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コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
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★2009/06/06 (Sat)
今日は、プロポーズの日というので、やっと書けた。ノネットさんで、新婚さんごっこ。

ノネット×ライです。
お話は、続きからになります。

拍手を送る

 

あたらしい名前

 


 


 ソファベットに足を伸ばして、横になっているノネットに、近づいて、その傍で、見るようにして、ライは顔を覗かす。
 

「ノネットさん?・・・あ」

「・・・」

「寝てたのか」

「・・・・」


 スゥスゥッと寝息が聞こえる程度で、胸が規則正しく上下する。
 上着だけは、脱いだままで、仕事帰りだと言える格好のまま、ベットではなく、こんな場所で寝ているのを、どうするかと考える。
 ノネットを運べないほど力がないわけではなく、単に、その拍子に起こしてしまうのは、なんとも悪い気がした。


「ノネットさん」


 さん付けではなく、名前で呼べといつも言われるのだが、いざとなるとなかなか言葉に出せないもので、意識をしていないといつものさん付けの呼び名に戻ってしまう。


「僕は、いったい何ができるのだろう」


 ギアスが暴走して、戻る場所もなく、一人何も言わずいなくなろうとしていた時に、偶然にも遭ったノネットに、引き止められた形で、そのまま些細なあがきさえ許されず、こうしてノネットの故郷までつれてこられた。
 そうして、僕を知らない人達が其処にいて、不可解な力を持っているというのに、ノネットは、まるで気にしていないかのように、そのことにあまり触れようとはしない。
 何故かと聞けば、

『話す時のお前の表情を見てれば、わかる。だから、無理強いはしないが、あの時のように身体に何か変調が出た時は、隠さず、私を呼べ。止めてやる。私のパンチはお前には有効らしいからな』


 そう言って快活に笑う、ノネットはライには、どこか甘いようで、懐の広さから、その性格からか、自然とライも気を許してしまいそうになる。 だが、これ以上、ノネットには、心配かけたくないという感情が、ライの甘えに歯止めをかけ、お世話になっている分、僕にも出来る事はないかと余計なことを考えてしまっていた。
 何かしようとしても、メイド達が図ったように、ライの出来そうなことを奪っていき、

『いけません。ライ様。これは私達の仕事です。貴方は此処で暮らしている身で、ノネット様の大事な方であることをもっと自覚するべきなんです。さぁ、お部屋に戻って、もっと自分の時間を大事にしてください』

と庇護される始末だ。
 けれど、記憶探しと軍人としての戦いと学園での生活以外に、趣味という自分の時間を持ったことがあまりないライには、何もしないという時間は物凄く居心地が悪かった。だから、読書をしたり、散歩をしたりと、忘れかれていた穏やかにのんびりとした日を幾つか過ごして中、ノネットにふと言われた言葉が印象的だった。


「私の姓にならないか?」

「えっ?」


 それがプロポーズであると知ったのは、数秒。
 椅子に座ったライに、向き合うようにして、ノネットは膝の上に両手をついて、手を組むようにして、ライを見つめる。
 口元は普段のように少し上がったものだけれど、瞳はえらく真剣な輝きを秘めていた。


「幾つかお前を通してみてきたものがある。ライ、お前は、まだ力におびえ、人を避けてる。此処につれてきたのは、お前を空に閉じ込めておきたいわけではなかったが、なかなかうまくいかないものだな」

「・・・それは、僕が自分で決めたことで、貴方に非は」

「そう、それだ。そうして一線引いてしまうのは、お前の悪い癖だな」


 見抜かれている。嘘をつこうとしていることに、けれど、距離をとるのは、あのギアスの力の怖さを知っているゆえに、一度はかからなかったものの、またそうならないとも限られない。時折、暴走しそうになる力の制御が、自分の力に及ばないところがあり、だからこそ、ノネットを些細な言葉で、ギアスの力に巻き込みたくはなかった。


「私が自分の家だと思っていいと言っても、どこか他人行儀だ。無理もない、お前は、家に居候と言う形で今に至ってる。それで、お前との事を私なりに考えて出た結果。・・・お前にその気があるのなら、私の姓になってみないか?」

「えっ」


 言われるとも思っても見なかった言葉に、ライは、戸惑う。


「名前しかない。お前に唯一やれる言葉はこれぐらいだ」

「・・・」

「姓を貰う。それに頷くならば、お前は婿養子となるわけだ」

「僕が、ノネットさんと、ですか?」

「何だ。もっと若い方が良かったか?」

「いえ、ノネットさんの方こそ、そんな大事なことを僕で決めてもいいんですか?。貴方は一時的に僕が気になっているだけなのではないですか、貴方にそうした迷いをさせているならだとするなら、貴方の前から去ります。だから、もっとちゃんとした相手へ今の言葉を言ってください。ノネットさんの幸せは僕も望んでいるのですから」

「望んでいるか。ならば、ライ、お前は肝心な事を忘れているぞ」


 見上げたライの顔を両手で頬を覆うようにして、ノネットの顔が近づいたことに気づくのに遅れ、唇が触れ合ったことに驚く。


「ノネットさん」

「いろんな奴にあってきたが、お前ほど惹かれたものはない。お前の意思で私を選んだ時のように、私に預かるなら、お前の最後まで預けてみる気はないか。ライ」


 ライを覗き込むように見た瞳は、ふと偶に見せる温かく見守る優しい瞳ではなく、目を細めた色は、熱情を帯びて、其処に女性らしさと特有の艶ぽさがあって、どきりとライの鼓動を熱くさせた。


