もういいかい。

訪問者様、拍手を押してくださった方、ありがとうございます。
縫い止めて下さいこの気持ちをの続きで、
ナナリー×ライです。
お話は、続きからになります。

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もういいかい。



　ナナリーは、はっと自分の姿を振り返った。

　今の姿はいつもの私服ではなく、パジャマ姿で寝起きのままなので髪だってまとまってないかもしれない。
　兄や咲世子であるなら気にならないはずの格好なのに、どういうわけか恋人に前にさらけ出すと考えるだけで、ナナリーは頬に熱を集め羞恥を覚え始めるのだが、同時に会いにきてくれたことに喜びが大きく広がった。


「ま、待ってください!」


　慌てて声が裏返ってしまったが、ナナリーはどうしようと視線を彷徨わす。
　今は手伝ってくれる咲世子の姿がなく、自分ひとりでしなければならないのだが、足が悪いため満足に着替えも髪を梳かすこともできなかったものの、どうにか寝癖が出来てないことを祈りつつ手櫛して、口元まで覆うように布団を被ってから、部屋へと招いた。


「ナナリー」


　ほっと安心感を覚える涼やかな声と共に、愛おしい姿が扉の向こうから顔を出すのに、ナナリーは微笑む。


「今、咲世子さんは買い物に出かけているので、私一人だけなので。あっ、せっかくきてくれたのに、何もお構いできませんね」


　動けるのなら、ライのために紅茶を用意したいと思うところであるのだが、羞恥さはぬぐいきれず申し訳なさそうに言うナナリー。
　ベットへと歩み寄ったライは、じっとナナリーの表情を覗き込んで、手を伸ばすとその額に優しく触れた。



続く