コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
★ カテゴリー
カテゴリー別に分かれていて、下に表示されるようになっています。
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----LC小説---- BL小説
----LC小説Ⅱ---- BL小説
----小説以外---- その他
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★ プロフィール
HN:
ナッキー観音
HP:
性別:
女性
趣味:
BLゲーム/男主夢小説/小説書き
自己紹介:
(女性主権のBL編)(BL編)ライ・受ラブ同盟
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
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★ お気に入り
★2010/05/18 (Tue)
いま、きみのためにできること
希望と平和が少しずつ取り戻されようと変わっていた日本の地に、一つの家があった。
ナナリーとライは、前はクラブハウス内に住んでいたのを移り住んで、分け与えられたこの土地で、今は此処で暮らしている。
「ライさん。そこにいるのですか」
車椅子の少女は、昔よりも身長が伸びて長いウェーブヘアーの似合う17歳の女性へと変わっていた。
見えず瞑っていた瞳は開いて、あたりの景色も人の顔もはっきりと見えるようになっていたのだが、ただ一つ変わらないものがあった。
車椅子を自分で押すようにベランダへと出て行くと、庭から運ばれた花の香りと暖かい風を含んだ陽気があった。
手すりに手をのけるようにして立っていた人物をナナリーは見つける。
柔らかな銀色の髪が風にかすかに揺れ、小鳥が警戒心もなく近寄るのにさえ気づかず、庭先へと伏せられた、長い睫に縁取られ覗いた瞳は、何処までも澄みきって見える銀白色で、この世界から浮世絵離れした神秘的な雰囲気が、日の光を受けて静かにきらめく。
その瞬間だけ、ライを別世界の人間のように感じられた。
けれど、ナナリーが愛した男、ライだけは出会った頃と変わらぬ姿のまままそこにいた。
「ナナリー」
風景の一部となった置物の人形のような表情にやっと感情が戻り、振り返る動作と涼やかな声に人であると反応してか小鳥たちが空へと飛び立っていく。
地面へと、白い羽根を残して。
「日向ぼっこですか」
いつもなら小さく笑うのに、様子の違うことに違和感を覚えながらも、ライへと近づいていく。
「今日はおいしいクッキーが出来上がったので、ライさんもご一緒しませんか?」
軍人として出かけること以外は、ナナリーといることが多く、今日も二人で紅茶の時間を楽しもうとナナリーからライに誘いをかけた。
けれど、ライは少し躊躇うように視線を伏せてからナナリーを見つめるのだが、先ほどの違和感が少し不安に思っていたのもあって、いつかこういう日が来ると危惧していた事がライの口からこぼれた。
「ナナリー。ずっと考えていたことがあって、僕はこのまま君と暮らすことに抵抗があるわけではないけれど、記憶のために旅に出ようと考えているんだ」
ライの表情は、思い悩んだ末の真剣な顔だった。
それくらい、まっすぐとした強い意志が感じられた。
兄が以前に、ライがいまだ記憶が戻らないことでいつかは自分から探しに行く為お前から離れる日がくるかもしれないと冗談交じりの言葉が、実はこうなることを予想して言っていたのではないかと不意にそう思った。
あれは、兄なりの優しさでナナリーだけの気遣いではなく、ライの事を思っての言葉だったのかもしれないとナナリーはそう思った。
だからこそ、ライもナナリーを想って躊躇いが出たのかもしれない。
ライと離れることになるのは寂しかったけれど、けれど自分が枷となり、ライを迷わせてしまっては駄目だと自分に言い聞かせるようにナナリーは静かな口調で呟いた。
「大丈夫ですよ」
「?」
問うように視線を上げたライへと、ナナリーは柔らかな表情で笑いかける。
それは写真で見たナナリーの母親、マリアンヌに似た笑みに重なって見えたが、けれどマリアンヌをどんな人物なのか知らないライには、成長していてもナナリーらしい笑顔がそこにあるのだと気づかされる。
