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コードギアスLostcolors、美人のライ受け絶愛プログ。まったり自己満足で書いております。
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★2009/09/12 (Sat)
ノネットその後の話、メイドさん登場。
だが、
ノネット×ライです。
お話は、続きからになります。

拍手を送る

 

くらくらと 落ちるは夢か 現実か

 


 


 貴族らしく大きな西洋館に広い庭のある土地ではあったけど、街から少し離れたところにあって、周囲は住まいがぽつぽつと手に数えられる程度にあり、他は緑ばかり見渡す綺麗な場所だった。

 大きな二枚扉が開いたところで佇むようにライは、優美なエントランスホール、装飾を施した柱や吹き抜けの天井、ホールの上に続く広い階段に内装に目を見張った。


「何をぼさっとしている。早く、中に入れ」


 立ち止まっていても、ノネットを待たせるばかりだと、一歩踏み出すように前へと歩いていくと、室内に足音が響いた。それから、自然と足は進んで、ノネットの正面へと向かい合うように立つと、ノネットに緩く笑われた。


「お前は、心配性だな。私が言いといっているのだから、言葉で甘えていればよかろう」

「いえ、少し戸惑いを覚えだけで」

「何を戸惑う必要がある。私が連れてきたのだ。胸を張って、堂々としていれば良かろう」

「・・・・・」


 ノネットはにっこりと口の端を引き上げるように笑うと、不意に近づいてきた足音を聞いた。


「では、先へと案内させるとするか。後を頼んだぞ」


 ライの後ろへと声をかけるようにしたノネットに、ライも肩越しに振り返ると、整ったようにその場で一礼をする。
 ホワイトブリムとラインを強調させたディープブルーのロングドレスにそれにあったエプロン、白の靴下と黒の靴。メイド服と呼ばれる格好の女性が其処にいた。


「承りました。ノネット様」


 ノネットがそれを聞いて、小さく頷くとその横を通り過ぎるように下の階に続く廊下を歩いていった後姿にメイドが一礼する。
 呼び止めるまもなく、先ほどのメイドがライと正面に向き合い。


「ライ様、でよろしいでしょうか?」

「あ、はい。あの、ノネットさんは」

「ノネット様は、この度予定が入っておられますので、お会いするのは早くても夕食時になるかと思われます。その間、ライ様を館の案内をするようにと私が仰せつけられていますので、ご同行していただけますか」

「え、はい」

「それでは、こちらへとご案内いたします」


 メイドの後ろについてく行くようにして、館内部のさまざまな場所を丁寧に説明してくれた。それで、館内の事は少しずつわかっていたのだが、一つの部屋の扉の前で止まると、メイドがポケットから一つの鍵を取り出し、その扉の鍵穴へと差し込んで、扉を開けた。


「此処が、ライ様のお部屋でございます」


 淡い色の細かな細工を施したテーブル、椅子といった必要な家具が揃ってあり、その中には天蓋ベットがあり、部屋というにしては客人向けの豪華な一室で、それらを確認するように目を向けていたライだったのだが、庭の見える窓には白いカーテンがあったのだが、それを開いて空気を取り込むようにメイドが窓を開けたことにより、そっちのほうへと顔を向ける。


「此処は、客室ではないのですか。何処まで話を聞いているのかは知りませんが、僕は客人のはずはないですから、寝る程度にあれば十分です」


 眉を僅かに下げたメイドが首を傾げて、


「それは、困りましたね。私は、この一室を貴方様の部屋に変えると先日より伺っておりましたので、お部屋の掃除が行き届くようにと片付けをさせていただいたのですが、何か気に障るようなことがおあいなら、ノネット様にご報告させていただけけなければなりません」

「いや、そういうことではないんです。ただ、僕が使用するには、十分すぎるくらいで、どうしても

「この館内で、ライ様が所望する部屋というと、私どもの使う別館しか心当たりがありませんが、ライ様を私達と同じ扱いというわけには参りませんので、
ノネット様にご報告を入れておきますが、しばしこちらの用意した部屋でご勘弁ください」


