カレンは?」
「え、あ、じゃあ、同じもので」
とっさにカレンはそう口にして、それに了解したライはベンチから腰を上げ、その後姿を二人で見送った。
残った二人、とりわけカレンが気まずそうにしていたのだが、視線に気づいてみてみると、コリーナがこちらを睨みつけるように見ていた。いや、単にマジマジと見ていた視線がそう見えただけかもしれない。
「何かしら?」
「その制服、アッシュフォード学園の制服でしょ?」
今更ながらに気づいた、アッシュフォード学園は、ブリタニア人の多いところだというのは知っているし、血は半分同じである日本人には、あまりいい用には見られていないことも、知っている。ブリタニア人から見る日本人の印象もいい意味がないことも、彼女もそのブリタニア人と同じなのだろうか。そう思うと、カレンの口調が自然ときついものに変わった。
「それが、どうしたって言うの」
急に雰囲気が変わったカレンに、コリーナは目を見開いたが、それも一瞬で戻る。
「そう。ライも、あそこの生徒って聞いたけど、彼もブリタニア人なの?」
確認をとるようにコリーナは、伺う視線をカレンに向けた。
「違うわ。彼・・・ライは今はあそこに引き取られてるだけで、ブリタニアか、それとも日本人かなんて、まだわからない」
「どういうこと?そういえば、此処の周辺の事に対して、あんまり詳しくないみたいだし、結構目立つ容姿をしているけど、この辺で見たことがない事と何か関係があるの?」
「ッ!。記憶喪失なのよ。それで居場所が無いから、今は学園の敷地内に滞在しているだけ。ブリタニア人だとか、イレブン人だとか、関係なくね」
「ハーフ?」
「ええ・・・そうね」
「ふーん?ハーフね」
「調べはついてるけど、それ以外の事はまだはっきりといえるわけじゃないのよ。私はそれだけでも嬉しいけど」
子供だからか、油断しているのかよどみなくベラベラと口から出てきた言葉を、コリーナはしっかりと相槌を打ちながら聞いていた。
「もしかして、貴方も、ハーフなの?」
「・・・ええ、日本人の血が入ると、可笑しいかしら」
それが他の者にどう見られてるのかを、理解してる為にとげのある口調になったものの、コリーナは、気にしていないようで、
「私は別に差別はしてないわ。ただ、彼のことが知りたかっただけよ」
「そう。偏見な目で見る人が多いから、それなら、いいけど」
「フン。でも、彼も大変なのね。そう言うとこ一つも教えてくれないから、
まぁ、でも、張り合える人がいるのは嬉しいわね」
「張り合えるって?」
「貴方も好きなんでしょ?ライのこと」
からかうような少女の眼差しに、急激に、頬の色を赤く染めた、カレンは、
「そ、そんなわけ!?」
「嘘?さっき言った事も嘘?」
「違うわよ!、あ」
「・・・お姉ちゃん、モロバレだよ。すぐ顔に出てるから、気づかれる。ああ、でも、ライは鈍感だから苦労しているのは、お互い様よね」
口の端を上げるようにしてから、コリーナはにっこりと微笑む。
カレンに対して、悪い印象は持っていないのはわかったが、ライに好意があるだけに警戒していただけのようだ。そんな事に気づいたカレンに、ライの声がかかる。
「やけに、仲良くなってるな。何かあったのか?」
気さほどとは違って、紙コップを両手して、ライが其処に立っていた。
「ライには、内緒。ねぇ?」
「え?ああ、そうね」
「?」
首を傾げたライの様子に、カレンとコリーナがクスクスと顔を見合すように笑い合って、ライはそれに疑問に思いつつも、カレンとコリーナへと買ってきた飲み物を手渡すと、二人はそれを受け取ってありがとうと笑みを浮かべた。
「そうして並んでいると、仲のいい姉妹みたいだな」
「姉妹じゃなくて、ライバルよ」
「ライバル?」
「そう。あ、そだ」
カレンにこそこそ耳打ちした後、ベンチから降りたコリーナは、飲み物を置いて、散らかった筆記用具を片付け、閉じたスケッチブックの上に置くように集め、手の内に持つと、空いた方の片手で飲み物を抱えた。
「帰るのか?」
「うん、また来るから、その時に、またお願いね」
「お願いって、何のこと?」
カレンが訊ねると、ライが変わりに答えようとするのだが、
「ああ、コリーナが・・・」
