軌跡のような明日に微笑んで

訪問者様と拍手をぽちっと押してくださった方、ありがとうございます。
ふたりぼっちの雨日の続きで、
ナナリー×ライです。
お話は、続きからになります。

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軌跡のような明日に微笑んで



「両端を折って・・・」

「こうか？」


　目か見えないのに指先で器用に折るナナリーに、ライが教わりながらも確認する。
　すると、ナナリーの手が伸ばされ、ライの折る紙に指先で確認し、そうだと首を縦に振る。


「はい。ふふっ」

「？」


　くすくすと顎に指を添えるようにして笑うナナリーに、ライが不思議そうに目を向けると、


「ライさん覚えのが早いですから、咲世子さんに新しい折り方を教わらないといけないかなっと思って」

「・・・それは、よく人には言われるが、僕がナナリーの楽しみを奪っているのなら善処しておくべきか」


　無表情ながらも大真面目に答えるライに、ナナリーは再び笑いながら首を横に振った。


「いいえ、違いますよ。ライさんは楽しみを奪っているのではなくて、その逆です」

「逆？」

「こうして、ライさんと一緒に折り紙作れるじゃないですか。それが、嬉しいんです」

「嬉しいのか？」


　ナナリーにやれることは限られる中で、ライは微笑む恋人に少しだけど惑う。
　出かけることが許されるなら、どこへでも連れて行こうという気はあるのだが、外の現状と学園内の安全を考えると強制に連れ出すのも気がひけ、今こうして部屋の中で彼女の好きなことをやらせるしか道はないライにはどこに喜びがあるのか不思議に思っていた。



続く