コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
★ カテゴリー
カテゴリー別に分かれていて、下に表示されるようになっています。
----LC----- ライ関連
----LC小説---- BL小説
----LC小説Ⅱ---- BL小説
----小説以外---- その他
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★ プロフィール
HN:
ナッキー観音
HP:
性別:
女性
趣味:
BLゲーム/男主夢小説/小説書き
自己紹介:
(女性主権のBL編)(BL編)ライ・受ラブ同盟
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
★ お気に入り
★2009/06/28 (Sun)
嘘とやさしさは切り離せないものですか
緑色の生き物問いかけに、スザクが苦笑した。
「スザクか。いつから、目のふちに模様なんて、作るようにしたんだ?」
「あはは」
スザクの腕の中で、もがくようにして抵抗して、不意打ちの攻撃が見事スザクに命中。ライは、言葉通り、逃げることはなかったものの、スザクと離れるようにして、後ろから歩いていった。
いきなり別世界へとやってきてしまったライは、スザクに連れて来られたのもあって、知り合いにも会うことなく、また自分にとって、未知の世界にただ目的もなく一人で歩き回っているよりも、道を知っているスザクについて行って、人の多いところに出てから、別れたたほうがいいと判断してか、スザクとの同行を決意する。と言っても、先ほどの事もあるので、ライはまだ警戒心を持っているのだが。
スザクについて行って先は、大きな湖だった。
いたって普通だと思われたが、湖から、視線を釘付けにする大きな花とそれに合った大きな葉が伸びていて、決して頑丈に見えない葉に人の姿を見つけ、下に落ちはしないのかと危惧したが、それも一瞬の事だった。
上半身は人という原型は残っているものの、下は緑色の図体で、一言で言えば毛虫に似た形をしている。
色々言いたいこともあるが、用があるのは、スザクであったので、自分が口を開く機会まで、しばらくライは見守ることにした。
「お前は何処に行きたい?」
手に持ったのは、腕ほどの長い茎で、其処から、シャボン玉のような泡が、少女の咥えた茎の端から、飛び出すように空へと浮かぶようにして消えていくのをライは見た。
「C.C.…?」
見たことない姿でありながら、知っている顔からやはり覚えのある声が出て、つい名前を呼んでしまい、ライのほうへと一瞥される。だが、スザクと同じく見ためと名前は同じなだけで、まったく初対面とでもいうように視線が逸らされる。そして、茎から離した口で、こう言った。
「通行代は、ピザだ。お前なら、そうだな。今持っている分だけで、十分だ。・・・用意できたら、教えてやれるぞ」
好物は、ここでも変わりないのか、今度は、心だけにとどめてライは、斜め後ろからスザクを見る。
「ないのなら、代用品に、その女を置いていくか?」
スザクの答えが出ないまま、C.C.に似た生き物は、スザクを見ないままそういうのだ。それに、押し黙るように俯いたスザクは、悩んでいる表情を見せた。
「・・・」
「スザク、君の本来の目的は女王の方にあるのだろう。ならば、僕よりそちらを優先するべきだ。君とはなれて多少は道に困ることになるが、こうなっては仕方ない。後は僕自身で訊ねるなりの方法を使って探すから、僕の事は気にするな」
「・・・わかったよ。ライ」
ウサ耳がピクリと反応をすると、スザクが、名残惜しげにライへと振り返ると、半毛虫に似たC.C.を見上げて、
「これで、いいですか?」
スザクの判断に、確認したC.C.は、空中で浮くように自分の下へと移動させると、不意に立ち上がり腕を上げるようにして手に持った茎をくるくると指先を使って器用に回転されると、風が波紋となってC.C.のいる花を中心に水の上に広がっていった。それが徐々に手で回すように風圧強くなり、風がなびくほどで、それも数秒後、元の静かな風となった変わりに、どういう仕掛けなのかと不思議に思うくらい、湖に浮かぶように大きな穴の空間がスザクたちのいるほうへと口を開いたようにして出現した。
