右手がいつも欲しがったもの

ライ受けお相手アンケート投票へありがとう
投票の多かったキャラで、
C．C．×ライです。
お話は、続きからになります。



右手がいつも欲しがったもの





ぺちぺちと頬を軽く叩かれる音に、薄暗い部屋の中で眠気を引きずったままライは薄く目を開けてみた。


「おい、起きろ」


　ぼやけた視界にいるはずのない人が、自分の顔を覗き込む姿が見えてしまい、ライは目を瞬かせるようにして凝視した。
　まだ寝ぼけ眼のままではあったが、呼びかける声と共に次第にその姿が鮮明に見えていき、ベットの上で顔を覗かせるようにして座っていた薄緑の長い髪の少女が映る。


「無用心だな。部屋はともかく、窓が簡単に開いたぞ」


　もの言いたげ目を伏せる少女は、幼い顔に似合った高い声で話しかけてきた。シャツ一枚だけというのは寝巻きにするには少し大きくて丁度パジャマにするにはいいサイズだと思うのだが、その格好ははしたないようにも見えるけれど、来ている本人はそのことを気に留めてる様子はなかった。
　因みに、自分のシャツを勝手にきられていることに、既に今までの行動で慣れが生じているらしいライは、僅かにだが眇めるように目を伏せただけに終わる。


「何も聞かないのか」

「起きる前に、まず僕の上から退いてくれないか」


　動揺を示すことなく、冷静に返したライに、ふんっと小さく詰まらそうに鼻息をこぼしてから、C，C．と思わしき少女、いや、口ぶりから察するに本人で間違いないであろう。
　その少女へと顔を向けた。
　身長的にはライより低いほうだったが、以前よりも目線は低く、ナナリーと同じ、いや、それよりも年下に見えるC．C．はベットの上に、座り込んでいて小さなチーズ君人形をいじっていたのだが、視線に気づいて、ライを見上げる。


「C．C．、なのか？」

「反応が遅いな」


　傍若無人な態度は相変わらずだった。
　どういうわけか、小学生に見えるくらいに全体的に小さくなった。何かの要因で若返ったのか、今一実感できず、夢でも見ているのだろうかと疑いの視線をかけたライの襟元を引っ張り、


「言っておくが、紛れもない現実だ。今更否定しても私は帰らんぞ」


　何も問いかけてもないのにC．C．に正面から釘を刺された。
　ギアスの力によるものなのか、それともこれが彼女の力なのか、そうとハッキリする理由を語られないままに、朝は明けていくのだった。


[留め]