----LC----- ライ関連
----LC小説---- BL小説
----LC小説Ⅱ---- BL小説
----小説以外---- その他
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
全部揃ってる、でも欠けてる
家に入る前、違和感に気づいたのが最初、家に帰ってくると聞こえるあの暖かな声もその姿もなく、明かりもない。
スザクは、誰もいない玄関でただいまと一言声をかけてみるのだが、やってくる気配もない。首を傾げて、まっすぐ続く小さな廊下を歩いてダイニングルームへと向かうと、きょろきょろと辺りを見回す。
「ライ?」
ネクタイを緩めながら、部屋から部屋へ、それこそ、浴室やトイレ、ベランダにも顔を出してみるのだけど、明かりもないまま、しかもライの姿が何処にもない。買い物か友達と何処かに遊びにでもと思ったのだが、あったとしても買い物はともかく、出かける時は連絡くらいしているはすだ。だが、今日は、それがない。どういうことだろうか。出て行ったという考えは今のスザクには、なかった。
二人がけのソファに腰を深く下ろして、天井へと仰いでスザクが、溜息をついていると、何処からともなく震える音が聞こえた。視線を向けると、目の前にある丸いテーブルに置かれた自分の携帯が震えているのがわかった。
マナーにしていたことを思い出して、携帯を手に取り、画面を開いた。
メールではなく、電話だった。
「・・・はい」
ライと思いきや、見知らぬ電話番号に気分が落胆しつつ、スザクは、応じてみた。
「スザク、今何処にいるんだ?」
だが、聞こえてきた声は、自分が探していたライの声だった。
驚いたようにソファから、立ち上がったスザクが<
「ライ、君こそ今何処にいるんだい?部屋を何処にも見あらなかったから、何かあったのか思って心配したんだよ」
「すまない。連絡を入れる前に、友人達が来ていてそれで遅れたんだ」
「友達と?」
「それより、スザク、今、何処にいるんだ?」
「仕事が終わって、今は、家にいるけど」
「では、疲れているところすまないが、これから、アッシュフォード学園のほうに向かってくれないか。それから、出来れば学生時の制服をもってきてくれ。訳はその時に話す」
「アッシュフォード学園って、どうしてそこに・・・」
「すまない。それ以上はいえない。だが、僕も今はそのアッシュフォードに来ているんだ。君も来ることを期待して待ってる。では、また後で」
そう言って、電話の切れる音を聞く前に、ライの後ろで物音や人の声が聞こえてきた。
ライの居場所を知ったスザクは、それに、疑問しながらも、とりあえず、制服をもって、学園に向かってみることにした。
「ライ」
アッシュフォード学園にいってみると、言ったとおりライが、学園の前にいた。何故か、服装は、学生の時の制服だったが、スザクに気づいて、顔を上げると、
「それで、訳を聞かせてくれるかい?」
「その前に、行こう。こっちだ」
スザクの手をとると、そのまま夜だと言うのに、何故か門が開いてる学園内へと足を踏み込んで、まっすぐに歩いていく。
月の光がほのかに辺りを映す、ライもその光を浴びて風で揺らめく銀波を髪に作って、夜により一層引き立つ白い肌がスザクのほうへと振り返り影を射す。
「ライ? どうして、制服なんだい?。それに、夜なのにどうして学園の門が開いてる? これは一体?」
その問いに答えぬまま、ライは小さく静かに瞳を細めてから、再び凛としてまっすぐな姿勢のまま歩いていく。止まったのは、学園が良く見える
横に並ぶと、掴んだ細い手が離れたけれど、お互いの身体を向き合うように顔を合わせたライに、スザクも同じ速度で顔を向けた。
「スザク、僕とであった頃を覚えているか?」
「覚えてるよ。ちゃんと」
「此処から始まって、今日までを生きてきたんだ」
先にその薄い唇を開いたのは、ライのほうだった。
「選ぶ選択肢は時に間違いはあっただろうけれど、君を選んだことに後悔はない」
うつむき加減で、そう言ったライは、不意に顔をあげて、
「今まで、ありがとう」
「ライ・・・」
なんだろう、胸の中芽生える違和感が、今は頭の中でズキズキと警告音を鳴り響かせていた。良くないことを切り出すような、しっとりとした静かな空気があるのが、心地悪くて、スザクは、胸を押さえるかのように自分の服を掴んだ。