「では、道を開こう。開いたら迷わず進め、それがお前の望む道となる」
それが、C.C.の手の動きに合わせて、それが合図のように、穴の開いたほうまで波を引き潮へと変え、其処までの道を作っていった。
あっという間の出来事に、驚く以外に言葉は、ライの口から出なかった。
穴の近くの砂浜までスザクが行くと、その場で振り返るように、ライのほうへと手を差し伸べて、
「さぁ、ライ。一緒に行こう」
「・・・」
さっきまでライを抱えていたというのに、手に何も持っていない事は確認済みなのだが、どういうことか、普通にピザを何処からか取り出した。ライの知る世界のピザとはかなり形の違って、袋にいっぱい詰めいれた綺麗な石だったのにも驚いた。わけのわからない世界に飛ばされて、多少困惑したものの、少しずつ平常心を取り戻していたライだっのだが、やはり此処は、通常から考える常識とは大きく離れているらしい。
そして、スザクは、離れる気がないということを、同時に認識した。
そのことに溜息をひそかにつくようにして、スザクの元へと歩いていったのだ。
穴に入ったと同時にあっという間の出来事で、別の空間に飛び出た。
確認するように、ライは大きな穴へと振り返ると、既に終わったとばかりにそこには緑の木々の覆う風景しかなかった。
「ライ、そんなところにいないで、こっち来て見てみなよ」
ライより先に進んでいたスザクの呼びかけが届いて、穴を気にすることを頭の隅に追いやって、スザクを追いかけた。
「此処は…」
丘から見下ろすと、緑と鮮やかな街並が見えた。やはり、ライの見たこともない風景だったけれど、それでも景色は綺麗だった。
「僕の故郷だよ」
「いい場所だな」
「そうだね。よく見ておくといいよ。今日から、君の故郷になるんだから」
諦めも疲れも微塵もないように、屈託なく笑うスザクに、ライは、目を眇めた。
「念のために、確認を取っておきたいのだが、怪我をさせた人は、責任を持って、結婚をする。そんな風習がこの街には存在するのか?」
「え、君のいたところではそんな風習があるんだ?。此処では、結構自由なのに」
「いや、僕の世界にもそんな風習はない。だが、君が怪我をさせた責任は結婚だといって連れて行こうとしていたから、確認を取ったまでだ」
「そうだったけ? 何処でそんな話をしていたの」
「・・・」
本当に数分前に言ったことを忘れてしまったのか、わざとぼけた振りしているのか、その顔からは読めなかった。
「本当に、僕は、元の世界に帰れるのだろうか」
「ライ、不安なのかい? 君が帰れるかどうかなんて、考えるまでもないよ。そういう不安も吹き飛ばせるように、一緒に幸せになろうと僕の故郷まで連れてきたんじゃない」
「ここでも、恋愛は自由なのだろう?。では、僕の自由はどうなる」
「?何がそんなに不満なんだい? ああ、そうか、住む場所がないから心配してるんだね。大丈夫、君のための新居は探してあげるよ」
「誰もそんな心配・・・。もう一つ訊ねたいことがあるのだが、此処に泊まることの出来る場所はあるのか?」
「宿の事?、ああ、あるけど。うーん、ライは、何も持ってないから、泊まる為には条件があるね」
「泊まるための条件、なんだ?」
「一般的にはお店で働かせられるのが多いけど、それも宿主の気分次第だね、それに、ライみたいな美人さんの場合だと、もっと別の仕事があるって聞いたことがあるけど、それでも、泊まる事を選ぶ?」
「別の事?一体、何をさせられるんだ」
すうっとスザクが近寄って、耳元に口を寄せてライに聞かせると、それを聞いたライの頬が染まっていく。
「なっ?!」
「じゃあ、新居探しはまた今度にして、今から日用品買いに行こうか。勿論、二人の為の」
ライの手を握るとそのままスザクが引っ張っていくように、前に進む。
「ちょっと、待てっ 、スザク!」
「まずは、何がいるかな?あ、ライの欲しいものがあったら合図して、手に入れてあげるから」
