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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
それは一種のテロリズム
青月の夜から、誓ったからといっても、何が変わるものでもないと思っていたのだが、普段の学園生活はいつもどおり。ただ、一つあるとしたら。
「どうした?」
「いや、今更ながら、こうして二人きりで食事をするというのは、あまりなかったなっと思い返していた」
「確かに、今更だな。だが、これからは変わることは多々あるだろう」
「?」
不思議そうに見つめ返すライに、片手を持ち上げた其処には、風呂敷が四角い形どるように包まれて、取っ手となった結び目にルルーシュの手が掴んでいた。
「これを食べることがお前の役目にもなる」
「これは、お弁当?」
「ああ、お前の食事について、事前にこちらで調べさせてもらったのだが」
「調べた?」
「それでわかったことだ。お前の食生活についてだ。良くて、食堂。そして、栄養バランスが偏る売店、悪いところでは、何も食べてない時もあると聞いているのだが、違ったか?」
ルルーシュから弁当を受け取ったライは、何故お弁当なのかと思ってはいたが、自分の食事については自覚はあった。
「・・・最低限の食事はしている」
「だとしても、俺のパートナーとなったからには、健康面も配慮すべき点だ。よって、これから、栄養面も含めて、俺が作ることにした」
「それで、弁当を?」
「そうだ。だから、これからは、お前も食事の面で俺の管理下に入ることになる」
弁当の意味は理解できたが、しかしと、考えたライは、
「君は、ナナリーの食事以外でも、忙しいのではないか?。僕にまで手を回すのは・・・」
「それについてだが、ナナリー以外に一人作り手が増えたとて、別段その事に支障はない」
そうして、横顔を向けたルルーシュの頬が僅かに赤みを指していることに、ライは気づいた。そして、渡された弁当箱の中身を、見て、
「これは、僕のために作ったものなのか?」
ルルーシュからの返事はなかったが、それが答えのような気がした。
頬の赤みはひかぬままに、黙々と自分の弁当を食べ始めるルルーシュを見てから、再び、手に持ったままのもう一つのお弁当を見たライは、優しく瞳を笑うようにして呟く。
「ありがとう。男にもらったのは、初めてだ」
耳に入れたらしい、ルルーシュがゴホゴホと突然咽たのか咳をして、近くに置いてあった飲料水の入ったペットボトルへと手を伸ばし、水で流し込んだ。
「大丈夫か?。ルルーシュ」
「っああ・・・・それよりも、見てるだけではなく食べてからが本当の食事というものだ。俺に構わず、食事を始めろ」
確かに、男が男に弁当を作ったり、それをあげたりする光景は、ライ達の周りには見られない光景ではあるが、見てるだけでは昼休みの時間が経ち弁当の温もりも落ちていくばかりであると理解して、ライはようやく、いただきますと口にした後で、箸を持って弁当につけた。
無言で一口、口の中に入れるて噛む。その繰り返しを数回したところで、ルルーシュのほうが話しかけてきた。
「味のほうは問題ないと思っているが、何かあるのだとしたら、善処しよう」
ナナリーがいる頃から随分と料理の腕が上達している事でルルーシュ自身には、不安要素はないのだけど、人には味の好みもある。ライが好む味を出来れば知っておきたかったのだ。無論、苦手な味も其処に入るのだが。
「ん、ああ。うん、おいしいよ。弁当を食べたのは二度目だが、ルルーシュのは、家庭的な味だな」
「二度目?、他は誰かから」
「女の子からだ」
知っている限りで女の子というと、限られる。だが、知らないところでルルーシュの面識となっていない女の子に貰った可能性もあると、考えたが見知らぬ女の子から受け取るほどライは軽い性格ではない。その真面目な優しさを利用してだとしたら、色々考えられるが、その相手は誰かと聞きたいよりも、ルルーシュの口から出たのは、
