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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
あの時、あの場所に君がいなかったら。
気づくことも無く、出会わなかったのだろうか。
それとも、別々の場所に暮らしていたのなら、違う意味で知り会えたのだろうか。
けれど、小さな偶然が、あの時に生まれていたとしたら、
僕らはきっとそれを幸運なんだと思う。
スチールグラス-Frank-
ザーザーと音が静かに、空から雨を降らせていく。
広げた傘を持って、一人の少年が、歩道を歩いていた。
傘の外側を弾いて、地面に流れて、小さな水溜りをところどころに広げていく。
もう一人の少年は、雨から隠れた場所で、雨の寒さとも心の寂しさともとれるくらいに、
膝を抱えた体が小刻みに震えをもたらして、ただじっと、雨が止むのを待っていた。
「そんなところにいるで、何してるんだ?」
見つけられたことに、驚きのどこかに怯えを含めた瞳が自分に影を重ねた少年を仰いで、人がいたことに驚いたよりも好奇心を持った瞳が、見合った。
「お前、家に帰らないのか?」
傘をさした少年を見上げまま、震えた唇が吐息となって出るのだが、言葉は無くて、
「誰か待っているのか?」
次の言葉よりも先に、傘を持った少年が尋ねると、もう一人が返事ではなく、首を横に振って見せた。
どちらかが、何かを口にしたと思うのだが、意識が夢から、現実へと戻され、曖昧な記憶として、残った。
「ライ君、スザク君、朝ごはん出来たわよー。降りてきなさい」
穏やかな声が、下の階から聞こえてきて、
「おはよう!ライ、準備できた?」
ドアを全開にして、スザクが元気にライのいる室内に入ってきた。
「スザク?おはよう 」
「もしかして、今起きたのか。遅いぞ」
ライのいるベットの隣まで、近づいて、起き上がるように上体を起こして、掛け布団をめくり上げ、体を横に向けて、地面に足を降ろすが、寝ぼけ眼なままで、
「ほら、ライ。早く、着替えて。ご飯にしよ、ご飯」
「ん、待って、その前に、顔を洗うから」
「早く早く」
「えっ、あ、ちょっ、っと、待って、スザク。押さないでくれ」
ライをベットから、引っ張り出して、スザクは背中を押すように、やや強引に洗面所へと向かわせた。
食卓には、朝食の準備がふって、見かけ無害なセシルではあるが、その料理の腕前は、独特で、新しい料理を作っては、それを家族に味わせていた。料理の内容は、一般家庭のものとだいぶ違うのだが、慣れとは恐いもので、家では、これが、普通の家庭の味として成り立っていた。
食事を終えて、ランドセルを背中に抱え、行く先は勿論、小学校。
「それじゃ、2人とも気をつけてね」
「うん。行ってきます」
「行ってきます」
「はい、いってらっしゃい。気をつけてね」
エプロン姿に笑顔でお見送りされるのは、いつものこと。
2人は、その笑顔に見送られながら、登校して行った。
「ランドセル、置いてからしたほうがいいよ」
家へ入る寸前、ライの言葉に、一瞬考えるようにして、
「そうだな」
そうして、室内へと上がろうと思われたのだが、スザクは、下駄箱に寄りかかるように置いただけで、
「よし!。じゃあ、行こう」
「え?、でも、ランドセルちゃんと部屋に戻しておかないと、セシルさんに」
「母さんは、学校から直行で遊びに行くんじゃなく、一回家に戻ってから、遊びに行くんだって、約束は果たしてるんだからもういいだろ。皆待ってるし、時間がもったいないから。先行くぞ」
「スザク」
「じゃあ、俺だけでも走るぞ、ライ」
「あ、そんなに急がなくても」
スザクの後を追うようにして、ライが追いかけていく声と共に、玄関の扉がガチャリと音をたてた。その音を聞きつけたのか、セシルさんが、玄関にやってきて。
「あら?、おかしいわね。ライ君とスザク君の声が聞こえたと思ったのだけど、気のせいかしら?。ん」
玄関に置かれぱなしのランドセルを見つけ、目を吊り上げるセシル、しかし、すぐまた表情は和らぎ、仕方ないわねと困った笑い顔へと変わった。