「ライ・・・、恥ずかしいから、それ以上は、言っちゃ駄目よ」
「出来るまでの、秘密だったのか?」
「そう。覚えておいてね。じゃあまたね、ライ!それから、カレンお姉ちゃん!」
ぶんぶんと片手を振るようにして、走り去っていたコリーナの後姿を見送って、一休みした二人はベンチから腰を上げて、歩き始めていたのだが、カレンが不意に、先ほどコリーナから聞いた言葉を思い返す。
『ライバルとなったから教えるけど、彼って、好きな人いるみたいよ』
呼びかける声と、覗き込んだ顔に、不意にカレンは、思考が現実に戻る。
「カレン?」
「あ、何?」
「いや、何回か声をかけても返事がなかったから、考え事でもしていたのか?」
「え、ああ、うん。そう、考え事をしてたの。それだけだから気にしないで」
僅かに首を傾げたぐらいでライは、それ以上何も言うこと前を歩き出す。それに追いつくように、隣に並んだカレンは、コリーナの言葉を思い出して、ライに聞いてみることにした。
「ねぇ、よく私といるけど、その、変な意味じゃないんだけど、好きな人とかは、いないの?」
「・・・珍しいな。カレンから、質問なんて」
「そう?。・・・ちょっと興味があったのよ。私や他の子といて、その好きな人にでも見られたりしたら、誤解されるかもしれないじゃないかと思って」
「誤解・・・?」
「ああ、そういうこともあるんじゃないかって話よ」
視線を向けられて、カレンがその視線から逸らすように、正面を向く。すると、ライの口から意外な言葉を聴いた。
「・・・誤解するようなこともないと思うが」
「どういうこと?」
カレンがライへと顔を再び向けると、問いかけられた言葉に、ライは、カレンへと視線を向けて、
「その好きな子と一番長くいるから、だろうか」
「え?」
長くいるとはどういうことかと、問うよりもカレンの記憶がライの思い出を辿る。確かに、ライはいろんな人と一緒にいる姿を見かけたことがあるが、最近では黒の騎士団の仲間となってから、多い気がする。自分といることが。
少女の゛好きな人がいる゛という言葉と、ライからの゛好きな人とは長くいる゛との言葉が組み合わさって出てきた答えは、カレンの中で一つに繋がる。
それを自覚して、顔を染めたカレンが立ち止まると、それに気づいたライは、カレンを振り返った。いつもどおりの表情だった。
これは、勘違いなのかと、なんでもないと言いながら、また歩き出すカレンだったのだが、顔の赤みは抜けてなく、ライに顔の赤い事を指摘され、ますます赤くなった。
「カレン、顔が赤くなっているが、風邪か?」
「ち、違うわよ!。これは、だって、貴方のせいじゃない!!」
「僕の、せい?」
つい、口の滑った言葉に、カレンが黙るようにして、眼を伏せた。だが、それさえも気づいていないライが、困ったようにぼそりと呟く。
「何か言っただろうか。カレンが怒るようなことを」
「怒ってるわけじゃなくて、これは・・・」
「何だ?」
「・・・・」
自覚ないのか、それともあの発言は友好的なものの意味だろうか、ライの表情から心は読み取れない。ただ、今まさに原因があるとすれば、この人の気持ちに鈍い天然さだろう。何か言いたげに開いた口は、引きつって、やがて、ふぅっと、溜息をこぼし、恨みがましく横目に睨んだカレンは、ぼそりと聞こえない声で言った。
「・・・・朴念仁」
「?」
「気がついてないなら、いいわよ。それでも」
走り出したカレンが、数歩手前で立ち止まり、その場でくるっと振り返って、ライに向き直る。
「私も、もう少しがんばってみる。だから・・・」
カレンは腕を前にして、手を拳銃の形に変え、ライの方を向けたまま。
「まだ、好きな人から勝手に狙いそらさないでよ」
ばんっと撃つ振りをして見せて口の両端を引き上げるように笑う。
その表情は、いつものカレンだった。
意味は伝わった確認とることもなく、その表情を見れば、わかったのだが、これ以上言ってしまうのも気恥ずかしくなったのか、ライに手を振るようにして、カレンはその場で別れた。
唖然としたライを一人残して、カレンは小さく笑った。
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