「・・・・そして、ーーこれからも共に生きよう」
「えっ・・・?」
「一日遅れだが、お誕生おめでとう、スザク」
小さく眼を細めてそう言った言葉が、合図のように小さな光が昇って、夜空ではじけるように大きな花を咲かせた。
いくつも上がる花火を見上げて、スザクはその輝きを瞳に映す。
「ハッピーバースデー、スザク君」
「おめでとうございます。スザクさん」
ライへと問いかける前に、暗闇の中から月の光に照らし出されその姿を現し、ながら、声をかけた人物へと視線を向ける。こちらも、女子の制服を着ていた。
「ミレイさん、ニーナ」
そこに、新たな人物の声が、入ってくる。ミレイが一瞬、ライの方に視線を向けたが、何も言わなかった。
「まさか、呼び出されて、久しぶりにこうして集まるのはいいとしても、学生じゃないんですから、もう少し考えてもらいたいものだ」
「ルルーシュも」
知った顔ぶれに驚くスザクをおいて、ミレイが、意味深な笑みを浮かべて、
「ルルーシュたら、そんなこと言って、久しぶりに皆が揃う上、ライに会えるから、内心嬉しかったんじゃない?」
「確かに、学生の時の面々がこうして顔を揃えるのは、久しぶりですが、ライとは、いまだ続く、長い付き合いですから」
「結局、その友人止まりだったけどね」
「・・・・」
そんな二人の会話に、入るようにして、スザクが声をかける。
「こうして、会うのは、久しぶりですね。あ、ミレイさんとは画面越しですけど、いつも元気ですよね」
「ありがとう。私の番組見てくれてたなんて、嬉しいわね。だけど、まだ忘れてるわよ」
屋上へと振り返ったミレイにしたがってそこに目を向けると、そこに人影が見えて、手を振るようにして、こちらに呼びかけたのは、
「おーい!、スザク。俺も忘れんなよ」
「リヴァル、まだ花火上げる途中で、きゃ!?」
「うわ!、シャーリーさん、ちゃんと見ておいてくださいよ。じゃないと」
屋上で花火を挙げていたのは、この三人らしい。
「リヴァルと、それに、シャーリーやロロもいるわよ」
「シャーリーとロロも」
「後、あ、今ようやく着いたみたいね」
現れたのは、制服姿のカレンとジノとアーニャの三人だった。
「ごめんなさい!、遅そくなった・・・って、え?、何、急いできたのに、もう始まってたの?」
「はは、出遅れたな」
「そういう、ジノも遅刻」
パシャッと、フラッシュの光が瞬いて、携帯を驚いた表情のスザクに向けて、アーニャが撮っていた。
「アーニャもだろ?。ま、でも、これで揃ってるんだし、例のパーティーとやらが始められますね」
場所を中庭へと移って行くと、連れてこられた先には、咲世子とナナリーがお出迎えし、スザクにそれぞれ祝いの言葉をかけた。
それにも、嬉しそうに笑みを浮かべたスザクを、リヴァルが声をかけてきた。
それに続くように後から、シャーリーとロロもやって来た。
スザクはライの言った通り、持ってきた制服に着替えて戻ってくると、さまざまな料理の並ぶ四角いテーブルに集って、皆がグラスを手にして、ミレイがちらりと見渡してから、こほんと目をつぶって咳払いをして、拳をマイクに見立てると、ミレイが宣言した。
「本日のみ、生徒会長復活! ただいまより、スザク君お祝いイベント、学制服パーティーを開幕します。それでは、高らかにグラスをもち上げて、スザク君に乾杯!!」
ミレイの後に続くように、グラスが持ちあがり、乾杯を合図にして、パーティーは、始まった。
皆のいるところから、離れた場所でそれを見ていたライの隣には、スザクがいた。
「さっきまで君に何を言われるのかって、嫌なことばかり考えて、不安だったけど、今日、こうして学生の時の皆と一緒に祝えるなんてのも、驚いたよ」
「不安にさせたのか?、そんなつもりはなかったのだが」
「ううん、嬉しかったんだ。皆と久し振り会えたこと、こうして祝ってもらったことが」
「それなら、このパーティーも成功といえる」
「うん、だけど、その中でも、ライの言葉の方が僕の中で大きかったよ」
「そうか?」
「うん、あれも打ち合わせ通りなのかい? 何か台本があったとか」
それに、ライは、緩く横に首を振って、
