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コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
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主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
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★2009/12/25 (Fri)
クリスマスの
C.C.×ライです。
お話は、続きからになります。

拍手を送る



消え行く雪に未来を垣間見る


 室内は薄暗いながらも、窓辺に見える月夜と蝋燭だけが仄かに、人を映し出す。
 蝋燭と普段よりも彩る部屋が、いつもとは違う雰囲気へと変わっていた。
 その中に陣取るようにしてC.C.は、普段と違う赤と白のサンタ服で、ベットに腰掛けたままライを出迎えた。
 

「待ったぞ。来ないのなら、先に始めようかと思ってたところだ」

「その衣装でか?」

「雰囲気にあわせようと思っただけだ。まあ、期待するような反応ではなかったな」


 C.C.は、ライに何を求めていたのか、喜べばよかったのか、驚くべきだったのか、それとも、賛辞の言葉を待っていたというのか、言葉に迷うライに気にした様子もなく、あらかじめ用意されたテーブルの前に座ると、ライも倣うように反対側に座る。


「お前の衣装は、何だ?」

「トナカイだ。それよりも、ケーキに蝋燭、小さなクリスマスツリー、全部用意してたのか」

「用意したのは、ルルーシュだ。無論、飾りつけもな」


 飾り付けをルルーシュが、C.C.に頼まれたからと動くことではないことはライにもわかってはいたが、では、一体どうやってそんなことをやらせたのか、ライは知る由もなかった。だが、眉を寄せながらも飾りつけを手伝ったのだろうとライは思い浮かべてしまいふっと笑ってしまい、ライは心ですまないと謝る。
 丁度、ライの目線に置物があり、それを見てか、C.C.が話し出す。


「因みに、お前の見ているそれは、殺風景なこの部屋とお前へのプレゼントだそうだ」


 白のオーナメントハンガーとそれにぶら下げてある海の青を特徴としたアーティフィカルボールが部屋の彩のように存在している。
 確かに、所持品のあまりないライの部屋は、生活する程度の家具や物はあっても、ライの部屋だと分かる特徴は何もなかった。殺風景という言葉も、似合っていた。
 ルルーシュから贈り物があると思ってなかったライは、少し驚いたものの、気になったことを訊ねる。


「ルルーシュに何か言われたんじゃないか」

「答えるのは簡単だが、聞きたいか?」

「いや、安易に想像は出来る」

「なら、もういいだろう。それより、衣装、ケーキ、蝋燭、ツリー、私とお前、さて、他に何が必要になる?」


 謎かけのようにC.C.が質問を出すと、コンコンと叩く音共に、ライも知る配達員の声が聞こえた。


「まさか」

「正解だ」

 
 口の端をあげるように、C.C.がカードを取り出した。
 C.C.がいるときは、よく目にする食べ物がテーブルに加わった。


「やはりピザがなくては、話にならんからな」


 テーブルの上にはピザが占領し、本来の目玉であるツリーやケーキは端の方に追いやられている光景に、ライが呆れを含んだ声でぼそりと口にする。


「クリスマスもピザなのか?」

「クリスマス限定の特別なピザだぞ」


 乾杯するのを他所に、C.C.が既に一枚手に取ると、口に含んで噛む様にして、食べていく。


「ピザはピザだろ」


 一瞥したライは、切り分けたケーキをお皿の上によそおい、C.C.と自分の前へと置いた。
 ケーキとライを目にして、C.C.は、ライが見るには新しいチーズ君人形を小脇に抱えるようにして寄せると、


「お前は何も知らないからそう言える。今なら、もれなくサンタバージョンのチーズ君が貰えるのだぞ」


 ポイントカードを集めたからか、チーズ君人形と共にピザを抱えてきた配達員にライは、瞠目したと共に呆れた顔をした。


「目的はそっちか」

「腹に入れば皆同じだ。今日は大量だからな。お前も食えばいい」

「遠慮しておく」


 ピザに何らかの苦手意識を持っているライは、即答した。
 クリスマスパーティーでは、皆の用意したさまざまな料理があるにもかかわらず、クリスマスの定番ではなく、大半がピザを占めているというのは、何か別のイベントのようにライは思えてしまい、


