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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
酔っているから言えるんだ
「ライ、ただいま」
飛びつくように、後ろから、首に抱きついてきた、金髪の男に目を向ける。
「ジノ、また飲んできたな」
「ははっ」
吐く息から、僅かに酒が匂って、ライはため息をつく。
「はぁ、とりあえず、腕をのけろ。料理が出来ないだろ」
ばしばしと軽く首へとまわされけたジノの腕を叩くと、
「んー」
肩に顔を埋めたまま、重みが増すだけで、退く気配がない。
「ジノ、頼むから、こんなところで寝るなよ」
「料理なら、外食でも十分じゃないか」
「外食はまだの機会でもいいだろう」
「偶には、気分転換にいいと思うのだが、まぁ、ライの手料理も悪くはないけれど」
「それは、ありがとう」
不意に腕の力が緩んで、
「ああ、そうだ。ライに、おみあげ」
目の前に回された、ちいさな紙袋を受取って、今度こそ、腕から逃れて、行き場のなくなったジノは、床に片方は、立てるように、片方の足を投げ出すようにして座る。
「何だ?」
「オーデコロン。それつけて、いや、俺がつける」
「何言ってるのか、わかっているのか、ジノ」
隣で、しゃがむようにして、ジノに声をかける。
「わかってる」
ライの手首を捉えると、そのまま自分に引き寄せるようにして、腰を捉えた。
「ジノ、まだ酔っているのか」
「いや、ちょっとは醒めてますよ」
「なら」
大丈夫だと立ち上がりかけたライを再び、引き戻す。 まだ、コンロの火はついたまま、背中越しにぐつぐつと煮る音が聞こえて、包丁も切る途中であるけれど、ジノのその手が、捉えたまま離してはくれない。
「ジノ、いい加減に」
続く言葉は、顔をあげたジノの真剣なブルーの瞳とあって、途切れた。
「やっぱり、私の居場所は此処だな」
ライの肩に、顎をのせるようにして、抱きしめられ、甘えたいのか、一人称が、俺から私に変っていることに、気付いたものの、抱きしめる力が強まるばかりで、ライは何かを察して、今度は、それを振り払う事もなく、背中へと回した手で、あやす様に叩いて見せた。
「どうした?」
「……」
「話がしたいのなら、料理が終わってからでも、聞こう」
「意外と、冷たいだな」
「それを選んだのは、ジノ、君だろう」
「そうだった、な」
力が緩んで、起き上がると、ジノも後に続いて立ち上がるかと思えば、そうではなかった。
「大丈夫か」
「まぁ、自覚するくらいには」
ライは、コップを手にとって、水を入れると、それをジノへと手渡す。
「飲んでおけ。幾分か、マシになるだろう」
普段ライからの甘えは残念ながら少ないにしても、やはり、相手には甘いらしく、それを改めて知って、自然と笑みを漏らして、ジノは、感謝の言葉と共にコップを受け取る。
そうして、言葉はなくても、目と雰囲気が、優しさをもってジノに向けると、再び、背中を向けて料理を始めた。
その姿を見た後で、目線をコップに落としたジノは、それに口をつけ、冷たい水を喉へと流し込むと、しばらく、ライの姿を目で追う。
こうして、此処に座っているのだが、邪魔として扱うのではなく、偶にライから視線を向けられるだけで、料理作りに励んでいる。
不意に、自分のいないときも、こんな風なのかと思う。
帰宅するとライがいて、自分がいて、二人を無視して、時間は動いて行く。
それが、いつもの日常であるけれど、二人でいるとき以外には、どんなふうに過ごして、どんな表情を見せているのかは、どちらも知らない。
ただ、この空間と、想いが、共有する事だけは、忘れてはいない。
「ライ」
「?」
「愛してるよ」
「何だよ、突然。まだ、酔ってるのか」
笑うように返されたライに、ジノは、起き上がって、
「ん、酔ってるかもな。ライに」
「…っ」
面食らうライに、笑って、「ごちそうさま」と言って、空になったコップを置いて行くと、そのまま部屋へと行ってしまった。
残されたライは、酒ではない、熱が移ったのか、確認するように微かに染まった頬を擦るようにして、
「卑怯だな。君はそうやって、不意打ちに言葉を残して、勝手にどこかに行こうとする」
呟いた言葉をジノは、知らない。
[留め]