「ライさんが過去の自分を探しにいきたいのなら、私は何も言えることは出来ません」
「知って、いたのか?」
聞いて驚かなかったのは、ルルーシュから話を聞く以前に、もしかしたら、ライが過去の記憶を取り戻しに私の元を離れるんじゃないかと思った事があったからだった。
「はい」
頷いたナナリーに、ライは過去を見つける旅の中で、記憶を取り戻すことで今の記憶がなくなっているかもしれないと危惧するように、口を開く。
「僕が此処から離れても、君は」
別れの言葉を告げられそうに思って、ナナリーはライに対して安心させる笑顔を見せた。
「私は寂しい気持ちは今もあるのは本当ですけど、ライさんが悲しむのはもっと寂しいですから」
「ナナリー・・・」
「ライさんが不安が残るなら、私は喜んで送ります。けれど、貴方らしい答えを見つけたその時は此処にちゃんと戻ってきてください。それだけが私との約束ですよ」
記憶が戻ったときに今までの事を覚えているのかはわからなかったけれど、それでも想いだけは残っていることを信じて、ナナリーは指を差し出す。
まだ幼い時にも交わした指きりのように。
その手を見つめ、ナナリーの顔を見ると、彼女は目を細めるように微笑んでいた。
寂しさを我慢するものではなく、本当に送り出すような暖かいものだった。
ナナリーの指にライの細く白い指が絡んで結び合うとナナリーは決まりごとのように約束事を唱える。
離れた指に名残惜しいと思いながらも、ナナリーはライを手招く。
そっと屈んだライの首に、ナナリーは手を回してぎゅっと抱きしめながら口にした。
「ライさんは私の知らない過去を含めてライさんです。私も此処にいる皆も同じ気持ちで貴方の帰りを待ってますから、諦めないで下さいね」
ライが過去の何を知っても、此処に居場所があるのだと理解させ、励ますかのように強く抱きしめる。
最後ではないけれど、この温もりを覚えているように強くナナリーは抱きついたのだ。
けれど、ライにこうして触れることが出来るのも今しかないのだとそう思うと、涙が浮かんで、それを悟られたくなくてその肩口にナナリーは顔を埋めた。
「ナナリー」
ナナリーの後ろ髪に手を差し入れるようにライも抱きしめ返した後、離れた二人は互いを見つめあい忘れえぬ傷跡のように唇を重ねた。
その時に、泣くつもりはなかったけれどナナリーの閉じた目尻から涙がこぼれたのを、ライが密かに優しく指でぬぐっている事にまた涙が出そうになった。
悲しませないと決めたナナリーがこんなにも強く自分を送り出すことにライは決意を改め、誓った約束を胸に旅立っていく。
記憶が戻ったときに、先にあるのは何が残るのか。
鳥がその未来を描くように大空へと羽ばたいていった。
[留め]
希望と平和が少しずつ取り戻されようと変わっていた日本の地に、一つの家があった。
ナナリーとライは、前はクラブハウス内に住んでいたのを移り住んで、分け与えられたこの土地で、今は此処で暮らしている。
「ライさん。そこにいるのですか」
車椅子の少女は、昔よりも身長が伸びて長いウェーブヘアーの似合う17歳の女性へと変わっていた。
見えず瞑っていた瞳は開いて、あたりの景色も人の顔もはっきりと見えるようになっていたのだが、ただ一つ変わらないものがあった。
車椅子を自分で押すようにベランダへと出て行くと、庭から運ばれた花の香りと暖かい風を含んだ陽気があった。
手すりに手をのけるようにして立っていた人物をナナリーは見つける。
柔らかな銀色の髪が風にかすかに揺れ、小鳥が警戒心もなく近寄るのにさえ気づかず、庭先へと伏せられた、長い睫に縁取られ覗いた瞳は、何処までも澄みきって見える銀白色で、この世界から浮世絵離れした神秘的な雰囲気が、日の光を受けて静かにきらめく。
その瞬間だけ、ライを別世界の人間のように感じられた。
けれど、ナナリーが愛した男、ライだけは出会った頃と変わらぬ姿のまままそこにいた。
「ナナリー」
風景の一部となった置物の人形のような表情にやっと感情が戻り、振り返る動作と涼やかな声に人であると反応してか小鳥たちが空へと飛び立っていく。
地面へと、白い羽根を残して。
「日向ぼっこですか」
いつもなら小さく笑うのに、様子の違うことに違和感を覚えながらも、ライへと近づいていく。
「今日はおいしいクッキーが出来上がったので、ライさんもご一緒しませんか?」