「クリスマスというより、ピザ祭りだな」

「それは、いいな。ピザ祭りをしたいとお前が頼めば、お祭り好きな例の生徒会長とやらも喜ぶんじゃないか?」

「それが生徒によるものなら賛同しないでもないが、私言ではまかり通るものではないだろう」

「硬い男だな」


 つまらなそうにそう吐いたC.C.はこれ以上言う言葉も無かった事に、ライはふっと笑った。





 一段落した後、ライが不意に動く。
 ピザを食べつくし、スペースの開いたテーブルの上に、ライが滑らすようにして、小さな箱を置いた。


「忘れる前に、これを君に渡しておく」

「何だ?」

 
 視線で何のマネだっと問いかけてきたC.C.へと、


「? プレゼントだ」

「・・・お前がか。珍しいことをするな」


 期待はしてなかったと言葉に滲ませて、C.C.はそれを手に取る。その様子を見ながら、ライは付け加えるように口を開く。


「本来は、家族や恋人過ごして祝うイベントだが、贈り物を送る日でもある。あまり言いたくはないが、君に助けられてるところもある。その、恩返しにと、受け取ってもらえばそれでいい」

「ふうん。義理立てか、まあ、見てやろう」


 包んでいた包装紙とリボンを解いて、小さな箱を開けると、中には、小さなエンゼルベルが二つ収められていた。 羽根や装飾までされた加工品であったが、小さなリボンにくくられた上を持ち上げてみると、飾り物だけではないらしく、チリンチリンと可愛らしい音が鳴る。


「随分とらしくないものを選んだな。お前の見立てか?」

「ああ・・・」


 顔には出ずとも多少緊張して見えるのはわかった。
 それが、誰かと一緒に選んだのではなく、個人的に選んできたようだと視線を逸らしたライの頬に照れが見えたからだった。
 その様子に面白そうに口に笑みを宿したじっとそれを眺めるC.C.は、一言口にした。


「気に入らん」

「・・・そういうだろうことも考えたが、仕方ない。もう一度、望むものと取り替えてくるから、箱に戻してこちらへ」


 一瞬瞳を曇らせたライが見えたが、それに気づくそぶりも見せずに、C.C.は言った。


「渡したものを返せとは、無粋な奴だな」

「気に入らないのだろう。だから、別のものと」


 その言葉に目を細めたC.C.は、


「私が気に入らんといったのは、お前の考えてる理由とは違う」

「どういうことだ?」

「まあ、これは、貰ってやろう。その代わり、責任はとれるなら」


 ライの問いに答えることもなく、C.C.の手の中に握りこんだベルが持ち替えたときに、一度チリンと音を立てた。


「何の責任だ」

「プレゼントのだ」

「プレゼント? そのベルの事か」

「違う」


 トントンと自分を叩くC.C.に、困惑したライは、


「・・・何の冗談だ」

「冗談? 何がだ?」

「安易に自分の身体を差し出すような真似はらしく」


 ライの表情は真剣ながらも、横に向けた視線と共に、頬に僅かな赤みが差した。


「何を勘違いしてる。坊や。お前にやるのは私が着ている衣装の事だ」

「・・・いらない」


 勘違いをしたせいか間があったが、ライは即答だった。 今度は、視線を逸らすことなくC.C.へと目を向けるライに、


「着てみたくないのか?。羨ましそうに見ている様に見えたぞ」

「そんな趣味はない」

「そうか。学園祭のときは乗り気で女装楽しんでいたと聞いていたのにな。お前の趣味に口を出すつもりはないが、喜ぶものだと思った」

「!? それは何処で・・・ルルーシュか」


 学園内で、C.C.が話をする相手は限られる故、ルルーシュの名前が自然とこぼれた。


「ああ、部屋に戻ってきて、異様なくらいに口元が緩んでいたからな。聞いてみれば、お前が女装していたと返って来た」

「確かに、女装をしていたことは認めるが、あの場にいたのは、僕だけじゃない。楽しんでいたとするなら、スザクの方だ。それにしても、そんなに女装姿は可笑しかったのか?」