待ち合わせとした、公園への道を2人の少年が走っていた。
「あ、もう、来てる。ライ、急ぐぞ」
「あ、ああ。・・・?」
長い髪がふわりとまって、曲がりがとをまがっていたことに、気をとられ、ライの足が止まった。
一歩後ろから、ついてきているはずのライの姿が遠くで立ち止まったままでいるのに、不審げに思いながら、声を上げた。
「おい。ライ、何してるんだよ!。そんなところで突っ立てないで。早く、こいって!」
「うん」
後ろ髪惹かれつつも、その事を頭の隅に追いやって、スザクの後を追いかける。
公園で、遊ぶ途中、飛んでくるように地面に投げ出されたそれはあやうく友達にぶつかりそうになったのを見て、スザクは眉を顰めて、飛んできた方向を見れば、笑い話をする数名の男の姿があり、拾い上げた缶を投げた。カンッとぶつかって、気づいた視線がスザクの方へと集められる。
「道端に物を捨てるな。それは、ゴミ箱に入れるものだろ」
相手は、自分よりも高く、威圧的であったが、それでも、怯むことなく、まっすぐ見たままそう告げると。
「ああ?お前か、さっき缶をぶつけてきたのは」
「ああ、そうだ。捨てたものを帰したたげだ」
「なんだと」
ギスギスとした嫌な雰囲気に気づいてか、スザクの友人達の方が、その視線に竦んで、スザクに引き返すように数名の友達が集まって、
「スザク、止めろって、相手高校生だろ」
「じゃあ、このままあいつ等の好きにさせるのかよ。公園は、あいつらの物じゃなく、皆の利用している場所なんだ。だから、きちんと言っておく必要があるだろ。一緒に来たくないのなら此処で待ってろ。俺が行ってくる」
スザクを止める者もまた賛同するものも無く、数名の人数と対峙するスザクは、一人だけで、自分よりも背の高い高校生に立ち向かっていった姿に、同級生らは顔を見合わせ、
「ライ、お前も、スザクを止め、え!」
スザク一人では、心配もあるのだろう、ライもまたスザクを追う様にしていった。
「此処は、お前らの私有地じゃない。ちゃんと、ゴミ箱に捨てておくんだな」
「この、ガキ」
殴りかかりそうな気配を察して、スザクもどうにか、相手の攻撃をかわすが、人数と相手の体格差もあってか、捕まってしまったスザクは、胸倉を掴まれ、それでも、意志を曲げないスザクに、今度こそ、来る拳に、
「止めろ!」
ライがスザクを掴んだ相手に向かって、体当たりをした。
「ライ!」
水溜りへと投げ出されたスザクの驚く声をそのままに、矛先をライへと変えた相手に、ライは避けなかった。向かってきた何人かを驚くほど綺麗に受け流すように倒して、最後にスザクを掴んだ男には、一瞬隙を突いて、足をなぎ払い、相手が立ちなおす前に素早い動きで投げ技をかけると、その上にまたぐように乗っかり、
「スザクは、悪くない」
ライは、襟元を掴むようにして、静かに言った。そのとき、ライの片目が赤くなっていったのだか、周りは前髪に陰って見ることはできず、ライに馬乗りされている男だけが、その異様な空気に、冷や汗をかいていた。
「スザクにひどいことはさせない。それでも、お前が抵抗するなら」
ライ!と名前を呼ばれて、我に返ったライの元へ、騒ぎを聞きつけたのか、誰か呼んだのかコチラに駆けつける声と足音が聞こえてきた。そのことに気づいた高校生達は、さっさとどっかへ行ってしまった。ライに乗っかられた、男子高生もライを押しのけるようにして、退散していった。
他の大人が駆けつけてきたことで、大きな怪我にはならなかった。けど、注意を受けたことと、仲間に、凄いと言われた言葉は戸惑った。
それで、遊ぶにも、どうにも興奮が冷め止まぬまま、夢中になって遊べず、見れば、夕日が影を差し、それぞれが先に帰ってしまい、残り二人だけとなってしまった。
「ああ~、結局何しにきたのかわかんないな」
公園にある水道で水を飲み、汚れた顔を手のひらで拭うのだが、綺麗になったというより、薄く広がるだけで、ライに差し出されたハンカチを取って、ようやくふき取っていると、ライが口を開いた。
