あばくのでなくわかりたいです

訪問者様、拍手を押してくださった方、ありがとうございます!
残ったほうの手は伸ばすの続きで、
ナナリー×ライです。
お話は、続きからになります。

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あばくのでなくわかりたいです



「・・・わかったよ」

「えっ・・・？」


　冗談に乗ってくれたライに、ナナリーは驚きを隠せなかった。


「ナナリーが今日一日学んだことを宿題として、次の機会までに復習して僕に提出することが条件だ。それをクリアできれば、僕はナナリーの願いを一つだけ何でも叶えることを約束するよ」

「本当に、いいんですか？」

「ああ、嘘は言ってないよ」

「後で、後悔とかしませんか？」


　不安がある様子で顔を覗き込むナナリーに、ライは首を傾げた。


「？　既に叶えたい願いが何か決まっているのか？」

「いえ、そういうわけではないですけど（本当は、いっぱいありすぎて言い出せないなんて、ライさんに言えないけど）私、宿題頑張ってクリアさせますので、期待しててください!」


　ガツッポーズで胸に拳を握るナナリーのやる気ある態度に、ライは返す。


「うん。待ってるよ」


　ライは涼やかな双眸を細めて優しく笑ったのを感じとり、にっこりと微笑み返すナナリーは、そっと手を伸ばした。
　探るように触れたのは白く繊細な指先と少しだけ大きな手に自分の片手を重ね、もう一つの手でノートに文字をつづった。


　
　I am happy that we can smile with you.

　訳すると今の私の気持ちになります。


　読み終えたライは少し瞠目しつつも、手を繋るとナナリーはより深く笑みを強くしぎゅっと握り返した。　

　扉の隙間から、密かに覗き込んだ咲世子がその光景に鼻血を出していたことなど知るよしもなかったのだった。　


　終わり