 ルルーシュに見られたときは、驚かれることはあったけれど笑われることは無かったはずだと思い返すのだが、まんざらでもなかった表情に見えたのは、笑いを堪えていたせいなのかと、反応はやはり気になるようで訊ねてきたライへと、


「いや、あれは可笑しくて笑っていたよりというよりも、お前に・・・」


 確かめるよう視線を向けたC.C.は、見つめ返すライへと、


「ーーー正直に教えてしまうのもつまらん。お前が自覚すれば自ずとわかる答えだ」

「?」

「だが、先ほどのプレゼントは冗談として、今度は本物をあげよう」


 そう言って立ち上がったC.C.が、ライの元へと歩み寄るようにして近くに座ると、


「目を閉じろ。お前に、返し言を与える」

「さっきの返しなら必要は」

「心配するな。別のものだ。お前とて言葉がわからないほどではあるまい。此処は、素直になったほうがお前の為だぞ」

「目を閉じるのは簡単だ。だが、何をするのかくらい訊ねてもいいだろう」

「野暮なことを聞くな。まあ、一つ教えておいてやるが、悪戯ではない」


 悪戯ではないというだけで、それに疑問を持ってか従う気配のないライに、


「疑い深い男だな。お前は何もせず、ただ目を瞑っていればいいだけだ」


 C.C.の声が囁くように優しさを含んで、伸びた手のひらがライの目を覆うように隠す。
 視線を遮られたライが、それをとろうと身じろぎすると、たしなめるかのようにC.C.が耳元で。


「目を閉じろ。そのまま、私がいいというまでだ」


 疑問を残しながらも根負けしたのかライが目を閉じる。 それを確認したC.C.が一瞬笑う気配があったが、目を閉じれば視界には暗闇しかない。


「額には、友情を。頬に、厚意を。瞼の上には、憧憬を」

「・・・・」

「そして、此処に気持ちを」


 悪戯はしないといったが、言うたびに触れてくる柔らかな温もりを感じて、それが何だろうと確かめるように目を開いたライに、

 
「馬鹿。目を開けるな。幸せが逃げるだろう」


 近くでC.C.の見たこともない笑みを見た気がした。
 その声は、いつもよりも艶めいた声であったが、からかうような含みはなかった。
 もう一度うっすらと開いたライの瞳が閉じると、手を添えたまま、小さく耳元でC.C.が囁いたが、静まり返った室内には静か過ぎる声でライの耳に届いた。
 

「C.C.?」


 立ち上がった気配に、ライが顔を上げると、


「聞いていただろうな?」

「ああ・・・」

「では、さっきの続きだ」


 満足そうに笑うと、ライから離れるようにして、先ほどいた自分の座った場所にへと戻っていたC.C.に、目をやって、ついさっきまで耳元に残る吐息と声が残ったまま、ライは思い返す。


『気に入らんが、ありがとう。お前との聖夜も悪くないぞ』


 いつもの口調ではなかった。あの言葉、本気なのか。ライの考え込む姿に、C.C.は小さく笑うと、 


「お前が何を想像していたのかは、聞く気もないが、妙な行動を起こすなよ」


 今度は普段の奔放な態度で釘を刺すC.C.に、ペースにあわせては翻弄されるばかりだと気を引き締めるように密かに吐息をついた。
 
 窓辺に映る夜空から、次第に一つ一つと降りてきたのは雪だった。
 地上へと寒さを増すように、そこにある幸せも寂しさもまとめて包み込むように溶けていく光景に、気づいた人々は顔を上げる。

 ブリタニアにも日本にもその日だけは、平和な夜となっていた。


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