軍人として出かけること以外は、ナナリーといることが多く、今日も二人で紅茶の時間を楽しもうとナナリーからライに誘いをかけた。
けれど、ライは少し躊躇うように視線を伏せてからナナリーを見つめるのだが、先ほどの違和感が少し不安に思っていたのもあって、いつかこういう日が来ると危惧していた事がライの口からこぼれた。
「ナナリー。ずっと考えていたことがあって、僕はこのまま君と暮らすことに抵抗があるわけではないけれど、記憶のために旅に出ようと考えているんだ」
ライの表情は、思い悩んだ末の真剣な顔だった。
それくらい、まっすぐとした強い意志が感じられた。
兄が以前に、ライがいまだ記憶が戻らないことでいつかは自分から探しに行く為お前から離れる日がくるかもしれないと冗談交じりの言葉が、実はこうなることを予想して言っていたのではないかと不意にそう思った。
あれは、兄なりの優しさでナナリーだけの気遣いではなく、ライの事を思っての言葉だったのかもしれないとナナリーはそう思った。
だからこそ、ライもナナリーを想って躊躇いが出たのかもしれない。
ライと離れることになるのは寂しかったけれど、けれど自分が枷となり、ライを迷わせてしまっては駄目だと自分に言い聞かせるようにナナリーは静かな口調で呟いた。
「大丈夫ですよ」
「?」
問うように視線を上げたライへと、ナナリーは柔らかな表情で笑いかける。
それは写真で見たナナリーの母親、マリアンヌに似た笑みに重なって見えたが、けれどマリアンヌをどんな人物なのか知らないライには、成長していてもナナリーらしい笑顔がそこにあるのだと気づかされる。
「ライさんが過去の自分を探しにいきたいのなら、私は何も言えることは出来ません」
「知って、いたのか?」
聞いて驚かなかったのは、ルルーシュから話を聞く以前に、もしかしたら、ライが過去の記憶を取り戻しに私の元を離れるんじゃないかと思った事があったからだった。
「はい」
頷いたナナリーに、ライは過去を見つける旅の中で、記憶を取り戻すことで今の記憶がなくなっているかもしれないと危惧するように、口を開く。
「僕が此処から離れても、君は」
別れの言葉を告げられそうに思って、ナナリーはライに対して安心させる笑顔を見せた。
「私は寂しい気持ちは今もあるのは本当ですけど、ライさんが悲しむのはもっと寂しいですから」
「ナナリー・・・」
「ライさんが不安が残るなら、私は喜んで送ります。けれど、貴方らしい答えを見つけたその時は此処にちゃんと戻ってきてください。それだけが私との約束ですよ」
記憶が戻ったときに今までの事を覚えているのかはわからなかったけれど、それでも想いだけは残っていることを信じて、ナナリーは指を差し出す。
まだ幼い時にも交わした指きりのように。
その手を見つめ、ナナリーの顔を見ると、彼女は目を細めるように微笑んでいた。
寂しさを我慢するものではなく、本当に送り出すような暖かいものだった。
ナナリーの指にライの細く白い指が絡んで結び合うとナナリーは決まりごとのように約束事を唱える。
離れた指に名残惜しいと思いながらも、ナナリーはライを手招く。
そっと屈んだライの首に、ナナリーは手を回してぎゅっと抱きしめながら口にした。
「ライさんは私の知らない過去を含めてライさんです。私も此処にいる皆も同じ気持ちで貴方の帰りを待ってますから、諦めないで下さいね」
ライが過去の何を知っても、此処に居場所があるのだと理解させ、励ますかのように強く抱きしめる。
最後ではないけれど、この温もりを覚えているように強くナナリーは抱きついたのだ。
けれど、ライにこうして触れることが出来るのも今しかないのだとそう思うと、涙が浮かんで、それを悟られたくなくてその肩口にナナリーは顔を埋めた。
「ナナリー」
ナナリーの後ろ髪に手を差し入れるようにライも抱きしめ返した後、離れた二人は互いを見つめあい忘れえぬ傷跡のように唇を重ねた。
その時に、泣くつもりはなかったけれどナナリーの閉じた目尻から涙がこぼれたのを、ライが密かに優しく指でぬぐっている事にまた涙が出そうになった。
悲しませないと決めたナナリーがこんなにも強く自分を送り出すことにライは決意を改め、誓った約束を胸に旅立っていく。
記憶が戻ったときに、先にあるのは何が残るのか。
鳥がその未来を描くように大空へと羽ばたいていった。
[留め]
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