コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
★ カテゴリー
カテゴリー別に分かれていて、下に表示されるようになっています。
----LC----- ライ関連
----LC小説---- BL小説
----LC小説Ⅱ---- BL小説
----小説以外---- その他
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★ プロフィール
HN:
ナッキー観音
HP:
性別:
女性
趣味:
BLゲーム/男主夢小説/小説書き
自己紹介:
(女性主権のBL編)(BL編)ライ・受ラブ同盟
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
★ お気に入り
★2009/08/14 (Fri)
レンズ越しの現実
怖い人、それがライに抱いていた、ニーナの初めの感情。
人見知りするニーナには、それも当然なのだが、怖かったのはそれだけでなく、制服をきっちりとした着こんだ華奢な体躯、シャープな顎のライン、薄い花唇、整った鼻梁と柳眉、いつも何かを考えるように伏せられた瞳は、月の下ではより一層神秘的な移る銀色で、透き通るような白い肌とあって、より儚く見えて綺麗なのだけど、表情の乏しいライは人形のように見えて怖く映る。
けれど、周囲と関わっていくうちに彼なりに表情も出すようになって、雰囲気も冷たいものではなく、周囲の雰囲気と馴染んでいくように強張ったものがほどけていった。
だから、今は、ちゃんと話せるくらいまで至っている。
「ニーナ、ちょっといいか?」
一見とっつきにくい感じを受け、感情の表現が見過ごしてしまうほどに小さな変化なのだけど、話してみると普通の男の子変わらない反応が返る。
「はい、なんでしょう?」
「会長から頼まれたのだが、これから買出しに付き合ってもらえるか」
「買出し、うん、いいですよ」
にっこりとニーナが笑いかけると、安心したようにライの表情も僅かに緩む。記憶喪失なライには、覚えることがいっぱいあって、使い勝手のわからないものを見てどういったものか頭で考えて苦悩するライの表情は、可愛いと思うときがあった。
おつかいのように渡されたメモに記されてあるものを一つ一つ揃えていくようにして、寄り道もなく真面目な二人では、あっという間に買い物は終わってしまう。
元から身についた動作なのか、荷物を持つにしても扉を開けるにしても、女性を優先しているライは、今も買出しに付き合ってもらっている割には、ほとんどの荷物、とりわけ重いものを率先して持つ事をためらう様子もなくやってしまう。それが、あまりにさりげないので、見落としがちになるのだが、その綺麗な顔とそういった優しさもあって、密かに学園の女の子達が上がっているものの、ルルーシュと同じくらいに鈍く、またスザクと同等に天然なところもあるため、女生徒からの好意は本人には全く届いていない。
行きかう人の中にカップルの姿を見かけ、ニーナがそれに気をとられていると、隣を歩いていたはずのライの存在を見失ってしまい、きょろきょろと辺りを見渡す。
ニーナの後ろ、遅れた距離で立ち止まったライは、何かを熱心に見ていた。
それに首を傾げて、ニーナがライのほうへと歩み寄っていくと、ライの見ていたそれがはっきりと映った。
それは、サングラスと呼べるものだった。
「眼鏡にも、色つきなものがあるのか?」
「それは、眼鏡ではなく、サングラスです。目の上にかけるというのはどちらも同じですけどね」
くすくすと口元に手を当て小さく笑ったニーナが、そう言って教えると、ニーナへと肩越しに振り返ったライが、再びサングラスへと視線を移して、その中の一つを手にとってかけるように開いてレンズ越しを、上から眺めるようにサングラスの向きを変えながら、それを確認する。
「眼鏡よりは薄暗いものだな。これだと、目の悪い人にはあまりよくないのでは」
「確かに、ほとんどはお洒落のアイテムとしてかける事が多いですけど、眼鏡と同じく視力の調整にかけることもありますよ」
