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コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
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★2009/12/19 (Sat)
読みたいお相手アンケートの一人、ついにナナライ寄りの咲世子視点で
咲世子×ライです。
お話は、続きからになります。

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恋しいです、そんな資格もないけれど


身分の差、人種の差、色んな所に見えない壁というのは存在しているのだということを、私は最近身をもって感じました。


「咲世子さん」


 そう。私の名前を呼ぶ方は、他にも大勢いる中、何故かたった一人だけその呼び方で呼ばれると、鼓動が早くなります。ドキドキとした甘い疼きが胸の奥に広がっていくような、ふわふわとなんともいいがたい感情が芽生えるのです。
 こと、それはライ様に限り。


「咲世子さん?」

「あ、はい。なんでしょう?」

「・・・その、ティーカップから溢れてますよ?」


 ライ様の言葉に、視線を落とせばティーカップから溢れ出るほどにこぼれていて、私は謝りながらそれを丁寧にふき取る間に、ナナリー様とライ様に苦笑される。
 考え事をしてからでしょうか、普段はしないようなミスを犯してしまいましたが、お二人の雰囲気を壊すことなかった事に、私はほっと胸をなでおろします。

 ナナリー様の新しいお友達。いえ、記憶喪失という不安要素を持ちながらも懸命にその運命へと立ち向かい、周囲との距離を置いていたライ様ではありますが、以前よりも周囲との距離は近づいたように表情も明るくなられ、微笑ながら笑顔さえ見せてくださるまでに至り、今もナナリー様と談話しながらティータイムを楽しまれるまでになったことは、私としても喜ばしいものです。
 ですが、時折ちくりと胸の奥に痛みを覚えるのは何故なのでしょうか。

 
「珍しいですね。咲世子さんがミスをするなんて」

「そう、なのか?」

「はい。咲世子さんはいつも丁寧に真心尽くしてくれていることがわかるように、ミスらしいミスはあまりないので、今日は本当に驚いてしまいました」

「お恥ずかしい」 


 ナナリー様の言うとおり、仕事の合間に考え事をしてミスをするというのは、ありませんでしたが、先ほど抱いた疑問と同じく、そうなった理由は私が一番わかっておりますけれど、それを口にすることはありません。


「ライさん。お茶会を終えたら、今度は折り紙しませんか?」

「折り紙・・・? ああ、この前は折鶴を作ったところまでで、今度は別なものをと次の約束をしていたのだったな」

「はい!。咲世子さんからまた一つ教わったので、ライさんも挑戦して作ってみませんか?」

「ああ、面白そうだ」

「ふふっ、どっちが上手く作れるか競争してみますか?」

「それだと僕よりも、先に習ったナナリーの方が強いように思うのだが」

「そんなことないですよ?。じゃあ、競争はまたの機会にして、いっぱいいっぱい作って、お兄様を驚かせるというのは、いかがでしょうか?」

「うん。それなら、僕でも出来そうだ」


 楽しそうにお二人の会話を耳にしながら、私はその光景がどこか遠くにあるように感じるのです。
 それは、きっと、ナナリー様を見つめていらっしゃるライ様の優しい眼差しと声が、ライ様が此処におられる理由と同じく、全てはナナリー様にであって、私に逢いに来たものではないのだということを十分に理解しているからでしょうか。

 また、胸の奥に刺さった棘がちくりと疼きます。

 私はお二人の元から離れるように、ティーカップを乗せたソーサーとスプーンと砂糖と蜂蜜がそれぞれに入った小さな容器、クッキーを小さなカケラだけを残したお皿をお盆の上へと乗せて、水洗い場へと行きました。
 その足がいつもながら離れたい気持ちとあって、早歩きで何とかキッチンまでたどり着くと、お二人にばれなかった事にほっとした気持ちと浮かび上がる切なさに、思わずため息がこぼれてしまいました。

 ライ様に芽生えたこの感情は、本来あるべきものではないこと。
 お二人の仲を邪魔するものでもなく、ましてや、悟られてはならぬようにと、冷静にならねばと考えを改め、私は通常通り、後片付けと、お二人の作る折り紙の用意にへと気持ちを帰るように動くのです。
 
 上手く表情は隠せたでしょうか。自分でそう思っていても、目の前に鏡がないことにはわかりませんけれど、ライ様から見た私がどう映っているのか気になるところを私は首を振って否定するのです。
 
 ライ様を異性として恋い慕う気持ちを隠して、今日も私は篠崎流の37代目であり、仕えるメイドとしての務めをこなすのです。


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