「・・・どうした?」

「僕は知らなかったんだって、自分の中でくすぶってた気持ちが何か、ようやく気づかされて」

「それは?」

「此処に来た当初は不安は確かにありました。このままでもいいのかと迷いもありました。けれど、此処での生活と此処で暮らす人達とそれから、ノネットさんとこうして住むようになって、少しずつ感情のままに流されて、優しい時間をもらい此処での生活を慣れていったのは、貴方によるものだと思い知って、過去を以前の事を忘れてしまいそうになったことに、自分を責めて、けれど、それを跳ね飛ばすほどの明るさが貴方のそばにはあって、心の中に自分でも気づかなかったものに、それが何かわかったときには、ノネットさん、貴方にちゃんと言うべきでした」


 溢れ出すようにそう言って、ライは、下を向いた視線をノネットへと戻して、緊張した面持ちで、息をついて一瞬目を閉じるようにして。静かに真剣な瞳を向けて言った。


「僕は、いつの間にか、貴方を好きになっていたんです」


 驚いたノネットの瞳が、笑みを浮かべるようにかたどって、


「好きに、あははっ!」

「可笑しいですか?」

「いや、互いに気持ちは同じなのに、それすら気づかず、此処まで遠回りしてしまったことに、我ながら情けないと思ったら、可笑しくなってな」

「・・・確かに、遠回りでしたけど」

「まぁ、いいさ。これから、お前は私を知っていくんだ。私もお前のこれからを知っていく。それで今までのは破算でいいじゃないか」

「知っていく」

「ああ、だがな、言ったからには戻れないぞ。男に二言はないと言うことを、この目にさせてもらおうか」


 あれから、今日まで、続いている。
 あの屋敷でも十分だと思っていたのだが、ノネットは違うようで。


「馬鹿を言え。昨日までのお前は捨て、私の姓になったのだろう。共通の姓を持つということは、共に暮らすことでもあるが、あのままいればお前との距離は変わらないことを思い知った。だから、新居を探しに行く」


 多少強引ではあるけれど、それが嫌といいたいわけではなかったので、ライは笑った。


「まだ笑うには早いぞ。何も出来ないと嘆いたからな、これからは私のために、家事掃除と動いてもらうのだから」


 そう言って、歩いていくノネットは、女性であるけれど、勇ましい強さがあって、ライはその後に続きながら。


「何もやることがないよりは、それがいいですね」

「ほぅ、では、十分にこき使ってやろうか?」


 そんな冗談まがいな言葉に、ライはまた笑いそうになった。
 そうして、新たな新居を見つけて、二人の生活を始めて、季節を幾つか過ごした。



「ノネット・・・」


 そっと顔を近づけて、息が触れたことで、無意識の自分の行動に戸惑うようにして、ノネットと距離を置いた。
 寝顔を何も言わず見つめて、そっと立ちあがろうとしたのだが、誰かの手が手首を掴んで引き寄せられた。

「名前は合格だ。だか、何もしないと言うのは、なかなか寂しいものだな」

「っ!」


 ノネットに覆いかぶさる体制になったことに、気づいて、退こうとするけれど、小さく笑ったノネットが、挑発的に目を細めて、それを阻止する。


「どうだ。見下ろしてみる感じは」

 
 妙なところで、力強くて、逃げられないことは知ったライは、溜息をついて、


「いつから、起きてたんですか?」

「いつから、とは?」


 掴んだ力が緩められ、ようやくノネットから、退きながら、


「寝たふりですよね。目覚めたばかりにしては、反応が早すぎる」

「よく見てるな。途中から、気づいて起きたといえば、寝たふりといえるな。少しからかってやるつもりだったのだが」

「からかう?」

「ノネットっと、恥じらいもなく呼ぶ声が、どうしても聞きたくなった」

「それで、寝たふりを?・・・悪趣味ですよ」

「フッ、私は仕事で疲れも残ってはいるが、気を遣うばかりで、あまり相手にされないのも、悲しいだろう」

「そんなつもりは」

「わかっている。だから偶に、ライ、お前を甘えさせてみたくなるのだ」

「其処までしなくとも、十分に」

「まあ、まだ時期が早いかも知れんな」

「?」


 不思議そうにしたライをそのままにして、 起き上がって背中を向けて歩いたノネットが、ライを振り返って言った言葉に、ライは、照れたように頬を赤くして、押し黙る。


「しかし、少しは本能に従って、押し倒すくらいの勢いは、持つべきだぞ。ライ」

「なっ?!」


 ライの反応に笑って、部屋を出て行くと、残されたライは、力が緩んだようにして、ソファベットの背にもたれるようにして腰掛ける。
 ノネットは、途中で起きたと言ったが、もしや、最初からなのではと確信を持って、ライは、今更ながら自分の行動に照れていた。
 あのまま、歯止めなく進んでいたら、どうなっていたのだろうっと、心配を抱きながら。


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