ニーナの話を聞きながら、納得といったように頷き返したライは、広げたサングラスを再び閉じてもとの位置へと返した。
「ニーナは、いつから眼鏡を」
「えっと、小さい頃から、少しずつですね」
「眼鏡をかける以外に、コンタクトレンズというものがあると聞いたのだが、そっちに変えようと思ったことはないのか」
「そうですね。眼鏡の方が今は慣れているし、やっぱり定着しているものだから、それに、今更眼鏡を外すのは抵抗ありますし」
「抵抗?何故だ」
「はい、可笑しいと思うかもしれませんが、素顔をさらけ出すのは恥ずかしいので」
「・・・・・」
「もっと自分に自信があったのなら、そんな風に思うこともないんでしょうけど」
「ちょっといいか」
「はい? きゃ」
眼鏡をはずされ、眼鏡越しではない顔を晒され、恥ずかしさに顔を手を覆うけれども、指の間から様子を伺うように恐る恐る目を開くと、マジマジとニーなの顔を覗き込むライを目の当たりにして、思わず瞑る。
「少しの間、じっとしててもらえるかな?」
「じっとって」
「顔を隠したその手をどけて、ただそこに立っているだけでいいから」
どうしてと問いかけるニーなの視線は、けして面白がってるわけでなく真剣な顔に、ニーナは隠すように顔を覆った手をどかすと、素顔をライの視線が向けられていることを知って、自分へと伸びてきたライの手を視界に入れて目を瞑る。離れたライの気配と、時折戻ってきて微かに触れるライの指に、身体を強張らせる事、数分。
「あの、いいですか?。眼鏡を」
「あ、ごめんね、もう戻すよ」
そうしてライの手でニーナに眼鏡をかけるのだが、頬を僅かに染めてライから受けると、ずれた眼鏡をニーナが自分で元に戻した。
けれど、眼鏡が戻ったというのに、視界が悪いし、違和感が残るのに、ニーナが気のせいかと思い、首を不思議そうに傾げた。
再びレンズ越しにライを見上げると、何故か店からでてきたライが、サングラスを手に取る際に地面へと置いた外の荷物を手に持って、
「買出しの用事は済んだが、ニーナが他に何か用事があるというのなら、今からそれに付き合おう。行きたいところは他にあるのか?」
首を振って、答えたニーナが歩き出すと、ライはその後に続くように歩いていった。自然と肩を並べて。
生徒会室の扉を開くと、待ってましたとばかりにミレイが駆け寄ってきた。
「お帰り~、それと、ご苦労様。ニーナも買出しにつきあってくれたのよね。ありがとう」
「ミレイさん、荷物は此処に置いて置けばいいのか?」
「あー、それは此処じゃなくて、部活のほうね。今から、メモしておくからそこに届けて頂戴」
「帰った早々、次のお仕事か」
「悪いわね。帰ったら、何か奢りましょうか?」
「いえ、僕にも出来ることがあればそれをするだけです。貴方にはそれでなくても色々お世話になっていますから」
「助かるわ~。ありがとう」
「では、行ってきます」
いってらっしゃいッ!と手を振るようにして見送ったミレイは、扉の向こうへと行ってしまったのを合図に、残り物の荷物の整理をしているニーナへと、意味深な笑みを浮かべて近づいていった。
「ニーナ~」
「? どうしたの。ミレイちゃん?」
「それは誰からの贈り物かしら~? 詳しくお話聞きたいわね」
「贈り物? 一体、何のこと?」
「しらばくれちゃって~、その眼鏡の事」
「眼鏡・・・?」
少しの間眼鏡と外したせいか、違和感があったのだが、恥ずかしい気持ちにごまかされて若干気のせいかと思っていたが、今こうしてレンズ越しに見る風景を確認しても、やはり違和感は消えていなかった。
ニーナの様子を見て、ミレイが今度はニーナから眼鏡をとりあげると、
「ミ、ミレイちゃん!?」
慌てて、取り返そうと手を伸ばすと、あっさりとミレイはそれをニーナの手をとって元に戻した。
唖然としたのは、すんなりと戻ってきたことではなく、手の上に置かれた眼鏡が普段つけているものではなかったからだった。
「え、これ・・・? 私のじゃない」
「やっぱり、気づいてなかったのね。買出しの後だったから、てっきりライからそれを貰って喜んでつけているのかと、いつの間にそんな進展があったのかと期待しちゃったわよ。残念ね」
「期待って・・・」