「最初に僕からおめでとうと言うことが合図となって、花火を打ち上げると話し合いはしていたのだが、いざ、やるとなると覚えたはずの言葉が、出て来なくて、前半はアドリブだ。ミレイさんは気付いていたようだが何も言われなかったから、助かった」
「じゃあ、本当の台詞はなんて言うはずだったんだい?」
それを尋ねたスザクに、ライは、周囲へと目をやって、誰も見ていないことに安どしつつ、僅かに頬を染めたまま、目を伏せる。
「それは先ほども終わったばかりだろう。何故、そうまで知りたい」
「何を言うつもりだったのか、正直に知りたくなっただけだよ」
「知るほどの事ではないが、どうしてもか?」
頷いたスザクに、小さく吐息を漏らしたライは、呟くようにして。
「わかった…聞き逃したと後で問い詰めても、二度は言わない」
スザクだけに届く音量でライが、台詞を言うと、聞いたスザクは瞳を見開いて、嬉しそうに笑顔に変え抱きついた。
皆の視線があることに気付いたライが、身じろぐように捉えた腕から逃れようとする。
もう一度聞きたかったけれど、釘を刺されたのを思い出して、スザクは、肩口に顔を預けて、言った言葉に、ライの動きが止まる。
「君と生きて良かったと、今この腕で実感してる」
戦いから離れた日常へと舞い戻って、小さな幸せを見つけた。
場所で物では到底及ばぬが、誰もが手に出来て誰もがそれに気づかない、誰かの傍にある幸せを、スザクはライの隣で見つけた。ライも同じように。
賑やかな声は遠くにあるけど、スザクとライを取り囲む周囲には、静かな風景しかなく、小さく髪を揺らす程度の風しかなかった。
抱きしめた腕を離しても、距離だけは変わらずに、なんの言葉もなしに、額をくっつけて、お互いを凝視してから、静かに瞼の閉じる動きと共に、唇を合わさった。
それは、触れ合う程度で離れると瞳を合わせて、笑いあうように同時に口に笑みを浮かべてから、キスをして、唇から耳、耳から首元へと移動していくままに、片方の手で器用に学生服の前をはだけていく。
押されるままに、片方の腕でからだを支えるように突っぱねながら、
「待てっ、まだミレイさん達が」
「ミレイさんには、二人で学園内を見て回ってるって話してるから、その後帰るとも言ってあるし、気付かないと思うよ」
「だが」
口を閉ざされるように、再びスザクにキスをされて、
「それに、まだ誕生日プレゼントは貰ってないから、僕が此処で貰ってもいいよね」
「プレゼント?、それが欲しいのなら、帰れば用意して、っスザク?!」
もう一つのスザクが支えるように腰にあてていた手が、背中をなでるよう、中に入り込む。
「ごめんね。それも嬉しいけど、僕は欲張りだから、今目の前にある者の方が、嬉しいんだ。だから、ライ、君の暖かさ、僕にも分けて」
前をはだけたスザクが覆いかぶさるようにライの左右に手をついて、ライの弱いとされるところの気の沈んだ時の弱った瞳を向けて口にする。
頭に手をやって何をやっているんだと、スザクにも流されかけてる自分にも、苦悩するところだが、逃げられる状態ではなく、また本当に嫌なら、こうなる前に先に動いてるのだが。
ミレイ達の声が遠くに聞こえたことに、目をつぶってから、ライは、目を開くと、
「後で見つかって、怒られるのは僕たちの方だ。それでもよしとするなら」
「そうだね。だけど、今日くらい大目に見てもらおうか。それよりも、ライ、家にいるときくらいの素直さで、頷いてほしかったな」
「僕もどうかしてるが、こんな時に気分が妙に高揚しているのは、確かだが。そこまで理性は捨ててはいない」
「じゃあ、大丈夫だね」
「何がだ」
「気分が高揚しているって言ったのは、君だよ。だから、そっちを高めさせていけばいいってことだね」
「ばっ…!」
その言葉も近づいたスザクの口の中に飲み干されて、舌で溶かされ、息切れするほどに苦しくなったところで、口付けが離れても、スザクの手の動きと身体を移動する顔の動きだけは止まらず、ライもそれに触発されるように動いて、スザクの頭の柔らかな髪をその手に差し入れて掴む。
熱い吐息が思わずライの口からこぼれて、顔を上へとそらしたことに、空がを映る。静かな夜空の冷たさとは、反対に身体は熱をもって上昇していく。
誕生日祝いの夜に、スザクは、確かに自分にしか手に取れないぬくもりと幸せを同時に手にするのだった。
[留め]