「スザク、まだ僕は君と暮らすとは一言も了解した覚えは」
「今教えておくね。合図の仕方は、名前を呼んで、それから、これ」
聞き流すように、手に持ったライの手を持ち上げて、見せ付けるように手の甲にキスを落とした。
「覚えた?」
「っ!?、・・・それが、合図なのか?」
「うん、今決めた。僕の合図だよ」
手を繋いだだけに戻ると、スザクは、微笑んだ。
確かに宿に泊まるしても、払えるものもなく、スザクのいうような仕事をやってもいいと思ってもいなかったけれど、スザクと暮らすしか選択肢が残されていないのかと、ライの意見も聞かないスザクに溜息が出そうになる。
「合図なら、もっと別のやり方でもいいのではないか」
「さっき言ったように、決めたことは、変えれない。この世界は特にね」
「・・・・僕の意見も無視されるわけだな」
「?。ほら、もう、街に着くよ。目を瞑って」
「目を瞑るとは、な」
スザクに手のひらで目を覆われるようにして、視界がさえぎられる。
その手を退けようと、
「スザク、ふさげ」
「はい、着いた」
「急に目隠しとはな、・・・」
「さて、何処行こうか」
「(いつの間に・・・先ほどまで、確かに街の外だったはず)・・・どうなってるんだ」
驚くのも無理はない、隠された視界が開くと、其処はもう街の中で、入ったとおもしき入り口の門の存在も見渡してもなく、あるのは、道沿いに並ぶお店と人の姿だった。
「ライ、どうしんだい?ボーっとして」
「スザク、さっき何があった?僕に目隠しした後の」
「何もないよ。…それより、この街で、一番おいしいと評判なんだって、試してみる?」
そう言ってアイスクリームの形の食べ物を手渡される。スザクから、その食べ物へと視線を移したライは、自分がお腹をすかせていたことにそこで気づいた。
「お腹すいてるかと思ったんだけど、まあ、これで腹の足しになるかわからないけど、食べてみなよ。ああ、此処の食べ物だから、安心していいよ。ほら、他の人たちも食べてるでしよ」
スザクの指すほうへ視線を向けると、通りすがりの人やカップルがライと同じ食べ物を口に入れている光景を見た。
「・・・ああ、ありがとう」
「此処から、色々なお店が見えるでしょ? どこか行ってみたいとか興味があるお店はある?」
外観と、窓越しから、見える店と人、どれもが綺麗で新鮮なものに見えたが、少し考え事をして落ち着いていたかったライは、首を振った。
「今は、少し休んでおきたい。食べ物も残っているし、僕がここで待っている間、君が見てくればいいよ」
「そうかい。じゃあ、ライの興味が出そうないいものを探してみてくるよ。ちょっと此処で待ってて、動くと迷うから」
ライ返事も聞かず、そう言ってスザクは、走り去っていった。
持ったままのアイスへと視線をやったライは、立ったままだというのもそんなに広くない道には邪魔に思えて、座る場所を探しに、近くを移動した。
「動くと迷うか・・・」
スザクの言葉が蘇った言葉がライの口から、こぼれた。確かに、名も知らぬ街の中で、目的もなく歩いていくのは迷うだろう。
時折、ライのいた世界のスザクと重なるところを見つけて、ふっと笑うように口を引き上げると、のどの渇きを覚えて、手に持ったアイスを少し口にしてみた。舌に残ったのは、冷たくて甘い味だった。
これならば、食べたことある味だと、別世界でも変わらないものはあるのだなっと目を細めると、また一口、口に入れた。
すると今度は、舌が少しぴりっとしびれた感覚に、眉を顰めアイスから口を離した。
食べたことがあると僅かに安心してしまったが、この世界の人にあっても、別の世界の人の口に合わない食べ物もあるのではないかと、其処で思った。
そう、ついさっきまで、此処を通常から考える常識とは大きく離れていると覚えたばかりであるはずなのに。
考えすぎだろうかと、止まったまま店の窓に自分を映した。
店では、客と店主らしき人物との会話をしている様子が見れた。ライとは違って、当たり前の日常であり、其処に不安は見られなかった。
やはり、自分はこの世界とは違う存在なのだと、寂しさに眼を伏せた。