「前に入り込めないほど、二人でいい雰囲気を作ってたじゃない?。もしかしたら、私の知らないところで何かあったのかと思ったのよ」
「それは」
「それに、それは元から、ニーナの物じゃないのよね」
「うん」
「じゃあ、やっぱり、ライから贈ったものね。その証拠にさっき荷物を置いたときに眼鏡を忘れているもの」
テーブルへと置かれた眼鏡が見えるようにミレイが掲げると、確かにそれは普段からニーナのつけてる眼鏡だった。
それをニーナへと返すと、手の中の眼鏡が二つになった。
「もしかして・・・」
ニーナには、思い当たることがあった。
突然少しの間じっとしていてと言った時から、目を瞑っていた時、ちゃんとライを見てはいなかったけど、立ち止まった眼鏡屋で、ライは自分に合うものを探していたのではないかと、思い返してそれに気づく。
「何?」
「えっと、ううん、なんでもないよ」
「そう? ああ、そうそう用事終わったら、此処に帰ってくるはずだけど、この後どうする?」
「どうするって?」
「決まってるじゃない。ライの事よ」
「え、私」
「私は、この後用があって、此処を離れちゃうけど、ニーナはまだ此処にいるんでしょ? それを貰って気づいたのなら、何か言う言葉があるんじゃない?嬉しいなら素直に言えばいいし、返したいと思っているならそれもちゃんと言った方がいいわよ」
「そんな、返すなんて」
「後は、ニーナが決めることだから、私がいると話せないことも色々あると思うし」
扉の開く気配に振り返ると、ライが帰ってきた。
「ただいま、戻りました」
「噂をすれば・・・、じゃあニーナ、後、頑張んなさいよ」
ぽんとニーナの肩を叩いて、にっこりと笑ったミレイが扉のほうへと向かっていく。
「まっ待って、ミレイちゃん!」
生徒会室へと帰ってきたライと入れ違うように出て行くミレイに、ライが振り返る。
「用は終わったんだが、二人とも何かあったのか?」
「なんでもない。それより、ニーナがあなたに話があるみたいだから、ちゃんと聞いてあげなさいよ」
「えっ?」
「じゃあね~」
扉の隙間から顔を出すように手を振ってミレイが立ち去ると、生徒会室で二人だけとなった。
ニーナへと近づいたライは、いつもの眼鏡をしたニーナとその手に持っていた眼鏡を交互に見た後で、口を開くと、ライが喋る前にニーナが口を開いた。
「あの、これ、お返しします!。私には受け取れません」
「えっ・・・?」
「誤解しないでください。眼鏡を貰ったのは迷惑って訳じゃなくて、嬉しかったんですけど、私は贈り物をされるようなことは何もしてないし、それに」
「眼鏡は嫌ということか?」
「そんなことないです」
「じゃあ、貰ってくれないか」
俯いた顔を上げたニーナは、優しげに目を細めたライの穏やかな表情を目の当たりにする。
「気持ちなんだ。その、買い物に付き合ってくれた礼も入っているのだが」
そう言って、目を逸らすように伏せて、
「ニーナのレンズ越しじゃない素顔が、どんなものかと気になって、恥ずかしい思いをさせた侘びを入ってる。それが君の迷惑でなければ、受け取って欲しい」
照れるように口にするライに、伝心したようにニーナも頬を染め恥ずかしげに眼を伏せる。
普段恋愛だの浮ついた噂もない二人には、珍しく向かい合ったまま、沈黙していたのだが、嫌な空気ではなかった。
「気になって結局、来ちゃったけど、心配するようなことは何もなかったわね」
用があると言って出て行ったミレイが、戻ってきて、扉の隙間から中の様子を覗き込み、口を笑みに変えながら、そんなことを呟く。
「へぇ~、あの二人が」
「全然気づかなかったけど・・・、ちょっと、リヴァル押さないでよ」
「いや、押してるのは、シャーリーのほうだろ?」
「シー、バレちゃうじゃない。二人とも、此処で喧嘩しない」
ちょうど戻ってきたリヴァルとシャーリーは部屋に入る前に、ミレイに捕まり、同じように身をかがめて中の様子を探っていた。
「生徒会室に入りもせず扉の前で何をしているんだ?。会長、リヴァル、それに、シャーリーまで」
声のほうを振り向けば、不審げに眉をひそめたルルーシュが立っていた。
ミレイが口元に指を押し当ててると、同意とばかりにシャーリーが頷く。
