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主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
物言わぬ鳴き声
靴跡をならして、それは時折止まったり、動いたりと忙しい動きをしていた。
ライは、数分前から探し物をしていたのだった。探し物と言っても彼の私物をではなく、スザク関係の探し物と言えば何か分かるかも知れない。
話は数分前、スザクを中庭で見つけた所から始まった。
キョロキョロと周りに首をめぐらし、何かの名前を連呼しているスザクへと足を止めていたライの視線が不意にスザクと合い、声をかける前に行動の早いスザクがライの方へと歩み寄った。
いつからかこうして探している姿によく出くわすような気がしたが、軍人として学生として生活を両立した忙しい日々の中でそういうわけにはいかないだろうと、思い直す。
スザクが案の定、猫の捜索の手助けを望まれた言葉を聞き、ライは仮もある手前断らず頷いてみせると、まだ猫の発見前だというのにスザクが嬉しそうにしていた。
一箇所を探すよりも手分けして順番に探し歩く事に二人は頷きあって互いに左右へと散らばった。
リヴァルが前に生徒会室で、互いにあわせてるわけでもないのに嫌に連携の取れた書類整理に、感嘆の声をもらしていたのだが、当人同士にそういった意識はなかった。現に問えば、ライはライでスザクが動きがいいからなんだと言い、スザクはスザクでそうかな?ライの方が凄いよ。ほんの僅かの間にもこれだけこなしてるんだからっと、お互い似たり寄ったりの意見に、その場に居合わせた生徒会長のミレイは苦笑して、仲いいねと嬉しそうに言うシャーリーに頷くニーナ、リヴァルはそれに呆れ顔を見せ、残りの二人は特に表情の変化はなかったが、ルルーシュの方は呆れに近いものはあった。
探し始めて目に見えないものを探すのにも手がかりとなる情報はなく、厳しい状況下なのだが、見える範囲の、小さいものにも見つけ出すのに目を凝らしても、何処かで見落としていまうほど、人の目の認識力は陥りやすいため、難しいことだと再認識させられる。
戦闘では人が驚くほど脅威の行動力と判断力で武力を上げているが、たった一匹の猫にこんなにも振り回されているのは滑稽な様にも見えるが、地上での人と獣の差はなかなかに近づくことは用意ではないため仕方ない事かもしれない。
アーサーと出会うことはあっても、アーサーの行動範囲を知るのは僅かで葉所も限られる。気まぐれな猫の性質か、アーサーの性格か定かではないが、ころころと落ち着く場所を選んで変えるため、なかなか探すのには苦労を強いられたりする。
猫は高く狭いところを好むと誰かに教わったのを思い出してか、視界を上へとめぐらせたライは、木々の間の僅かな隙間に違和感を覚え、その木の元へと足を早めた。
日差しは樹の隙間からも一筋の線を作り、木の葉と枝とで地面に模様を作り、影となる。
見上げた目には覆いかぶさるよう映る緑とそれを支える木の枝ばかりで、場所を移し視線を変えてみれば、二つの目がこちらを見ていた。
「アーサー・・・?」
問いかけた声に、答える声はない。
合った視線は、ガサっと枝を揺らした音の後、姿を奥へと消した。
上へと移動したようだ。それを見届けたライは、樹木へと手をかける。
体が覚えていたようで、木の枝を持ち、足場を確保しながら、登っていた視界は、不意にあるものを捉えた。 毛に覆われたそれは、先程視線に見覚えのある、猫だ。
近くまで来ると、獣のうめき声がその猫の方から聞こえて来た。
アーサーと毛並みの色合いは同じでも、別の猫であることは理解できたライへと、猫は警戒心を露にするように牙をちらつかせた。ライはそれに、逢ったばかりの自分とそれが似た印象に思えた。
「ライ。ここにいたんだ」
木の根元を背にして腰を降ろしていたライへと、スザクの声がかかった。
その胸元には、抱えるように抱いたアーサーの姿がライの視界に入る。
「見つかったんだな」
相変わらずらしく、手に噛まれた後を見つけたライが、そう言いながら、アーサーへと視線を向けると、スザクは頷いて見せた。
「うん、さっきだけどね。ところで、ライ、その猫はどうしたんだい?」
スザクがライの近くに寝そべっている猫を覗くようにして、聞いてみると、ライは猫を撫でながら話し出した。
「此処で見つけた。何処から入った迷い猫だろう」
と優しげにそう言いながらのライに一度視線をやったスザクが、猫へと視線を戻し、首元に毛と同じ色合いでよくわからなかったが、首輪を目にして、成る程と納得をした。
「おとなしい子なんだね。僕も、触っ・・痛っ、アーサー・・・」
急に被りついたアーサーが腕から抜け出し、噛まれた手をもう一つの手で覆ってスザクが困ったように眉を下げ、アーサーに視線を向けるが、アーサーはライの元へとやってきて、鳴き声を上げる。すると、それを耳にしたのか、撫ぜられていた猫の耳がぴくりと反応を示し、立ち上がり一度ライを見上げると、その場から去るようにして歩いていった。
「急にどうしたんだろう。家に帰るのかな?」
その後姿をみながら、そう口にしたスザクへ視線を向けたライは、不意に立ち上がった。
木陰の出来たそこへ、今度はアーサーが横になる体制をとる。
「アーサー?」
「寝る気らしいな」
それぞれが、アーサーへ視線を向け口にするが、アーサーは耳をぴくりと動かし、しっぽの先をぱたぱたと動かすだけで終わった。
「捕まえるか?」
問いかけられたスザクは、首を振って、このままにしとくよ、気に入った場所なんだろうからっと言った言葉を聞いて、ライが笑うと、引き返すようにスザクの横を通って背中を向けて立ち止まると、スザクへと振り返る。
「戻るか」
「そうだね」
そう言って、ライの後から並ぶようにして歩き出したスザクが不意に気付いた。
「ライ、その腕の傷は?」
ライの腕が何かに引っかけたように後を残し僅かに血を流していたのを、今更ながらに知ったスザクが驚いたように声を出したのに、ライは気にしたようでもなく、腕を見せるようにしながら、
「ああ。猫にやられた傷だな」
「猫って、さっきの猫かい?」
それに頷いて、「血は出てるが、大して痛いものではない」と言い切るライに不安を覚えた、スザクはもう片方の手を取って、
「駄目だよ!。化膿したら、どうするんだ!?」
と言いながらもぐいぐいと、ライを引っ張りながら、校舎の方へと歩く足を速める。
スザクも似たような怪我をしてるっとライは言いそうになった口を閉じた。
次に言われるだろう言葉を予想して、大人しくライはスザクに同行した。
[留め]