前を向いて歩いていろ

ギアス寸劇　桃太郎パロ　第十二話　
主役C.C.　ライ　ナレ、リヴァル 猿、スザク　雉、ルルーシュ 赤鬼カレン
C.C.×ライよりです。
お話は、続きからになります。



前を向いて歩いていろ




神の声『戦闘が終わると同時に、スザクがライの元へと駆け寄った』


スザク「ライ!。大丈夫か!」


神の声『ライはスザクの声に顔をあげてみた。スザクはライが両手で支えた赤鬼カレンへと視線を落す。少しだけ疲労の見えるその顔。目を瞑ってぐったりとしていた』


スザク「彼女は、君がやったのかい？」


神の声『服や顔に僅かに飛び散るように血の痕と、切り傷以外に目立った外傷は見られなく、スザクからカレンへと視線を移したライは少し気遣いめいた優しさを含んだ久美を細めて静かに口にした』


ライ「案ずるな。気絶させただけだ。時期に目が覚める」

スザク「良かった」


神の声『安堵するスザクに一瞥して、近くにあった壁へと持たれかけるようにカレンを寝かせて、ライは立ち上がるのだが、その腕を強い力でスザクが掴む』


スザク「彼女は無事でも、君は傷ついてるじゃないか。その腕から垂れてる血が何よりの証だよ!」


神の声『仲間を思ってというよりも、慣れているのだろう。腕の傷を気にさえとめないライの姿が妙に痛々しく感じられ、何も出来なかった自分への苛立ちと短い間の中で過ごした間からでも、少しは心許したと思ったけれど、それはただの勘違いだったことに、誰も頼ろうとしないライに対しても悔しく思って、スザクは握る力を強める』


ライ「はぁ、スザク」


神の声『やれやれといったようにライはスザクを呼ぶ。しかし、力を緩めることも解こうとするのも、その鋭く強い意志を含んだ瞳をまっすぐに向けられ、ライは躊躇う。何故、そうまでして自分の傷を気にかけるのか。わからなかったから払いのけれなかったのだ』


ライ「先ほどのカレ・・・赤鬼の言葉であるように、僕は鬼の巣窟である此処にいたことだけは、戦いの最中に思い出している。君が僕の戦い方を見たように、ただの獣でも人間でもないという証拠で怪我などすぐに」


神の声『スザクはライの言葉を待たずに、自分の服を歯で切り裂いて、長い布切れとなったそれを、ライの腕に巻きつけていった。出血をとめる応急処置のようなものだが、手当てをしながらスザクはどこかライよりも辛い表情に顔をゆがめるようにして言うのだ』


スザク「かっての君の姿だとか僕は知らない。今の君だって君の主よりも僕は長い付き合いではないし、まだまだ知らないことは多々ある。なら、これからなんじゃないのかい」


神の声『スザクの言葉はライの胸に波紋を齎すほどに、穏やかで優しい響きが力強く届いた』


スザク「僕達には、これからがあるのだから」


神の声『目を見開いたライと目を合わせて口を緩めるスザク。C.C.はその光景をただ傍観していた。ライは先ほどの無表情を少しだけ和らげつつも、どこか呆れた物言いで口にした』


ライ「君は、変わった奴だな」

スザク「そうかい？　うん、でも、さっきの顔よりも今の顔のほうが僕は好きだよ」

ライ「っ!?」


神の声『虚を付かれたように、目を丸くし少しだけ照れたように頬を染め目線を逸らすライに、少しだけ笑うようにして傍を離れると、かわるようにしてルルーシュが傍へと寄ってきた。因みに、スザクとすれ違いざま牽制するように鋭く一瞥したことなどC.C.以外に見たものはなかった』


続く