「シー、今いいとこ」
「うんうん」
「なんなら、お前も見てみれば? 中、面白いことになってるぜ?」
中の様子を探っているらしい三人に、呆れながらリヴァルに誘われるままに、ルルーシュが身をかがめて覗き込んだ。
見られていることなど、露知らずニーナとライはいい雰囲気を作ったまま、話をしているのだった。
[留め]
怖い人、それがライに抱いていた、ニーナの初めの感情。
人見知りするニーナには、それも当然なのだが、怖かったのはそれだけでなく、制服をきっちりとした着こんだ華奢な体躯、シャープな顎のライン、薄い花唇、整った鼻梁と柳眉、いつも何かを考えるように伏せられた瞳は、月の下ではより一層神秘的な移る銀色で、透き通るような白い肌とあって、より儚く見えて綺麗なのだけど、表情の乏しいライは人形のように見えて怖く映る。
けれど、周囲と関わっていくうちに彼なりに表情も出すようになって、雰囲気も冷たいものではなく、周囲の雰囲気と馴染んでいくように強張ったものがほどけていった。
だから、今は、ちゃんと話せるくらいまで至っている。
「ニーナ、ちょっといいか?」
一見とっつきにくい感じを受け、感情の表現が見過ごしてしまうほどに小さな変化なのだけど、話してみると普通の男の子変わらない反応が返る。
「はい、なんでしょう?」
「会長から頼まれたのだが、これから買出しに付き合ってもらえるか」
「買出し、うん、いいですよ」
にっこりとニーナが笑いかけると、安心したようにライの表情も僅かに緩む。記憶喪失なライには、覚えることがいっぱいあって、使い勝手のわからないものを見てどういったものか頭で考えて苦悩するライの表情は、可愛いと思うときがあった。
おつかいのように渡されたメモに記されてあるものを一つ一つ揃えていくようにして、寄り道もなく真面目な二人では、あっという間に買い物は終わってしまう。
元から身についた動作なのか、荷物を持つにしても扉を開けるにしても、女性を優先しているライは、今も買出しに付き合ってもらっている割には、ほとんどの荷物、とりわけ重いものを率先して持つ事をためらう様子もなくやってしまう。それが、あまりにさりげないので、見落としがちになるのだが、その綺麗な顔とそういった優しさもあって、密かに学園の女の子達が上がっているものの、ルルーシュと同じくらいに鈍く、またスザクと同等に天然なところもあるため、女生徒からの好意は本人には全く届いていない。
行きかう人の中にカップルの姿を見かけ、ニーナがそれに気をとられていると、隣を歩いていたはずのライの存在を見失ってしまい、きょろきょろと辺りを見渡す。
ニーナの後ろ、遅れた距離で立ち止まったライは、何かを熱心に見ていた。
それに首を傾げて、ニーナがライのほうへと歩み寄っていくと、ライの見ていたそれがはっきりと映った。
それは、サングラスと呼べるものだった。
「眼鏡にも、色つきなものがあるのか?」
「それは、眼鏡ではなく、サングラスです。目の上にかけるというのはどちらも同じですけどね」
くすくすと口元に手を当て小さく笑ったニーナが、そう言って教えると、ニーナへと肩越しに振り返ったライが、再びサングラスへと視線を移して、その中の一つを手にとってかけるように開いてレンズ越しを、上から眺めるようにサングラスの向きを変えながら、それを確認する。
「眼鏡よりは薄暗いものだな。これだと、目の悪い人にはあまりよくないのでは」
「確かに、ほとんどはお洒落のアイテムとしてかける事が多いですけど、眼鏡と同じく視力の調整にかけることもありますよ」
ニーナの話を聞きながら、納得といったように頷き返したライは、広げたサングラスを再び閉じてもとの位置へと返した。
「ニーナは、いつから眼鏡を」
「えっと、小さい頃から、少しずつですね」
「眼鏡をかける以外に、コンタクトレンズというものがあると聞いたのだが、そっちに変えようと思ったことはないのか」
「そうですね。眼鏡の方が今は慣れているし、やっぱり定着しているものだから、それに、今更眼鏡を外すのは抵抗ありますし」
「抵抗?何故だ」
