指の隙間から零れ落ちたもの

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出し忘れの話で
ミレイ×ライです。
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指の隙間から零れ落ちたもの


　休日、雲の見える青空、少し肌寒さの残る季節に、租界の街を歩く二人の男女がいた。
　一人は楽しむように青い瞳を笑みに変えるミレイ、彼女の傍らには、静かに目を細めて話を聴いているライの姿があった。
　男女問わず思わず振り返るほどにその、微笑も含め形成される姿は、神に愛され与えられたかのように美しかった。

　寄るところがあると、離れたのはミレイで、すぐに戻るといったのでライは外で待つことにした。




　何やらバタバタと騒がしい外に、買い物を終えたミレイが店の外へと出て行くと、遠くのほうに人だかりが出来ていた。

　気にしながらも、待ち合わせてるライのいる場所へと向かうと、そこには誰もいなかった。
　待つことなく勝手にいなくなることはライの性格を知っているミレイには容易で、探すようにして周りを見回すと、視界の隅にやはりあの人だかりが目に飛び込む。


「何かしら？」


妙な胸騒ぎを覚えて、買い物袋を胸に抱きしめるようにしてその人だかりへと走っていった。





　それを見た瞬間、ミレイの手から買い物袋が落ちて中にあった物が地面に転がる。
　リボンで巻かれたそれはバレンタインに送ろうと決めたライへの贈り物で、転がりながら落ちた瞬間に中身のこぼれたチョコレートにヒビが出来た。
　カタンッとその落ちる音が、大きく反響するように聞こえたけれど、その光景に目を見開いたままミレイは動けなかった。

　服と肌を赤い血で染め上げたまま横たわるライの姿から、目を逸らせなかったからだ。



　妙な胸騒ぎを覚えて、買い物袋を胸に抱きしめるようにしてその人だかりへと走っていった。


続く