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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
ほら今日も待ち惚け
ぽたぽたと忙しなくアーサーの尻尾が動いている。
尻尾と関係なく、周りも忙しく動き回っていた。左右に出入りをする足音と、時折話す人の声以外の騒音はなく、通常の通りの日常が始まっていた。
生徒会室にある、ソファを占領して、アーサーは、静かにけれど、耳だけは音を探って、ぴくぴくと反応する。
誰も猫の相手をすることもなく、時間が流れて、偶に、食事のときに呼ばれる以外、アーサーの相手となる人間はこの場にいなかった。
うっすらと開いた瞳から、その様子を見て、人より大きな口をこれ以上ないくらいに開いて、あくびをした。
それから、数分後。
肉球をクッションのように、軽やかな動作でソファを降りて、四つの足を使って、人の出入りから開けぱなしとなった扉から、廊下の道をアーサーは、足音立てずに歩いていく。
すれ違う人がいても、そのすれ違いに振り返ることがあっても、アーサーは、前を見たまま。
外へと出れる渡り廊下を通ると、直接的にもアーサーにも風が吹いて、流れてきた匂いに、アーサーは、顔を向ける。
花の匂いを運んだ風と、アーサーよりも上から聞こえてくる鳥のさえずりぐらいだけで、特に興味をそそられるものは何もなかった。
立ち止まった足を再び、引き返すように進めて、ついた部屋は、何のいたずらか、少しだけ開いていて、簡単に部屋の中へと我が物顔で入ってきたアーサーは、お昼寝の場所の一つとなった、シーツを綺麗に敷かれたベットの上で、横になって、毛づくろいを始める。
部屋の主は、いないことをあらわすように、静かで、アーサーにしてみれば、居心地のいい空間となった。
それから、うとうとと再び、眠りに落ちたアーサーは、ベットの上で気持ちよさそうに、横向きになったまま、手足を伸ばす。
夕刻、ぴくりっと、遠くから聞こえてきた音に反応して、アーサーの耳が動いた。
近づいてくるのは、聞きなれた足音が四つ。
ひくひくと少しばかり、アーサーの鼻も動いた。
声と足音が少しずつ、確実にアーサーの居る部屋へと近づいて、扉が開くと、はっきりとその声を耳に入れた。
「ああ、わかった。それじゃあ」
誰かと会話を終えるようにして、扉が閉まる。
二つの足音が去っていく音の変わりに、もう二つの足音が室内に留まり音を立てる。
部屋の主が帰ってきたというのに、それでも、アーサーは、そのことを気にしていないのか、体制を変えることはなかった。
アーサーに、気づいた人影がベットへと近づいて、ベットが僅かにきしんで、アーサーへと影を覆う。
逃げられない。
侵入者に体裁を加えるのかと、アーサーの頭へと、伸ばした手は、優しく撫でただけに終わった。
近づいてきた気配と匂い、そして、暖かな人肌に触れて、安堵したようにアーサーは、ゴロゴロと喉を鳴らして反応を返す。
見たわけでもないのに、空気を伝って、撫でた手の主は、ふっと笑ったように感じた。
数回撫でるのを繰り返して、名残惜しむように気配と影は離れ、けれど、部屋の外へと向かうことはなく、そのままベットの反対側へと進んで、その主は、体をベットに預けたことを表すように、きしんだ音がアーサーの体を振動となって伝って、聞こえた。
ふぅっと、無意識にこぼれたらしい吐息が、アーサーの耳まで届いてピクリと反応する。
それから、何分か、黒い猫の隣で、枕を使うことなく眠り落ちた部屋の主である少年は、シーツに無造作にその柔らかな色をした細い髪をちりばめて、綺麗な瞳をまぶたの向こう側へと隠して、ただ、呼吸をするように、僅かに薄い唇が開いて、胸が吐息とともに上下に僅かに動き、普段の真面目さを物語るように、襟まできちんと止められたところは、息苦しさからか、着替える前か、僅かにはだけて、白い首筋と鎖骨が覗いて見えていた。
いつもの無表情で近寄りがたい雰囲気が影を潜め、年相応の幼さと無防備さをさらけ出しているように見えたが、それは、この場に彼ら以外の者が居ないゆえの、気の緩みなのかもしれない。
誰かが呼びに来るまでの間、一人と一匹は、仲良く夢の中をさまよっていたのだった。
[留め]