「そうだな。だけど、スザクさっきのことだけどさ、あんまり無理はするなよ。僕も皆もあの時すごく心配してたから」
「そんなこと言って、ライだって、向かってたじゃん。皆驚いてたぞ」
「あ、あれは」
「ごめん。俺を心配してきたんだもんな。けど、ライ。お前も無理するなよ。何かあの時、俺の言葉にすぐ気づかないくらい、お前様子おかしかったし」
「え。あ。うん、そうだね」
「?」
「それより、どうしようか、この格好。見た目でもすぐにわかるだろうから」
「あ」
昨日の雨で、水溜りができていたことは知ってはいたが、それの配慮をかいた上、さらに、ところどろに小さな傷を作っていた姿を果たして、遊んで出来たものと片付けられるのかと、今更ながらに、自分の有様に悩んだ。
玄関から、扉の開いた音と共に、二人の声が響いて、
「お帰りなさい、って、いない。!あら、どうしたの、靴が泥まみれじゃない」
「スザク君、ライ君、ちょっと降りてきなさい」
一階から、セシルの声が怒ったような声で、
「ああ、もうバレてるや」とスザクは小声で言った後に、
「ハーイ。母さん、何か用」
と二階へ上がる階段から、2人は下へと顔を覗かせて、
「何か用じゃないでしょう?。2人ともお風呂入った後で、ちゃんと説明してもらうわよ」
「ハーイ」
と2人揃って、返事をして、顔を引っ込めると困ったように笑い合った。
食事前に、手当てをして、いつものキッチンテーブルへと席についたスザクとライに、セシルが早速声をかけた。
「何があったの?。さっき洗濯機の中覗いたんだけど、服も汚れてあったし、2人ともところどころ小さな傷があったけど」
「えっと」
「もしかして、喧嘩?」
「ロイドさん、そこは喜ぶことじゃないですよ」
「そのくらい、元気有り余ってるのなら、健康でいいんじゃない」
「ロイドさん!」
詰め寄る体制のセシルに、ロイドが苦笑いをこぼしていると、
「あの、喧嘩じゃないですから」
ロイドとセシルの視線が、向けられ、ライが今日あった事を静かに話し始めると、話す間、それを思い出してか、スザクが不機嫌そうな顔になった。
「そんなことが」
「だから、僕が止めれたのに、止めなかったから」
ライがそれ以上の謝罪の言葉を遮って、スザクが言い募る。
「ライは、悪くない。俺一人でやっただけなんだから」
「スザク君」
「セシル母さん、スザク一人が悪い訳じゃないんだ。僕もスザクを止めなかった、責任があるから。スザク、一人を責めないでください」
「ライ君・・・。しょうがないわね。貴方達は、進んで人を傷つけるような事を、するとは思ってないし、多少強引なところはあったのは納得できないけど、悪い事をしたわけではないし、そうね。今日のところは、大目に見るけど、今度は、ちゃんと反省してもらいますからね」
セシルの優しさに、2人は大きく頷いた。
「「ハイ」」
「そうやってると、本当に双子みたいだね~」
「妙なところで、息ピッタリなのよね。本当に、双子みたいよ?」
「双子じゃなくて、兄弟だから。俺達」
「うん、約束した仲だからね」
スザクとライの二人の言葉に、セシルだけが、首を傾げた。
「何かしら、約束って」
そう言われ、スザクとライが、
「俺がにぃちゃんっであることは、譲らない」
「それと、僕がスザクを守るって事」
ねっと顔を合わせて、手首にある腕輪を合わせるように、スザクとライが片手を突き出し、手をクロスさせると、手首の腕輪がじゃりと音をたてた。
「いつの間に、そんな」
「確か、あれは、僕がプレゼントしたものだよ。寄集めたものだけどね。2人が気に入ってつけてるだから、いいんじゃない?それよりも、こうして、普通に兄弟として成り立っているのは、いい傾向なんじゃないかな」
「そうだったわね。ライ君をはじめて、此処にスザク君が連れて来た事から始まって、兄弟になって、家族になって、今では、2人一緒にいるのが、当たり前になってて忘れていたけれど」
「約束がある限り、俺達は兄弟だ」
「うん」
そうやって、屈託無く笑い合う2人を見て、また、セシルとロイドもそれぞれに笑みを浮かべた。
(ジキタリス)