小さな意思表示

敵同士よりもっと悪いの続き、記憶喪失のC.C.で
C.C．×ライです。
お話は、続きからになります。

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「ライと一緒に出かけたい・・・です」


　小さく囁く甘い声でC．C．が、ライの腕を掴んで、見上げた視線を向けて懇願した。


　今日は、休日ということもあって、いつもの街へと出歩くわけでもなく、室内にいたライはあることに気をとられていた。

　ベットの上に座り、以前自分のものだったチーズ君人形を興味津々と言った様子で、C．C．観察している光景が視界の隅に入る。

　ルルーシュとの口論の故、頭の打ち所が悪かったせいか、弾みで記憶喪失と言うべきか、過去へと退化してしまったC．C．。
　異様に懐かれてしまい、二人で相談した結果、部屋に同居することになって数日間。
　一向に戻る気配もなく、また自分自身も記憶が蘇る事はない現実に小さく息をついた。　ご主人様と呼び、上下関係のように遠慮深く警戒心のある態度は、徐々に緩和しているものの、以前の傍若無人さはなりを潜めて、子供のように無邪気に振る性格は、ある意味対応に戸惑うのだ。　


「・・・C．C．」

「はい」


　元は自分のものなのだが、ライからもらった物と認識しているらしく、気に入った様子で両手にチーズ君を抱きしめたままC．C．が振り返る。


「なんでしょう？」


　首をかしげ、わざわざ身体をライへと向けて、姿勢良くするさまは、一瞬元に戻ったようにも見えたが、其れはただの錯覚だとライは認識を改める。


「外に行きたい所はないか？」


　目をぱちぱちとさせ、C．C．は驚いた表情を見せる。
　此処から出るなと言っているのだから、外に連れ出されるとまではおそらく考えていなかったのだろう。

続く