此処に着てからも、考え事ばかりだと、頭を振って、とりあえず休める場所に移動しようと、歩き出したライの足は、そこでふっと影も形もなく消えた。
「ライ、お待たせっ!いっぱい見たんだけど、やっぱり君も見…あれ?ライ?」
数分後、スザクが戻ってくると、いるはずのライの存在はそこになく、首をかしげた。
あるのは、地面につぶれて僅かに溶けたアイスの残骸だけだった。
続
君に贈る7つの哲学配布元:TV
緑色の生き物問いかけに、スザクが苦笑した。
「スザクか。いつから、目のふちに模様なんて、作るようにしたんだ?」
「あはは」
スザクの腕の中で、もがくようにして抵抗して、不意打ちの攻撃が見事スザクに命中。ライは、言葉通り、逃げることはなかったものの、スザクと離れるようにして、後ろから歩いていった。
いきなり別世界へとやってきてしまったライは、スザクに連れて来られたのもあって、知り合いにも会うことなく、また自分にとって、未知の世界にただ目的もなく一人で歩き回っているよりも、道を知っているスザクについて行って、人の多いところに出てから、別れたたほうがいいと判断してか、スザクとの同行を決意する。と言っても、先ほどの事もあるので、ライはまだ警戒心を持っているのだが。
スザクについて行って先は、大きな湖だった。
いたって普通だと思われたが、湖から、視線を釘付けにする大きな花とそれに合った大きな葉が伸びていて、決して頑丈に見えない葉に人の姿を見つけ、下に落ちはしないのかと危惧したが、それも一瞬の事だった。
上半身は人という原型は残っているものの、下は緑色の図体で、一言で言えば毛虫に似た形をしている。
色々言いたいこともあるが、用があるのは、スザクであったので、自分が口を開く機会まで、しばらくライは見守ることにした。
「お前は何処に行きたい?」
手に持ったのは、腕ほどの長い茎で、其処から、シャボン玉のような泡が、少女の咥えた茎の端から、飛び出すように空へと浮かぶようにして消えていくのをライは見た。
「C.C.…?」
見たことない姿でありながら、知っている顔からやはり覚えのある声が出て、つい名前を呼んでしまい、ライのほうへと一瞥される。だが、スザクと同じく見ためと名前は同じなだけで、まったく初対面とでもいうように視線が逸らされる。そして、茎から離した口で、こう言った。
「通行代は、ピザだ。お前なら、そうだな。今持っている分だけで、十分だ。・・・用意できたら、教えてやれるぞ」
好物は、ここでも変わりないのか、今度は、心だけにとどめてライは、斜め後ろからスザクを見る。
「ないのなら、代用品に、その女を置いていくか?」
スザクの答えが出ないまま、C.C.に似た生き物は、スザクを見ないままそういうのだ。それに、押し黙るように俯いたスザクは、悩んでいる表情を見せた。
「・・・」
「スザク、君の本来の目的は女王の方にあるのだろう。ならば、僕よりそちらを優先するべきだ。君とはなれて多少は道に困ることになるが、こうなっては仕方ない。後は僕自身で訊ねるなりの方法を使って探すから、僕の事は気にするな」
「・・・わかったよ。ライ」
ウサ耳がピクリと反応をすると、スザクが、名残惜しげにライへと振り返ると、半毛虫に似たC.C.を見上げて、
「これで、いいですか?」
スザクの判断に、確認したC.C.は、空中で浮くように自分の下へと移動させると、不意に立ち上がり腕を上げるようにして手に持った茎をくるくると指先を使って器用に回転されると、風が波紋となってC.C.のいる花を中心に水の上に広がっていった。それが徐々に手で回すように風圧強くなり、風がなびくほどで、それも数秒後、元の静かな風となった変わりに、どういう仕掛けなのかと不思議に思うくらい、湖に浮かぶように大きな穴の空間がスザクたちのいるほうへと口を開いたようにして出現した。
「では、道を開こう。開いたら迷わず進め、それがお前の望む道となる」
それが、C.C.の手の動きに合わせて、それが合図のように、穴の開いたほうまで波を引き潮へと変え、其処までの道を作っていった。
あっという間の出来事に、驚く以外に言葉は、ライの口から出なかった。