「・・・では、今日限りで、それをやめておけ」
「弁当を受け取るな、ということか?」
「そういうことではない。俺の弁当がある。だから、他から貰う必要はないということだ」
「何故だ?」
「お前が俺の弁当で空腹を満たしているときに、他の弁当を仮に貰ったとして、食べきれず残しでもしたら、もったいないだろう。それに、過度な摂取は胃に負担がかかる。だから、止めておけといってるんだ」
「そんなに僕は小食な方ではないと思うが、確かに、せっかく貰ったものを食べ残してしまうのは、失礼にあたるかもしれない。今度から、貰うことがあるとしたら、断っておくことにするよ。君の弁当があるということで」
「いや、それは言う必要もないことだ」
「どういうことだ?」
「万が一にも、会長やおしゃべりなリヴァル、もしくはシャーリーの耳にでも入ったらと考えれば、ライ、お前にも大方予想はつくだろう?」
それを容易く脳裏に思い浮かべたライは、
「騒ぎになるな」
「そのとおりだ」
「では、何か嘘をついて?」
「そんなことをせずとも、俺と限定しなければ、問題ないはずだ。相手が予想を勝手につけるだろうから」
「そうか。必要以上に嘘をつかないだけ、それがいいのかもしれない」
「ところで、先ほど家庭的な味と言ったが、どういう意味なのかと聞きたいところなんだが」
「家庭的?、ああ、今は咲世子さんもいるけれど、君の家族は元はナナリー、一人だ。それはスザクと出会った頃から変わりはないだろう?」
「ああ・・・」
どこか遠くを見るライの俯し目がいつもより寂しげに見えた。其処に、消えてしまいそうな儚さを湛えて。
「その家族というものさえも、忘れてしまっている僕には、それは身近でなく程遠いものだ。だから、家庭の味と言うのは知識でしか知らない。君の食事だけでこう言ってしまうのも可笑しいかもしれないが、これが家庭の味なのかと思って、そんな言葉が出ていた。変だろうか?」
静かな物言いの後で、顔を向けたライに、その言葉に耳を傾けていたルルーシュは、ライの両肩を掴むと、
「ライ・・・」
「? ルルーシュ、どうしたんだ? 急に」
「決めたぞ。これからは、弁当だけに飽き足らず、夕食も俺と共にすることだ。そして、とくとお前に家庭の味というものを体感させてやる。何度でも」
ライの健気さに心打たれたかのように、ルルーシュの瞳はいつも以上に真剣だった。怖いくらいに。
けれど、ライはルルーシュの気遣いがくすぐったいだけで、拒むことはなかったけれど、
「強引だな、ルルーシュ。その言いたいことはわかるのだが、掴まれたままの肩が痛い」
それに気づくと、ライの肩から手を離したルルーシュが離れた瞬間、その表情が残念そうに見えたことに小さく笑った、ライは静かに言った。
「君の厚意は正直嬉しい。けれど、それはナナリーと二人だけのものだろう? 兄妹水入らずのところにまで入ってまで、邪魔をするわけにはいかない」
「確かに、今までの食事は、兄妹二人だけだった。だが、ライがそこに加わることで崩壊するような薄い関係ではない。それに、寧ろお前がいることでナナリーは喜ぶぐらいだ。まあ、ライがそれでも俺達と食事をすることを頑なに拒むなら、強制はしないさ」
ルルーシュから拒むことはないと知っていたはずだけど、恋人となってからも、遠慮の続くライへのせめてものの譲歩だった。
そう言ってしまえば、ライが首を横に振らないことを、ルルーシュは知っている。
「僕は君達の事が嫌というわけでは」
「なら、何を戸惑う必要があるんだ?。俺がお前に味あわせてやりたいと言っているのに、そういった配慮も好いているところではあるが、少しは自分自身に甘えるのも必要なことだぞ。俺とナナリーと其処にお前がいて、何の問題があるんだと俺は問いたい」
