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↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
無意識の渇望
月がのぞく夜空を見上げ、大して珍しくはないのだけれど、明るく輝く月が旅行の気持の性か場所の性か、一段と目に新鮮なものに映って、それに、導かれるようにしてミレイは、温泉の後のちょっとした湯冷ましに、下駄を履いて、外へと出てみた。
慰安旅行、文字通り、生徒会のみで行われたものだけど、それが皆にとって息抜き代わりになればと思ってやってみたのだが、それぞれの反応を見てみると、やはり決断して良かったと思えてしまう。
生徒会長であることを特権にさまざまな楽しいイベントを発案しては、実行に移す、人騒がせな面はあるものの、会長として、生徒たちや生徒会の面々の事もきっちりとした視点で、時に面倒見のいいところや見守る様な優しさは、さすがといえよう。
普段の靴ではない音を足元に作りながら、外を歩いていくと、視界の隅に人影が目に留まって、一瞬目を見張るのだけど、その正体を知り、口元に笑みを宿したまま恐れることなく、人影へと近寄っていった。
生徒会メンバーと位置づけに定着しつつある、正体も出所さえも怪しい少年ではあるが、中身は普通の男の子と変わらないものはある。
多少、容姿が当人の否応にも目を惹き、記憶のないせいで不安定に見えてしまうのかどことなく危うい雰囲気は持っていることぐらい、自分らと何も変わらない。
持っていないのは承知の上で、用意した浴衣を不慣れな様子で腕を通して、服の上重ねた時は、リヴァル達に少し笑われたとは聞いたものの、そのあと、着付けを手伝われながら、着せて見せた浴衣姿に、一緒にいたシャーリー達からも称賛の言葉をもらい、贈ったミレイはうんうんと頷きながら至極満足だった。
慣れていないものを着てるせいか、周りの反応のせいか、ライの方は、無表情ではあるものの、それでも何処か気恥ずかしそうに頬を染め、眼をさらしていた。
確かに、選んだ色がライの持つ雰囲気とあって、きちんとした姿勢で細いながらにその上から体格の良さがわかって、凛々しくもあったが、ちょっとだけ可愛いと思ってしまったのは、本人の名誉のために内緒にしておいた。
「何、たそがれてるの?」
少しだけ背伸びするように、後ろから、両目を伸ばした手で覆って、視界を暗くさせながら、どこかからかうようにミレイが尋ねた。
「ミレイさん?」
「正解」
「・・・・・」
答えたものの、一向に離れる気配のないミレイに、ライの戸惑った様子が伝わったのか、ミレイは小さく笑って、手を離すと、ライの顔を覗き込むように、隣に並んで立った。
「私も含めてだけど、生徒会の女の子達皆、浴衣着てたけど、どう見えた?」
「え、…ああ。服装が変わると雰囲気も変わるものだな」
「それだけ?」
「…ああ」
「他の子は、どうだった? 普段と違う浴衣姿、可愛かったでしょ」
「そう、だね」
「惚れ直した」
「それは、誰に対しての質問だ?」
ライに問い返され、片手を頬に沿えるようにして考え事をした様子で、ミレイは口を開いた。
「うーん、そうね。カレン?、んん、シャーリーって言うのも考えられそうね。それとも、二ーナかしら?。まぁ、何でもいいけど。要は、そのうちの誰かに魅力的だなっとか興味を持ったのかって聞きたかったの」
こと恋愛に関して、人事でも熱心なのは、ミレイも何処かでそれを求めているせいだろうか、少しその熱意の向け方が呆れるくらいに思うのだが、それがミレイだということを接していくうちに、学んだことで、ライは今更それを悪いと思うことはなかった。
こうして、今ミレイと話している間もライの気持ちは此処とは別なほうに向いてるせいか、視線もどこか遠くを見ているようだった。
「・・・・・」
ふぅっと息を漏らす声とともに、あらっと、ミレイが発した言葉を置いたまま、その場で、ミレイとライが向きあう形となった。
少しだけ高い身長を見上げると、月の色に似た瞳が睫に陰り、月に背を向けたせいか、静かで感情の読めない表情でも、瞳だけが強く何かを秘めているようで、ミレイには神秘的に映った。
睫が持ち上がり、その綺麗な瞳に、ミレイを映したまま、ライは言った。
「魅力的ではあるが、ミレイさんが期待するような事はない」
「それは、残念。まぁ、でも、恋も記憶探しも焦る事はないと思うから、これから、見つけていけばいいのよ。貴方の想い人も一緒にね」
「ああ・・・」
「あらー、なんか今日はいつにも増して元気ないみたいね。そういえば、花火を見に行ったときも、後になって気づいたけど、一人だけ皆から離れたところにいたじゃない?。あの時と何か理由があるの」
少し驚いたように、ミレイを見たが、ライとしては、離れて見てたというより、花火に魅入られて、遅れただけなのだが、一人だけ輪から外れてみていたというのは、周囲には映るようだ。
「あれは・・・始めてみた花火に、魅入っていていただけだ」
「それだけ?、ライは、遠慮しがちなところあるじゃない。だから、本当はどこか、ここにいてもいいのかって不安があったんじゃないかって、思ってたけど、気のせいかしら?」
「・・・」
「無言は肯定してるのと同じになるわよ。これでも、生徒会長ですからね、ちゃんと見てるのよ。貴方も含めて、ね。今、聞いてるのは私一人だから、此処は素直に吐いちゃいなさいな」
いつもの調子で、どんと胸を張って明るい声でそう言うと、ライは、その姿に苦笑をこぼして、
「ミレイさんの言うように…正直言ってしまうと、それも少しはあったのもあります。だけど、あの時は花火に熱中していたのも本当の事だ。だが、もしかしたら、僕自身も気づかないうちに、魅入っていただけかもしれない。ミレイさんだったら、良かったのかもしれないな」
「ふーん、その言葉覚えておくわよ。今後のネタとして」
悪戯げに目を細めるように笑うミレイへと、顔を向けたライは首をかしげた。
「ネタ?」
「ううん、こっちの話。だけど、まぁ、ありがとう。私もそう思える存在になることを、少しは期待しておくことにするわ」
「?」
「さて、それじゃあ行くけど、ああそうそう、後で、あなたたちの部屋にお邪魔しに行くと思うから、その時は皆でわいわい旅行気分を楽しみましょう。お楽しみはその時までって事で、またね」
「あ、ああ」
ミレイは、湯冷めどころか、外の空気に触れて、少しだけ体が冷えて行ったものの、その頬だけは、ほんのりと熱に色づいて、暑さをもらたすために、顔を扇ぐように手を団扇の代わりにした。
あれは、ライの自覚は有無として、ミレイは特に意識をしたわけではなかったものの、あんな真顔で風に運ばれるように通った声が、耳まできちんと届いて、静かな空気と月夜は雰囲気がありすぎて、一瞬心が捕らわれてしまったのかもしれない。
どこか弟のように見ていたものもあってか、偶にスザクとまた違う意味の天然ゆえかさらりと言われる言葉に、ドキリとさせられる。
放っておけない危うさに以外に、別の危うさが見え隠れして、何ともいい難いほど、時より扱いづらくなる、困った迷子君を思い返して、ミレイはため息をついた。だか、口元は笑みを宿して、いつもの表情に戻っていた。
[留め]