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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
主従恋人 「だけど可愛い主様」
ライと一緒にいると過ごしてしまう小さなことに気づいてしまう。
例えば、いつもは無表情で近寄りがたいけど、時折ふっと目元を細めるようにして小さく笑う表情だとか、喋るときの声とライがアーニャを呼ぶときの声とは違うところとか、触れたとき、ライの手は冷たいということ、けれど、その手が優しくアーニャの髪を撫でると、アーニャが暖めると、温もりを分け合って心でさえも熱くなる。
抱きしめたときの汗のにおいとシャワーから上がったときの香りは違うのだけど、ライから香るのはまた他の人と違うように感じてしまう。
表情、声、触れる手、匂い、その全ては、今はアーニャに向けられたものでなく、猫に占領されていた。
アーニャが出会った小さな子猫、雨の中その子猫の親を探した後に、もう一度日を改めて探しに出ては見たけれど、親は見つからず。
ミレイに説得して此処においてもらえるように頼んだのはライで、アーニャのほかに同居となった子猫は、今、ベットの上で遊んでいる。アーニャの持った玩具で。
アーニャには、兄妹的な親愛でもあるのか懐いているものの、ライには警戒してるのは何故なのだろう。人馴れしてないのかもしれないけれど、ライに懐いてしまえば、ライバルが増えるだけで困ることはない。
けれど、アーニャの表情は変わらないのは、ライの持つ安心感がそうさせるのだろう。それとも、ライの気持ちを信頼してるからなのか。
「アーニャだと、すんなり寄ってくるけれど」
触れようとしたライのほうを振り返って、子猫が小さな身体で大きく見せようと一生懸命に毛を逆立て威嚇をする。
「・・・僕は、まだ認めてもらえないんだな」
子猫相手に、真剣になってるライは、しょんぼりとしていて可愛いと思うのだが、口には出さないアーニャは、その光景を取り出した携帯カメラに撮った。いつもそうしてるせいか、ライからは何も言わない。時より困ったように複雑に笑うだけ。笑うといっても、他の人たちと同じくよくわかる笑顔ではないけれど、前よりはこれでも進歩している。
「追い出す気はないのだけど、君といるほうがいいようだな」
ベットへと手を下ろしてライからもう触る気がないことを知った子猫は、アーニャの元へと戻る。アーニャの主人がライであることなど知る由もなく、子猫はアーニャの手に擦り寄り、ゴロゴロとのどを鳴らして甘えていた。
「良かったの。此処に置いても」
「ミレイさんを気にしてるのか? 話はもう済んである。後は、アーニャがどうしたしたいかを決めて、それから、子猫がこの部屋を迷子にならないよう気をつけるだけだ」
頷いたアーニャは、淡々とした口調で、
「子猫は私が面倒見るけど」
雨で濡れたから子猫は、外にいたせいか汚れをつけていたのだが、洗い終わったその身体は綺麗な白い毛だと知った。その柔らかな猫毛を撫でると、雨の中にいたときよりはだいぶ暖かくなっていた。
其処には、あの時のような体の震えはない。
その子猫の背中を頭から撫でるようにして、アーニャの瞳が気持ちよさそうに微かに微笑んだのは、素直にアーニャに身を預けるように横になった仕草が可愛かったせいかはわからないけれど、あのままいつ見つかるかも定かではない親猫を雨の下で濡れたままに放置したままにしては置けなかった。
拾われたのは子猫だけなのだが、ライからしてみればアーニャも子猫と同じく拾ったような気分がしたのだ。それは、心で思うだけで口には言えないことなのだが。
それを読んだのか、子猫へと視線を落としたアーニャの瞳が、いつからかライを見上げていることに気づいた。
その事に、小首をかしげたライに、アーニャは口を開く。
「ライを守るのは、私だから」
恋人ではあるけれど、主従関係は忠実に守ろうとしているアーニャに、口を緩めて目を細める。
小さな笑いだけど、それがアーニャに向けられたものだと知って、それを独占するように、アーニャのほうから前のめりになってライへと口付けた。
今度は子猫に傷つけられないように、片手で子猫の背を隠して。
撫でる手がないことに不満そうに鳴く子猫の声に気づいて、近い距離で離れるが伏せった瞳でライを見るけれど、子猫がアーニャの膝元へとあがってきて訴える。
「にゃ!」
「アーニャを呼んでるんじゃないのか」
子猫に邪魔をされたような気分で、残念そうにアーニャから離れると子猫を再び撫でる動作へと戻ると、子猫がアーニャの膝の上で座っていた体勢から横になる。其処に、アーニャの気持ちを知っている様子はない。
子猫の撫でる動きと同じく、アーニャの頭に触れてくる大きな手があることに気づく。それに微かにライの匂いが鼻を掠った。
ついと見上げるとやはり隣にライの姿がアーニャの横に並ぶようにあり、その手はアーニャの頭を撫でていた。
「ライ」
黙ってとでも言うように、人差し指を口元に当てたライは沈黙したまま、子猫へと視線を向ける。ライの視線に導かれるように子猫へと視線を向けたアーニャは納得する。
身体を丸めるようにして横になったままの子猫は目を閉じていて、微かだが喉を鳴らす音が聞こえる。このまま眠るつもりなのだろうか。
動きさえも子猫に占拠されたようだ。邪魔者にしたいわけではないけれど、ライといる時間をこのままただじっとしておくのは、不満なのだと顔に出るよりも、撫でたライの手が不意に止まって、アーニャの頭がライのほうへと引き寄せられた事に僅かに驚きに開いた瞳をライに向ける。
「今は、静かにしてようか」
鼓動の聞こえるその胸に頭を乗せて、今度は違う独占に満足そうに頷いたアーニャは、目を瞑った。
「ライ・・・」
「・・・?」
「子猫に、嫉妬したの?」
それになんといっていいかわからず無言になるのは、図星なのか。アーニャは瞳を覗き込むように問いかける。
「違う?」
「子猫が眠ったら、言うよ」
困ったように微かに眉を下げて言ったライに、それを覚えて頷いたアーニャは優しく子猫を撫でたまま、同時に自分を抱きしめる体温を感じて小さく目を細めたのは、子猫とライ、一体どちらに向けてのものなのか。
「ところで、子猫の名前は考えたのか?」
ライへと移した視線を子猫に戻して、その毛並みを撫でたまま、自分と重ねて見てるのか、何かを思うような顔で、アーニャは口にする。
「この子は親元に返すからいいの。それに、名前を決めたら、愛着着くから。そうしたら」
「?」
「ライに構えなくなる」
淡々と感情の読めない口調でアーニャそう言ったが、ライには一瞬、表情が悪戯げに笑うように見えた。
「私の優先順位はライで、其処に変わりはいないから」
「アーニャ・・・」
「ライの愛情も全部独り占めできるから、そのほうがいいと思うでしょ?」
年下の告白についと視線を横に向けて伏せて、微かに頬を染めたライの大人びた見かけによらない可愛さに、小さく笑ったアーニャだった。
[留め]