穴の近くの砂浜までスザクが行くと、その場で振り返るように、ライのほうへと手を差し伸べて、
「さぁ、ライ。一緒に行こう」
「・・・」
さっきまでライを抱えていたというのに、手に何も持っていない事は確認済みなのだが、どういうことか、普通にピザを何処からか取り出した。ライの知る世界のピザとはかなり形の違って、袋にいっぱい詰めいれた綺麗な石だったのにも驚いた。わけのわからない世界に飛ばされて、多少困惑したものの、少しずつ平常心を取り戻していたライだっのだが、やはり此処は、通常から考える常識とは大きく離れているらしい。
そして、スザクは、離れる気がないということを、同時に認識した。
そのことに溜息をひそかにつくようにして、スザクの元へと歩いていったのだ。
穴に入ったと同時にあっという間の出来事で、別の空間に飛び出た。
確認するように、ライは大きな穴へと振り返ると、既に終わったとばかりにそこには緑の木々の覆う風景しかなかった。
「ライ、そんなところにいないで、こっち来て見てみなよ」
ライより先に進んでいたスザクの呼びかけが届いて、穴を気にすることを頭の隅に追いやって、スザクを追いかけた。
「此処は…」
丘から見下ろすと、緑と鮮やかな街並が見えた。やはり、ライの見たこともない風景だったけれど、それでも景色は綺麗だった。
「僕の故郷だよ」
「いい場所だな」
「そうだね。よく見ておくといいよ。今日から、君の故郷になるんだから」
諦めも疲れも微塵もないように、屈託なく笑うスザクに、ライは、目を眇めた。
「念のために、確認を取っておきたいのだが、怪我をさせた人は、責任を持って、結婚をする。そんな風習がこの街には存在するのか?」
「え、君のいたところではそんな風習があるんだ?。此処では、結構自由なのに」
「いや、僕の世界にもそんな風習はない。だが、君が怪我をさせた責任は結婚だといって連れて行こうとしていたから、確認を取ったまでだ」
「そうだったけ? 何処でそんな話をしていたの」
「・・・」
本当に数分前に言ったことを忘れてしまったのか、わざとぼけた振りしているのか、その顔からは読めなかった。
「本当に、僕は、元の世界に帰れるのだろうか」
「ライ、不安なのかい? 君が帰れるかどうかなんて、考えるまでもないよ。そういう不安も吹き飛ばせるように、一緒に幸せになろうと僕の故郷まで連れてきたんじゃない」
「ここでも、恋愛は自由なのだろう?。では、僕の自由はどうなる」
「?何がそんなに不満なんだい? ああ、そうか、住む場所がないから心配してるんだね。大丈夫、君のための新居は探してあげるよ」
「誰もそんな心配・・・。もう一つ訊ねたいことがあるのだが、此処に泊まることの出来る場所はあるのか?」
「宿の事?、ああ、あるけど。うーん、ライは、何も持ってないから、泊まる為には条件があるね」
「泊まるための条件、なんだ?」
「一般的にはお店で働かせられるのが多いけど、それも宿主の気分次第だね、それに、ライみたいな美人さんの場合だと、もっと別の仕事があるって聞いたことがあるけど、それでも、泊まる事を選ぶ?」
「別の事?一体、何をさせられるんだ」
すうっとスザクが近寄って、耳元に口を寄せてライに聞かせると、それを聞いたライの頬が染まっていく。
「なっ?!」
「じゃあ、新居探しはまた今度にして、今から日用品買いに行こうか。勿論、二人の為の」
ライの手を握るとそのままスザクが引っ張っていくように、前に進む。
「ちょっと、待てっ 、スザク!」
「まずは、何がいるかな?あ、ライの欲しいものがあったら合図して、手に入れてあげるから」
「スザク、まだ僕は君と暮らすとは一言も了解した覚えは」
「今教えておくね。合図の仕方は、名前を呼んで、それから、これ」
聞き流すように、手に持ったライの手を持ち上げて、見せ付けるように手の甲にキスを落とした。
「覚えた?」
「っ!?、・・・それが、合図なのか?」
「うん、今決めた。僕の合図だよ」
手を繋いだだけに戻ると、スザクは、微笑んだ。