ライがいたからとて、ルルーシュの言うようにナナリーが喜ぶだけで迷惑なことではないとわかっていたはずだけど、記憶喪失と真面目な性格が人に甘えることをすることに躊躇い、距離を開けようとしてしまう。
無意識にそうしている為に、人に言われてそれに気づかされる。例え、その自覚があっても、条件反射のように言ってしまうのだ。
それに気づいて、反省したようにライは言った。
「そうだったな」
「考えすぎなんだ。お前は。其処も認めたとはいっても、時折、俺以上ではないかと思うくらいだ」
冗談を言うように目を細めたルルーシュに、微かに目を見張ってから苦笑したライは、
「ルルーシュの彼女になる人は、幸せなのかもしれないな」
「彼女はもう必要ないだろ。お前がその席にいるのだから」
「? 僕が彼女役なのか」
「違うだろう?。役でもない、恋人だ」
真面目な顔でそう言い返したルルーシュは、にやりと口の端をあげて見せた。それに、ついと視線を前へと戻したライは、眼を伏せたのは、照れ隠しなのか。
「わかってる。言ってみただけだ」
「・・・・それから、他にも言いたいことがある」
ルルーシュのほうへとライが顔を向けた。
「? 何だ」
「ライ、お前に自覚がないからと、見ない振りはしない。俺はそこまで優しくはないからだ。だから今此処で俺と誓え」
いつもの声でそう言って、ルルーシュの片手が伸ばされると、ライの髪を耳の後ろにかけるように撫で、耳朶に触れるだけのキスをする。そして、
「俺といたければ、迷うことなく俺を見ていろ。その分、俺もお前から目を逸らさない」
その、甘く低声を出すルルーシュが先ほどと向かい合うように身体を離すと、揺らいだ銀の瞳が凝視した姿が見られた。
それは、慣れてしまったというよりその言葉を真剣に聞いたのだろう。驚くことはなかったもののライの瞳が優しく細まる。見過ごしてしまうほどのライの表情はわずかな変化だが、恋人の贔屓めでなくとも、可愛く映るのは何故か。
ライを前にすると、時折笑わせたくなると言っていたミレイや、話すと安心すると言ったシャーリーのように、ライにはほっておけずに構いたくなる、そんな不思議な魅力がある事を最近より理解するようになった。
誰かの為に一生懸命になって動くライであるけれど、其処に自分への甘えが足りないのは、もう少し考えてもらいたいところである。
「妙な誓いだな。前半は良くわからなかったが、君の心配になるようなことはないと思う。礼拝堂であの日誓ったことは、僕の本心だ。それは変わらない。その気持ちは今でも此処にある」
トントンとライは自分の胸を叩いて見せた。大人びた容姿とは裏腹に、偶に出る子供っぽい仕草があるのを知ってはいたが、こういうこともサラリとしてしまうライに、不意をつかれたものの、それが嫌なものではなく、いとおしむ様に名を呟いた。
「ライ・・・」
「それに」
ルルーシュの胸を同じ要領で叩くと、ライは、
「君の此処にもその気持ちがあるというなら、再度誓う必要はないだろ」
目を細めながらライはそう言った。無表情の顔に少しだけ柔らかな雰囲気が出来た。
その言葉を聞いたルルーシュの瞳が、僅かに瞬きを繰り返すように一瞬開いてから、愛おしそうに目を、口元にも笑みを宿し、やがてそれらを愛おしいものへの笑顔に変える。其処には、ナナリーに向けるものとは違う感情があった。
それから、胸を叩いたライの手をルルーシュの手が上から包むようにして被さると、ライの瞳が少しだけ高いルルーシュを見上げて、ルルーシュがふっと笑う。
その手を掴んで離さぬままにルルーシュから顔を近づけ、もう一度キスをと触れそうな距離まで縮んだところで、足音と人の気配が近づいてきたことを知って、慌てて、二人は元の弁当を食べる動作に変わった。
二人に気づいたらしく、手を振るように近づいてきた人を見て、ルルーシュとライは顔を見合わせて、小さく笑った。お互いの慌てっぷりに。
[留め]