妥協こそ相互理解の第一歩

拍手ありがとございます!
争奪戦のキューピットの日でライ参入、二話
生徒会メンバー×ライです。
お話は、続きからになります。


妥協こそ相互理解の第一歩



「見つけたぞ!。ライ先輩」


　イベントだから盛り上がっているのか、ライを見つけた一人の後輩が駆け寄って、飛びつこうとするのを、反射神経が人一倍早いライの方がするりとかわす。

　まるで、影でも掴むかのように、男子生徒は廊下に倒れた。

　ぞろぞろと集まり行く生徒達に逃げていたのだが、左右に挟まれるように追い込まれ、ライは行き場を失う。
　囲うように集まった男子生徒達は、ライを捕まえようと手を伸ばす。


「なっ!？」


　しかし、伸ばした手は、ライの身体に触れることなく空気を掴む。
　迷うことなく、背中越しにあった窓を開けて、ライは外へと飛び去ったからだ。
　猫の着地のように綺麗に地面に降りたライは、唖然と見つめる男子共を仰いで、そのまま呼び止めることも聞かずに背中を向けて走っていった。






　中庭へとたどり着いたライは、華麗に空を飛ぶルルーシュを目にし、思わず立ち止まる。


「ルルーシュ？」


　視線に気づいたようにルルーシュと思わしき人物が、ライを目で捉えるが、まだ部費のために捕まえようと目論む部員の人たちから逃れるように走っていた。
　立ち止まったままのライに気づいてか、ロロが駆け寄るようにしてその腕を掴んで振り向かせる。
　

「ライさん!」

「ロロ･･･」

「立ち止まっては、また狙われます。こっちに」


早くもライの居場所に気づいてこちらに走ってくる生徒数名が視界の隅に映り、引っ張るロロへとあわせるように歩き始める。のだが、うまく逃げるには
人が多すぎた。
　ライを守るために、何度も時間をとめるのは構わないにしても心臓にも負担がかかりロロは、息切れを起こす。


「ロロ」


　焦りの見えるロロへと、気遣うような視線を向けたライを一瞥して、


「ここは、僕が引き受けますから、ライさんは先に」


　本当はこのままルルーシュ所に連れて行くか、また時間が切れるまで自分の傍にいさせておくかとロロは迷っていたのだが。
　背中越しに庇うように、真剣な声色で促され、ライは一瞬考え込むように目を伏せると、去り際にいい残して立ち去った。


「すまない」


　低声なライの優しさに触れて、ロロは口角を引きあげる。


「今は貴方の為になるのなら、喜んで」


　そんな言葉をこぼして、立ち向かってくる相手に向かって行った。


続く