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桜花の春便り 後編
ノネットの屋敷に暮らすことになって数年。
誕生祝いにと、花束を差し出すノネットにライは戸惑うのだが、それでも彼女は優しく言葉を続けた。
「使用人もお前の事を気にかけてるものが多くてね、喜んで私に賛同してくれたよ。此処に来た日を、誕生日としてお祝いしようってね」
「・・・・」
ふわりと鼻をくすぐるように甘い香りが広がる。
「それは、ケイランサスという名前だ。花言葉は」
本来の花言葉は、愛情の絆・逆境にも変わらない愛というのだが、ノネットはそっと屈んでライの耳と元へと唇を寄せて囁いた。
「お前を愛してる」
耳に反響したようにその言葉が離れない。
友愛の愛情か、異性としての愛情がノネットの目を細めるように笑う顔を目にして、ライは口を開く。
「ノネットさん・・・」
「おっと、それともう一つ用意してあるんだ」
片手で待ったと遮るように、ノネットは懐から取り出されたカードを、ライに差し出す。
「これは?」
カードには、パーティーの招待状と呼べる内容で、しかも自分後て言うのも驚きだったが、カードに飾られた木にどこか見覚えがあった。
ナナリーと折り紙を作ったときに、無意識に作った桜を思い起こさせる。薄いピンク色の花の形を。
「それは、花見の招待状で、お前の知る桜という花がメインになってる。無論、来るだろう?」
断るはずはないと確信を持ってノネットが口元に笑みを浮かべていた。
「やはり、桜・・・なんですね。此処にもあるんですか?」
「ああ、知り合いの私有地でね。数は少ないが満開な様子はお前のいたイレブンとそう変わりないだろう」
無意識に作るほどライの心に印象強く残っていた桜の花、
見てみたくはないといえば嘘になる。
「折り紙でもお前が私に見せてくれたように、どうせなら本物の桜をこの目で見て見たくはないかと思ってな。悪くはないだろ」
屋敷内から外に出ることのないライの些細な気分転換でもあるのだろう。
その好意を否定することはなく、頷いて、
「・・・はい」
「よし、決まりだ。では当日支度ができたら、迎えに行く」
ライよりも待ち遠しそうに笑顔を見せるノネットに、招待状の文字を読んでいたライはふとあることに気づいて、
「ノネットさん。招待状には、いつあるのか。肝心の日付は書かれていませんけど」
「ああ。それは、お前が承諾するのはわかりきっているが、私が休暇を取れるのかが問題なんだ」
珍しく困ったように眉を下げるノネットに、ライが顔をあげる。
「どういうことですか?」
「個人的なことだ。私が無理難題に休暇をとりがちなのでな。簡単に上に交渉するのが難しくなってきている」
前に仕事の事を聞いたときに、休みを貰ったと話していたことがあるのだが、ライはそれを思い出して、
「えっ、じゃあ、今まで休暇だったのは」
「はははっ!。まあ、いいじゃないか」
仮にも皇帝直属の騎士である。
ナイトオブブランズ12の中の一人、帝国最強の騎士である余裕からか、それとも、それだけ手があまっているのかライの知ることではなかったが、ノネットのように笑い話に出来なかった。
「ノネットさん、笑い事で」
「しー。まあ、後は私に任せて、お前は心配しなくても良い。それよりも、今は使用人達は私の命で忙し苦している。なので、しばらく誰も寄り付かないだろう」
「? どうして、それを僕に」
「こうするためだ」
シャープな顎のラインに添えた手で、重なり合うように、ノネットの唇が触れた。
「感想は?」
さっぱりした気性のノネットは、女性であるけれど、普通の女性以上にドキリとするくらいの魅力に、惹かれたのはライも同様で、ただ包み込むようなその包容力に隠した弱さを見せてしまいそうなことに、ライは澄んだ銀の瞳を伏せて逸らす。
ノネットには、それが可愛く映ったのか笑う気配があったけれど、ライは無言のままだった。
〔留め〕