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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
正解だけがない
「にゃあ」
「・・・・」
ライとの誤解もあって、周囲に恋仲として認められた事に、スザクは驚いたけれど、不思議と嫌に思わなかった。
悪い噂ではないから、相手がライだからか、いろんな理由を自分の中で当てはめてみるけれど、しっくりくる答えがない。
いや、もしかしたら、気づいているけれど、その気持ちを知らないだけなのかもしれない。そうして考えていると、スザクは無言になっていて、
「・・・・・」
「スザク?」
ライに話しかけられ、はっと我に返ったスザクは、訝しげに見つめるライの視線に気づいて、
「どうしたんだ?」
「えっ、ああ、なんでもないよ。勉強に移ろうか?」
いつものようにけれど何かを隠すように笑うスザクに、ライはそうかッと言いたげに首を傾げただけで何も言うことがなかったので、スザクは小さく息を吐いた。
休日、ライの部屋で勉強会をすることになったのだが、ほとんどライに、勉強を教わっているのはスザクのほうだけど、それでも二人きりとなった部屋で並ぶようにして机で勉強をしているのは、ライが教えるせいか楽しいというか新鮮だというか、妙な居心地の良さを感じていた。
ところが、いつものように窓から入ってきたアーサーがご機嫌に尻尾を立てたまま室内に入ってくると、飼い主であるスザク、ではなく当たり前のようにライの足元へとやってくると、にゃあっと見上げるように鳴いた。
それに気づいたライが困ったように眉を下げて、アーサーの頭を撫でた後、再び、勉強に取り掛かろうとするのをアーサーは許さずまた主張するように鳴き声を上げる。
そうしたやり取りの後、ようやくライが仕方ないというようにして、その腕に抱えられて膝に乗ったアーサーは、嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしていた。
その際、アーサーの目には、スザクの存在は無視されてるような気がして、スザクはただアーサーとそれからアーサーを撫でるライへと交互に視線を向ける。
アーサー専用とでも言うように見せ付けられたスザクは、自然と眉を寄せる事すら気づかず、ライの呼びかけでやっと気づいたというところだった。
青月の夜から周囲の恋人として結ばれたという誤解は解けていないものの、まだ肝心の告白は二人ともしていない。
言い出すきっかけが見つからずノートをペンでトントンと叩きながら睨むスザクに、それが問題で悩んでいるのだと勘違いしたライが声をかける。
「どこかに解けない問題があるのか?」
勉強よりも、ライとの関係の問題を目の当たりにしたスザクは、顔を上げてライを見つめ返す。
「ライ・・・」
「何だ?」
今好きだというのも不自然だし、何より、ライがどう思っているのかわからない中で、告白をして避けられるきっかけを作りたくはないけれど、口から出たのはアーサーの事だった。
「アーサーは君に良く懐いてるね」
「そうか?」
「うん。僕は、何でかわからないけど、噛まれる事の方が多いから」
「ああ・・・」
偶に、大人しくスザクに抱っこされてるアーサーを見るけれど、大抵は噛み付いてるところを見ることが多い。
「どうしたら、君みたいに仲良くなれるのかなっと思って」
「…僕のようにはならなくても、十分好かれているんじゃないか」
「えっ?」
「飼い主はあくまでスザクで、僕よりも付き合いが長いんだ。噛み付くのが愛情表現なのか判断は難しいが、僕の知るところでアーサーが噛み付いてるのはスザクしか見たことがない」
「・・・」
「きっと、スザクが噛み付いても怒らないから、その優しさに甘えてるんじゃないだろうか」
「・・・・あ」
確かに、スザク以外の人で噛み付いてるのは見たことがないのだけど、アーサーの事もあるけれど、それよりも、付き合いの短いライがどう思っているのか知りたくなった気持ちがより強くなる。
「そうだったら嬉しいね。アーサーの事はまだわからないけれど、君には、僕はどう映る」
「どう映るとは?」
「えっと、初対面で会った時と今とで変わったことがあるなら、聞いておきたいと思ったんだ」
「・・・・・」
ライが少し考え込むような顔をしてから、
「・・・特に変わってない」
「そう、なんだ」
何が大きく変わったといわれるのはさすがに緊張したけれど、あっさりと変わってないといわれるのもなんだか喜んでいいものかと、自分でも知らぬうちに期待をしていたことにスザクは苦笑する。
「だが、しいて言えば」
ライがスザクから机へと向けて頭の中に浮かんだ気持ちを整頓するように続いた言葉を聞いて、スザクが目を向けると、
「出会った頃よりも、今のほうがいろんなものが見えてきた、というところだ」
「いろんなもの?」
「ああ、記憶喪失という不安定さから無意識に他人を遠ざけてきて、好意や優しさを見ないようにいや、気づいていなかった。僕自身の事でいっぱいで」
黙ってそれを聞くスザクへと、ライは机から俯いた顔を上げるように視線を向けて、
「周囲に受けいられ、僕自身もそれを受け入れたことで、気づかなかった思いや感情というものを理解していった」
「ライ・・・」
「きっかけは、此処であり、ミレイさんであり、スザクであり、それに関わった皆だ。それら全てが集まって、その結果が今の僕が出来てるように思える」
「それが、今の君に見えること」
「ああ・・・だから、変わったといえば僕自身のほうかもしれない」
ライの言葉を聞いてスザクは嬉しそうに口の両端を引き上げる。
「そうだね。頑なだった表情が和らいで、笑ったり驚いたりって表情見せるようになったのは、以前よりもいい変化で変わったのかもしれないね」
「僕は、そんなに顔が強張っていたのか」
「うん。心配に思うよりも、君の持っている雰囲気とか接する姿勢とか会長も皆も、構いたくなったんじゃないかな。君も僕達と向き合ったことで、互いに打ち解けていったんだと思うよ」
「そうだな・・・」
思い出したように、小さくだけど、目を細めたライは、今でも愛想がいいほうではないけれど、それでも少しずつライの表情を見せるようになったのは、スザクにとっても嬉しい出来事だった。
気になるのは、今でも変わらない。ほっとけないとは別に、ライの事を知りたくなった。
「ライ」
「ん?」
「青月の夜の事なんだけど、僕」
「にゃあ」
タイミングよく、ライの膝に丸まってたアーサーに遮られる。
スザクがアーサーへと視線を向けることも気にせず、アーサーは、ライを見上げて鳴いていた。
「スザク?」
強請るアーサーの頭を優しく撫でていたライが、沈黙したままのスザクへと声をかける。
ライの呼びかけに答える事もなく、スザクは、アーサーを見つめたまま考え事にふける。
今言うときじゃないのかもしれない。
誤解から、本当の絆を深める道はまだ遠いものだった。
飼い主の心情など知る由もなく、アーサーは再び鳴き声を上げ、撫でられたライの手にゴロゴロと喉を鳴らした。
生徒会のメンバーと関わってきた中でも、一番アーサーのほうがライと心の距離が近いように感じるスザクだった。
[留め]