確かに宿に泊まるしても、払えるものもなく、スザクのいうような仕事をやってもいいと思ってもいなかったけれど、スザクと暮らすしか選択肢が残されていないのかと、ライの意見も聞かないスザクに溜息が出そうになる。
「合図なら、もっと別のやり方でもいいのではないか」
「さっき言ったように、決めたことは、変えれない。この世界は特にね」
「・・・・僕の意見も無視されるわけだな」
「?。ほら、もう、街に着くよ。目を瞑って」
「目を瞑るとは、な」
スザクに手のひらで目を覆われるようにして、視界がさえぎられる。
その手を退けようと、
「スザク、ふさげ」
「はい、着いた」
「急に目隠しとはな、・・・」
「さて、何処行こうか」
「(いつの間に・・・先ほどまで、確かに街の外だったはず)・・・どうなってるんだ」
驚くのも無理はない、隠された視界が開くと、其処はもう街の中で、入ったとおもしき入り口の門の存在も見渡してもなく、あるのは、道沿いに並ぶお店と人の姿だった。
「ライ、どうしんだい?ボーっとして」
「スザク、さっき何があった?僕に目隠しした後の」
「何もないよ。…それより、この街で、一番おいしいと評判なんだって、試してみる?」
そう言ってアイスクリームの形の食べ物を手渡される。スザクから、その食べ物へと視線を移したライは、自分がお腹をすかせていたことにそこで気づいた。
「お腹すいてるかと思ったんだけど、まあ、これで腹の足しになるかわからないけど、食べてみなよ。ああ、此処の食べ物だから、安心していいよ。ほら、他の人たちも食べてるでしよ」
スザクの指すほうへ視線を向けると、通りすがりの人やカップルがライと同じ食べ物を口に入れている光景を見た。
「・・・ああ、ありがとう」
「此処から、色々なお店が見えるでしょ? どこか行ってみたいとか興味があるお店はある?」
外観と、窓越しから、見える店と人、どれもが綺麗で新鮮なものに見えたが、少し考え事をして落ち着いていたかったライは、首を振った。
「今は、少し休んでおきたい。食べ物も残っているし、僕がここで待っている間、君が見てくればいいよ」
「そうかい。じゃあ、ライの興味が出そうないいものを探してみてくるよ。ちょっと此処で待ってて、動くと迷うから」
ライ返事も聞かず、そう言ってスザクは、走り去っていった。
持ったままのアイスへと視線をやったライは、立ったままだというのもそんなに広くない道には邪魔に思えて、座る場所を探しに、近くを移動した。
「動くと迷うか・・・」
スザクの言葉が蘇った言葉がライの口から、こぼれた。確かに、名も知らぬ街の中で、目的もなく歩いていくのは迷うだろう。
時折、ライのいた世界のスザクと重なるところを見つけて、ふっと笑うように口を引き上げると、のどの渇きを覚えて、手に持ったアイスを少し口にしてみた。舌に残ったのは、冷たくて甘い味だった。
これならば、食べたことある味だと、別世界でも変わらないものはあるのだなっと目を細めると、また一口、口に入れた。
すると今度は、舌が少しぴりっとしびれた感覚に、眉を顰めアイスから口を離した。
食べたことがあると僅かに安心してしまったが、この世界の人にあっても、別の世界の人の口に合わない食べ物もあるのではないかと、其処で思った。
そう、ついさっきまで、此処を通常から考える常識とは大きく離れていると覚えたばかりであるはずなのに。
考えすぎだろうかと、止まったまま店の窓に自分を映した。
店では、客と店主らしき人物との会話をしている様子が見れた。ライとは違って、当たり前の日常であり、其処に不安は見られなかった。
やはり、自分はこの世界とは違う存在なのだと、寂しさに眼を伏せた。
此処に着てからも、考え事ばかりだと、頭を振って、とりあえず休める場所に移動しようと、歩き出したライの足は、そこでふっと影も形もなく消えた。
「ライ、お待たせっ!いっぱい見たんだけど、やっぱり君も見…あれ?ライ?」
数分後、スザクが戻ってくると、いるはずのライの存在はそこになく、首をかしげた。
あるのは、地面につぶれて僅かに溶けたアイスの残骸だけだった。
続
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