出会いの日を覚えていますか

恋人のナナリー視点で
ナナリー×ライです。
お話は、続きからになります。

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出会いの日を覚えていますか



　目の見えない世界に何が見えますか？

　そう訊ねられて貴方はなんと答えるのだろうか。


　清清しい風を送り届ける風の匂いと朝の日差しを受けてキラキラと輝く草花。
　私は朝の光を瞼の裏に感じながら、目が覚める。

　だけど、私の目に映るものは何もない。

　空間を揺らす風の音、鳥の囀りが今の私に唯一聞こえる音。

　音と匂いだけが私の世界に広がるように存在する。
　特に人の気配や聴覚だけは敏感になって、意識しなくても感じ取れるようになった。


「あ、お兄様・・・？」


　今日だけいつもと少しだけ違う空気を感じた。

　何でだろうと思って顔をあげてみて、瞼の裏ごしにその人の持つ空気はとても清廉としたものに感じた。

　兄と同じ空気を持っているけど、どこが違う不思議な雰囲気をした男の人が目の前に現れた。
　普通なら見知らぬ訪問者に警戒してしまうけれど、不思議とその人には警戒心がわかなかった。


「君は此処の生徒なのか？」


　尋ねられたその声は、涼やかで心地よくて、私は思わず笑みを浮かべて答える。

　それが、私とライさんとの出会いだった。


続く