「はい、可笑しいと思うかもしれませんが、素顔をさらけ出すのは恥ずかしいので」
「・・・・・」
「もっと自分に自信があったのなら、そんな風に思うこともないんでしょうけど」
「ちょっといいか」
「はい? きゃ」
眼鏡をはずされ、眼鏡越しではない顔を晒され、恥ずかしさに顔を手を覆うけれども、指の間から様子を伺うように恐る恐る目を開くと、マジマジとニーなの顔を覗き込むライを目の当たりにして、思わず瞑る。
「少しの間、じっとしててもらえるかな?」
「じっとって」
「顔を隠したその手をどけて、ただそこに立っているだけでいいから」
どうしてと問いかけるニーなの視線は、けして面白がってるわけでなく真剣な顔に、ニーナは隠すように顔を覆った手をどかすと、素顔をライの視線が向けられていることを知って、自分へと伸びてきたライの手を視界に入れて目を瞑る。離れたライの気配と、時折戻ってきて微かに触れるライの指に、身体を強張らせる事、数分。
「あの、いいですか?。眼鏡を」
「あ、ごめんね、もう戻すよ」
そうしてライの手でニーナに眼鏡をかけるのだが、頬を僅かに染めてライから受けると、ずれた眼鏡をニーナが自分で元に戻した。
けれど、眼鏡が戻ったというのに、視界が悪いし、違和感が残るのに、ニーナが気のせいかと思い、首を不思議そうに傾げた。
再びレンズ越しにライを見上げると、何故か店からでてきたライが、サングラスを手に取る際に地面へと置いた外の荷物を手に持って、
「買出しの用事は済んだが、ニーナが他に何か用事があるというのなら、今からそれに付き合おう。行きたいところは他にあるのか?」
首を振って、答えたニーナが歩き出すと、ライはその後に続くように歩いていった。自然と肩を並べて。
生徒会室の扉を開くと、待ってましたとばかりにミレイが駆け寄ってきた。
「お帰り~、それと、ご苦労様。ニーナも買出しにつきあってくれたのよね。ありがとう」
「ミレイさん、荷物は此処に置いて置けばいいのか?」
「あー、それは此処じゃなくて、部活のほうね。今から、メモしておくからそこに届けて頂戴」
「帰った早々、次のお仕事か」
「悪いわね。帰ったら、何か奢りましょうか?」
「いえ、僕にも出来ることがあればそれをするだけです。貴方にはそれでなくても色々お世話になっていますから」
「助かるわ~。ありがとう」
「では、行ってきます」
いってらっしゃいッ!と手を振るようにして見送ったミレイは、扉の向こうへと行ってしまったのを合図に、残り物の荷物の整理をしているニーナへと、意味深な笑みを浮かべて近づいていった。
「ニーナ~」
「? どうしたの。ミレイちゃん?」
「それは誰からの贈り物かしら~? 詳しくお話聞きたいわね」
「贈り物? 一体、何のこと?」
「しらばくれちゃって~、その眼鏡の事」
「眼鏡・・・?」
少しの間眼鏡と外したせいか、違和感があったのだが、恥ずかしい気持ちにごまかされて若干気のせいかと思っていたが、今こうしてレンズ越しに見る風景を確認しても、やはり違和感は消えていなかった。
ニーナの様子を見て、ミレイが今度はニーナから眼鏡をとりあげると、
「ミ、ミレイちゃん!?」
慌てて、取り返そうと手を伸ばすと、あっさりとミレイはそれをニーナの手をとって元に戻した。
唖然としたのは、すんなりと戻ってきたことではなく、手の上に置かれた眼鏡が普段つけているものではなかったからだった。
「え、これ・・・? 私のじゃない」
「やっぱり、気づいてなかったのね。買出しの後だったから、てっきりライからそれを貰って喜んでつけているのかと、いつの間にそんな進展があったのかと期待しちゃったわよ。残念ね」
「期待って・・・」
「前に入り込めないほど、二人でいい雰囲気を作ってたじゃない?。もしかしたら、私の知らないところで何かあったのかと思ったのよ」
「それは」
「それに、それは元から、ニーナの物じゃないのよね」
「うん」
「じゃあ、やっぱり、ライから贈ったものね。その証拠にさっき荷物を置いたときに眼鏡を忘れているもの」
テーブルへと置かれた眼鏡が見えるようにミレイが掲げると、確かにそれは普段からニーナのつけてる眼鏡だった。
それをニーナへと返すと、手の中の眼鏡が二つになった。
