----LC----- ライ関連
----LC小説---- BL小説
----LC小説Ⅱ---- BL小説
----小説以外---- その他
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
今はまだそれが、夢物語であっても
目を覚ましたライは、背伸びをして、今の自分は何処にいるのか確認するように周りを見回した。草の茂った外でいつの間にか寝ていたらしいのだが、何か引っかかりを覚えながらも、歩いていった。
それにしても、目線がいつもより下がっているように見えるのも、異様に気にはなった。
「あ、アーサー。おいで」
振り返り、スザクを視界で確認したライは、こちらに近寄ってきたスザクに声をかけようと口を開こうとして、絶句した。
スザクが近寄るにつれて、大きくなり、ライの傍まで来た頃には見上げないと顔が見れないほどだった。二の句が告げず、目を見開いたライの体が、急に上へと持ち上げられた。
「あれ、アーサー、今日は噛み付かないんだね?」
その言葉に疑問を持った。確かに、目の前にいるスザクはこちらに向けて、アーサーと口にしている。怪訝に思ったライは、口を開くと、にゃーっと、確かに自分の口から声が出た。
「!?」
驚きを隠せないままのライを置き去りにしたまま、スザクが嬉しそうに語りかけてきた。
「君はどうしてか、よく僕を噛むけど、もう噛まないってことは、僕も仲良くなれたかな」
やはり、アーサーと自分に向けて言ってくるスザクに、黙ったままのライは、どうしてこうなったのかを考え始めていた。その様子に気付くこともなく、アーサーを嬉しそうに抱えたスザクは近くのベンチへと、座って、アーサーに向かっていっているのか、独り言をもらし始めた。
「君も馴れるのに時間かかったけど、ライも此処ではそうだったよね。といっても、彼の場合、自分の過去に関する記憶が失っていて、見慣れないましてや誰も知る人もないところでやっていくのは思う以上に辛いことなのかもしれないけど、それでも、きちんと前を見据えて自分を見つけ出そうとしている姿勢は、凄い。だけど、時々思うんだ。もう少し、ほんの少しだけでも他の人に手を差し伸べてみることも覚えた方がいいんじゃないかって、彼は壁を作っているって訳じゃないけど、一歩ひいた所があって、それが少しだけ寂しくもあるんだ。僕も似たようなことあるって言われたんだけどね。
想像でしかないけど、ライも君のように自分を探して頼れる誰かを、いつかは見つけるのかな。そうだったら、僕も嬉しいのだけど」
スザクと呟いた言葉は、にゃあっと猫の鳴く声しか出ず、口を閉ざす。
声をかけたことに気づいてか、鳴き声に反応した、視線は、柔らかに笑いかけて、頭を優しく撫でられた。
「早く見つかるといいね。あ、でも、記憶が戻ってもいなくなるときは、一言くらい残して欲しいな」
言葉の後半から、意識が靄がかかり始めて、スザクとアーサーの姿がその声と共に遠ざかって、眩しい白い光に包まれ目を閉じ、ゆっくりと開いていくと、見慣れた天井が視界に入って、ベットの上にいる事に気づいた。
じんわりと額に冷や汗をかいて、手の甲でぬぐるようにして、吐息を漏らす。
夢だったのかと、思うが、妙に現実的で、手の触れた感覚だけがまだ残っていて、くすぐったいような気恥ずかしさに目を細める。
部屋を出て、歩いて行くと、賑やかな声が聞こえて、生徒会室の扉をくぐると、
「スザク君、派手にやられたわね」
ミレイにそう言われ、乾いた笑いをこぼして、手当てを受けるスザクを目にした。
「仲良くなれたと思ったんだけど、突然人が変わったみたいに、噛みつかれちゃって」
書類に目を通していた、ルルーシュが振り返って、
「猫の気まぐれじゃないか」
「あはは。そうなのかな?」
「すまない」
「?、ライ、何故君が謝るんだ?」
確かに、そのとおりだが、その言葉に何も返せなかった。
あの時傍にいたのは、確かにアーサーであるが、中身は自分だったのだと告げて、信じられるだろうか?と思うのだが、自分でも信じられそうにないと、考えて頭を振って、なんでもないと言う様に否定したライに、首を傾げたスザクは、
「おかしなやつだな」
小さく笑いをこぼして、手当てしたその手をライの前に翳した。
「大丈夫だよ。いつものことだし」
心配したとでも思ったのか、スザクはライに向けて、そう言った。
「噛まれるのはいつものことだけど、不思議なんだ。よくはわからないけど、あの時アーサーじゃない気がしたんだ」
次へ移ろうと、扉を出て行く際に、耳に入ったスザクの言葉に立ち止まって、ライは眼を開く。
ライだけがスザクの言葉に気づいたのだが、それに気にすることなく、此処にいたリヴァル、シャーリー、ルルーシュ、ミレイが反応を返す。
「なに言ってんだよ、スザク。お前が持ってたのは、アーサーだろ?」
「そうだよ。スザク君の飼い猫なんでしょ?」
「既視感ってやつじゃないのか?」
「いつもの事だから、否定したいとか?」
ライとスザク以外わからないから、当たり前の反応なのだが。
「そうじゃなくて、おかしなこと言ってるのはわかってる。それでも、アーサーであるのは頭でわかっているんだけど、何か違うような気がして」
スザクとライ以外にはどうやっても、おかしな発言にしか聞こえず、訝しげななんともいえない視線が突き刺さる。
一部、呆れたように、息をもらしたが、そんな周りの様子さえ気にならなくなってしまうほど、その言葉はライの胸に届いた。
スザクは、自覚はないが、雰囲気でわかったのか、それとも、飼い主だからなのだろうか、理由さえ見つからなかったが、それでも気持ちだけは隠せず、口に笑みを浮かべただけで、ライは生徒会室を後にした。
頭ではない、心のどこかでそう感じたスザクの言葉は、ライにしか通じてなかった。
[終]