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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
恋の病
椅子に腰掛けたままの後ろ姿に近づいていく、ピンクの髪が視界に入る。
ただ液晶の画面を食い入るように見つめたまま指先だけは細かく動いている。
その横を通るようにしてどしりと空いた席へと腰を下ろしたジノは、言葉を向ける。
「アーニャって、病気だろ」
いつものように携帯をいじっているアーニャの傍で、ジノがテーブルに肩肘を立てその手のひらに顔を乗せるようにして、継げた言葉に、一瞬文字を打つ動作が止まる。
「どういうことだい?ジノ」
答えたのはスザクのほうで、アーニャは無言のまま液晶画面へと視線を落していた。
スザクへと意味深な視線を向けたジノは質問を返す。
「スザクは、傍で見ていて気がつかないのか?」
「えっ?」
ナイトオブブランズの一員となって、年下のアーニャやジノと接する機会は増えたとしても、それは軍の内部か学園内だけでプライベートまでは関わってはいない。
真面目なスザクは、アーニャに何か体の変調があったのだろうかと、過去の記憶を探り始める。
その真剣な姿勢にジノのため息がかぶる。
「成る程。アーニャの病気がなかなか改善されないはずだな」
呆れたような物言いで返すジノに、スザクはますます首を傾げる。
「ジノ、一体君は」
何が言いたいのかと続けようとした言葉を遮るかのように、あれほど呼びかけても視線しか向けなかったアーニャが今は顔をあげて、集中していた携帯もそこそこに駆け出していった。
口角を上げるようにしてアーニャの姿を目で追うジノの隣で、スザクも視線を追いかける。
アーニャの見上げる視線の先には、同じナイトオブラウンズの軍服に身を包んだライの姿があった。
ノネットに誘われ(半場、強引に)モニカと共に訓練へと向かってからの帰りらしい。
スザク達のいる場所からは見えても会話までは届くことはなく、会話は多くはない二人であるが、ライの前だと幾段か表情が和らいで見えるから不思議だ。
何をするにも無表情だった頃よりも、今のほうが雰囲気もだいぶ柔らかくなり、表情も変わるようになったライの影響によるものか、
「スザク、今のアーニャ見て何か気づくことあるだろ」
「アーニャを? それってさっきの病気と関係してるのかい」
そうだといわんばかりに、口を引き上げたジノに、
「あの、アーニャが携帯から優先順位を変えるのも珍しいことだけど、いい傾向だし、スザクもその気がないなら協力してやれよ」
「その気がないって」
「アーニャの病気が直らないままでもいいって思うか?」
「それは、心配だけど、そもそも彼女は一体何の病気にかかってるのか教えてもらえないと、対応のしようも」
「・・・ライだけだと思ったけど、スザクも天然なんだな。自覚があるか病気が移らないうちに言うのも一つか」
誰を思ってか、目を伏せったジノは、スザクの方へと身を屈めるようにして、しかし楽しげに目に笑みを浮かべたまま、
「アーニャは」
内緒ごとのように耳で呟いたジノの言葉に、スザクは目を見開いた。
ただしその病気は、アーニャにも自覚のないことでライさえもそれを知るよしもないと付け加えて、ジノはその場を離れていった。
ライを見るとき、話しているときにアーニャに感じた違和感の正体。
どういったきっかけにせよ。
ただ、単に二人が親しくなっただけだと思っていたのだが、違っていたようだ。
病気の意味は知ったとしても、それを解決方法はないわけではなかったが、胸を奥をくすぐるようなもやもやとした感情を処理できないままスザクは戸惑う表情を浮かべて、
「確かに。病気だね」
と誰に言うわけでもなく口こぼした言葉を聞いていたのは、円らな目で見上げるアーサーだけだった。
[留め]