「もしかして・・・」
ニーナには、思い当たることがあった。
突然少しの間じっとしていてと言った時から、目を瞑っていた時、ちゃんとライを見てはいなかったけど、立ち止まった眼鏡屋で、ライは自分に合うものを探していたのではないかと、思い返してそれに気づく。
「何?」
「えっと、ううん、なんでもないよ」
「そう? ああ、そうそう用事終わったら、此処に帰ってくるはずだけど、この後どうする?」
「どうするって?」
「決まってるじゃない。ライの事よ」
「え、私」
「私は、この後用があって、此処を離れちゃうけど、ニーナはまだ此処にいるんでしょ? それを貰って気づいたのなら、何か言う言葉があるんじゃない?嬉しいなら素直に言えばいいし、返したいと思っているならそれもちゃんと言った方がいいわよ」
「そんな、返すなんて」
「後は、ニーナが決めることだから、私がいると話せないことも色々あると思うし」
扉の開く気配に振り返ると、ライが帰ってきた。
「ただいま、戻りました」
「噂をすれば・・・、じゃあニーナ、後、頑張んなさいよ」
ぽんとニーナの肩を叩いて、にっこりと笑ったミレイが扉のほうへと向かっていく。
「まっ待って、ミレイちゃん!」
生徒会室へと帰ってきたライと入れ違うように出て行くミレイに、ライが振り返る。
「用は終わったんだが、二人とも何かあったのか?」
「なんでもない。それより、ニーナがあなたに話があるみたいだから、ちゃんと聞いてあげなさいよ」
「えっ?」
「じゃあね~」
扉の隙間から顔を出すように手を振ってミレイが立ち去ると、生徒会室で二人だけとなった。
ニーナへと近づいたライは、いつもの眼鏡をしたニーナとその手に持っていた眼鏡を交互に見た後で、口を開くと、ライが喋る前にニーナが口を開いた。
「あの、これ、お返しします!。私には受け取れません」
「えっ・・・?」
「誤解しないでください。眼鏡を貰ったのは迷惑って訳じゃなくて、嬉しかったんですけど、私は贈り物をされるようなことは何もしてないし、それに」
「眼鏡は嫌ということか?」
「そんなことないです」
「じゃあ、貰ってくれないか」
俯いた顔を上げたニーナは、優しげに目を細めたライの穏やかな表情を目の当たりにする。
「気持ちなんだ。その、買い物に付き合ってくれた礼も入っているのだが」
そう言って、目を逸らすように伏せて、
「ニーナのレンズ越しじゃない素顔が、どんなものかと気になって、恥ずかしい思いをさせた侘びを入ってる。それが君の迷惑でなければ、受け取って欲しい」
照れるように口にするライに、伝心したようにニーナも頬を染め恥ずかしげに眼を伏せる。
普段恋愛だの浮ついた噂もない二人には、珍しく向かい合ったまま、沈黙していたのだが、嫌な空気ではなかった。
「気になって結局、来ちゃったけど、心配するようなことは何もなかったわね」
用があると言って出て行ったミレイが、戻ってきて、扉の隙間から中の様子を覗き込み、口を笑みに変えながら、そんなことを呟く。
「へぇ~、あの二人が」
「全然気づかなかったけど・・・、ちょっと、リヴァル押さないでよ」
「いや、押してるのは、シャーリーのほうだろ?」
「シー、バレちゃうじゃない。二人とも、此処で喧嘩しない」
ちょうど戻ってきたリヴァルとシャーリーは部屋に入る前に、ミレイに捕まり、同じように身をかがめて中の様子を探っていた。
「生徒会室に入りもせず扉の前で何をしているんだ?。会長、リヴァル、それに、シャーリーまで」
声のほうを振り向けば、不審げに眉をひそめたルルーシュが立っていた。
ミレイが口元に指を押し当ててると、同意とばかりにシャーリーが頷く。
「シー、今いいとこ」
「うんうん」
「なんなら、お前も見てみれば? 中、面白いことになってるぜ?」
中の様子を探っているらしい三人に、呆れながらリヴァルに誘われるままに、ルルーシュが身をかがめて覗き込んだ。
見られていることなど、露知らずニーナとライはいい雰囲気を作ったまま、話をしているのだった。
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