微熱上昇模様 後編

拍手ありがとうございます　頑張ります
前編の続きで、千葉×ライです。
お話は、続きからになります。

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微熱上昇模様　後編

 

「千葉さん？」

「!? 隊長!」


物悲しげに溜息をついたまま立っていた千葉に躊躇いつつも声をかけたのは、渡そうと思っていたライで、驚くように振り仰いだ千葉にライは首をかしげる。


「？　ああ、藤堂さんなら、先ほど」

「いや、私は」


　ばさりと落としてしまったタオルをライが拾い上げると千葉へと差し出した。


「どうしたんですか？　何か用事があるのなら、早めに追いかけたほうがいいですよ」


　以前にも朝比奈から話を聞いたことがあるらしく、自分に向けられる好意であることに気づかずライはそう口にした。
　タオルとライの顔と交互に見つめた千葉は、胸の前に手を引き寄せるように顔を背ける。


「よい。それは元からお前に渡すつもりで」


　そう口にしながらも、千葉の頬は自然と赤くなっていく。


「えっ？」

「それは洗濯前だ。今は少し汚いかもしれんが使ってくれ。服でぬぐうよりは汗を吸い取れるぞ」

「千葉さん」

「後で洗濯籠にでも戻しておけ。で、ではな」


　照れた様子で千葉はその場から逃げるように立ち去った。
　タオルを手にしたままライは視線を落す。


「どうしたんだ？。千葉さんは」


　洗濯前であるというわりに、タオルは汚れがあるところが、洗い立てのように微かに香りが鼻をくすぐり、ふんわりとした手触りがあった。
　
　千葉の気持ちと一緒に仄かな甘さを残すが、まだその想いに気づいていないライには渡したそれを意味するものを知らない。



[留め]