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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
目覚しい進化 第一話
星も月も出る夜空が覗く窓の一室。
部屋に明かりを灯したまま一人でチェスをしている男、ルルーシュは何やら思案深そうにしていると。
コンコンと部屋の扉をノックする音が聞こえ、ルルーシュは視線を向けると共に声をかける。
「誰だ?」
「ルルーシュ。僕だ。今から入ってもいいか」
聞くだけでうっとりとする涼しげによく通る声を耳にし、恋人であるライの訪問に否定の言葉も浮かぶことなく、ルルーシュは即答した。
「鍵はかかってないから、入れ」
肯定の言葉と共にライが扉を開けて中へと入ってくる。
ただそれだけの動作さえ気品が感じられ、背筋を伸ばして歩くさまを視界に入れたルルーシュは、表情には出ていないものの心中は賞賛の言葉を送っていた。
しかしながら、ルルーシュはある事に目が惹かれていた。
その華奢な身体を隠す制服姿はともかく、それ以外に何かを身につけるほどに所持品も増してや、真面目な性格ゆえに校則違反などすることもないライが今夜に限って、フードつきのコートを羽織っている。
まるで何かを隠すような普段することのない装いと背丈に違和感を覚え、自然とルルーシュは眉を顰める。
「何かあったのか?」
ルルーシュの何気なく聞き返す言葉に、ライの肩が僅かに震えたことを確認する。
テーブルを引き寄せるようにしてベットに腰掛けたままのルルーシュと、少し距離を置くようにしてライが隣に腰掛けている。
前かがみに、両膝へと手を組むようにして置いている姿にさえ、普段とは違った空気を纏っていた。
それだけでなく、空いたその距離感が二人の心の距離のように感じ、黒の駒を手にしてチェス盤へと置くと、ルルーシュはライのほうへと身体を向けた。
けれど、ルルーシュを見ることなく下を向けた顔は、フードと前髪に隠れてしまい、口元しか見えなかった。
「ライ」
青月の夜、互いに秘密を打ち明け恋人となった二人、友人だった時とは違う空気を纏いルルーシュがライの名前を口にしてから、
「・・・・・何があった」
表情に翳りがあるものの、その澄んだ銀の瞳を伏せるように地面を見つめるライの白い頬に触れようと、ルルーシュは手を伸ばし、普段聞かないような優しい声で尋ねる。
すると、部屋の照明でも見劣らない淡い光を浮かべた瞳と共に僅かに顔を上げたライが、その瞳にルルーシュを映すことなく、触れることさえ拒絶するように顔を背けながら、戸惑うように言葉を吐き出す。
「君に相談があって、訊ねてきた」
涼やかな響きを持った声は変わらないにしても、聞き違いなのか気のせいなのか、普段聞くよりも低く感じられた。
ルルーシュを拒むほどにライが何かで悩むとするなら、大半が自分の存在意義か記憶喪失もしくは他人の心配と、ルルーシュでも予想できる答えは幾つか浮かぶのだが、ライから出たのはそれとかけ離れる言葉だった。
「のだが、やはり今言うべき言葉は違うと思い直して此処へと訊ねた」
「・・・・」
気のせいと思った声は、やはり低く聞こえるのは、それほど気持ちが沈んでいるのかと思うのだが、やはり違和感がぬぐいきれてなかった。
今なら僅かにでもわかるようになったライの表情。
のぞいた口元はかみ締めるように苦悶を浮かべ、一体ライを悩ませている理由は何かと言葉を待つように、見つめ返すルルーシュへと、躊躇いがちにけれど決心のついた言葉でライが薄い唇を開く。
「ーーールルーシュ、僕と別れてくれないか」
「っ!?」
突然の離別宣言に、ルルーシュは我知らず息を呑んだ。
「・・・どういうことだ。ライ。あの日誓った言葉は嘘だったと、言うつもりか」
互いに信じあうとそう決意したあの夜の事を、なかったことにしたいのかと含ませるルルーシュの言葉には、怒りが感じられた。
ルルーシュは自分を嘘をついてる分、他人の嘘にも敏感となるのは、それほど他人への警戒が強いことはライも知っている。
だからこそ、試されることもあったけれど、ライとて最初の頃は人と距離を置いていた。
境遇は違えど、わからないものでもなく、ライは首を横に振って、
「いや、そうじゃない」
あの時の言葉はライの本心だと本人も認めているのにもかかわらず、今更離別したいという理由がルルーシュにはわからなかった。
「じゃあ、何だ。急に別れろとは、理由もなしに別れろと告げられ了承すると思うのか」
「すまない・・・」
本心からそう思っているとライの言葉に重みとなって出ている。
ルルーシュへの熱が冷めた。もしくは、他に好きな人が出来たとの理由はライの性格を思えば見当違いであるけれど、それ以外のこととで思い当たるとするならと、ルルーシュは思い切って口に出してみた。
「嘘ではないというなら、何故あの時に俺の言葉を受け取った。お前に理由があるとするなら、過去の記憶が、戻ったのか」
後半どこか切なさを滲ませるように口に出すルルーシュへと、ライは首を横に振る。
「記憶は以前のままだ。それに、君のことが嫌いでないから、言っているんだ」
憎むでも嫌いでもないのに、別れるとその理由もつけないライは、ルルーシュに顔を向けることはなかった。
「では、納得できる説明をしてもらおうか。ライ、俺の顔を見てから!」
拒絶するように開いた距離と態度に腹の煮えくり返ったルルーシュは、今までかぶっていたフードを下ろしてまでまで激情するよう立ち上がるのだが、ルルーシュの視線がライを驚愕に凝視して口を閉ざす。
ライの伏せた長い睫の下は、曇った銀の瞳が気まずく居たたまれない表情と共に窺い知れ、ルルーシュの黙り込んだ視線とで、二人の間に沈黙が下りた。
「ルルーシュ。今見ているそれが理由だ」
低くそれでいて凛と通った声が薄い唇からこぼれる。
ライは見た目にも光沢のある髪は柔らかで、サラサラとこぼれていくほどに手触りもいいその髪は普段よりも長く、その下に見える柳眉と目尻の切れあがった双眸は夜の月を思わせる銀色で、高い鼻梁とシャープな輪郭、華奢ながらに均整の取れた肢体は、ルルーシュよりも年上と呼べる年齢を感じさせるが、座っているだけだというのに見上げる視線は、威圧的に感じられた。
ルルーシュを見上げるライの表情はひどく真剣で、言葉にも誠意があった。
けれど、何かを秘めたように僅かに揺らぐ視線から、ルルーシュを思う気持ちが伝わってくるもので、しばし互いを見つめ合うだけだった。
続く