 命令どおりに動いてるメイドにある程度の権限しかなく、あまり無理を押し付けても、困らせるばかりと思ったライは、


「・・・・わかりました」

「それから、貴方様は私どもが仕える側の方なので敬語は必要ありません、いつもどおりに話しかけていただけるとありがたいです」

「それは・・・」

「無理にとはいいませんが、此処では選別する為に必要なことだとご理解していただきたいのです」

「・・・・ああ、わかり、わかった」

「それでは、ライ様、こちらをご覧いただきたい」


 もう一つ服をしまう扉の前へと案内された。


「此処は?」

「こちらには、ノネット様が、ライ様にと預かりうけたものが置いてあります」

「中を見てもいいのか?」


 頷くメイドから扉へと視線を変えて、扉を開くと雪崩のように包装紙に包んだ箱が出てきた。それは、プレゼントの箱の山だった。
 唖然とするライに、メイドが崩れたそれらを拾い上げて、綺麗に重ねていくと、


「これをすべて」

「はい。ノネット様がご用意しました。ライ様に喜んでいただけるようにと楽しそうに選んでおられましたが、気づけばこのように大変多く場所をとるほどに至りました」

「・・・・」


 まいったなっというように額に手をつけたライは、メイドの視線に気づいて、


「ノネットさんには、色々と世話になっている。それはこれからも続くかもしれないが、礼は言っておこうと思う。確か、夕飯時には戻ってくると先ほど君から聞いたのだが」

「はい、そのように貴方様の言葉で申していただけると、ノネット様もお喜びになられると思います」


 贈り物を置いたまま扉を閉めたメイドへと、ライが口を開く。


「ああ、そうだな。君の案内もあったから、ある程度の場所は覚えられたから、迷えずにはいけそうだ。ところで、君の名前をまだ聞いていなかったのだが、訪ねてもいいか」

「はい?ああ、ご挨拶ですか、そういえばまだ教えてはいませんでしたね。ですが、私どもは、仕事上名はあってないような身分ですので、申し付けてくださればそれで十分なのです」

「僕の知り合いにも君と似た人を見たことがある。だからかもしれないが、君と同じ服のメイドが他にもいるのなら、呼び止めるときくらい、誰とわかるように名前を知っておきたいと思ったんだ」

「私どもは、こちらにあるノネット様の邸宅を管理しまたこうしてお客様をおもてなしするのが、義務となっている為、名前を呼ばれることは少ないですけれど、聞いた方は少なくはありません。貴方のように」


 正面に向かい合う形で、彼女は自己紹介を始めた。


「私の名は、ベルティユ・ダートと申します。ライ様の必要とあらばお申し付けください」

「ベルティユか。ああ、案内された場所も含めて名前覚えておくよ。僕は、ライ。こちらからも紹介はまだだった。よろしく」

 
 其処ではじめて、目を細めるようにしてベルティユが微笑んだ。無表情でライと同じように愛想笑いが出来ない女性で、冷たい印象があったのだが、言葉を聞けば、穏やかな物腰に感じた。だがそれも、表情に上手くごまかされると、見劣ってしまうのだが、こんな些細な表情がそうではないことを教えてくれた。




 案内された部屋は、大きな四角いテーブルがあり、其処には、細かい刺繍をあしらわれたテーブルクロスがかけられ、その上に、食器が決められた位置に椅子の前で並べられていた。
 入浴や着替えなどで時間をとったせいか、既に、ノネット一つの椅子へと腰掛けるようにして待っていた。
 ライが遅れたことを気にすることもなく、視線は別なものを捉えた。

「用意させた服ではあるが、似合ってるじゃないか」

「驚きました。山積みになるほどの贈り物をいただいたのは初めてだったのですが、気持ちは嬉しかったです。ありがとうございます」

「生活するにはある程度のものは必要だろう。貰って困るものを入れた覚えはないが、貰うだけもらって、後はお前の好きに使えばいい」

「これ以上、貰うだけというわけには」

「私はそれで構わぬのだがな。お前の気がすむのなら、そうだな。ライに何か頼むことがあるときは、私に付き合ってもらおうか」

「そんなことでいいんですか」


 目を僅かに開いたライを見て、目を細めるようにして頷いたノネットが、


「それよりもだ。館内を見回ったそうだが、感想は?」

「広い内装と手入れの行き届いた部屋は家具も含めて豪華なのは、見てのとおりでしたが、ノネットさんが僕の部屋と宛がわれた場所は、其処まで気を配る必要はないかと思いました。居候となる身の上なので、間違いなのではないかと」

「間違いとは?」

「一人使うに広すぎますよ」

「あれくらいが、此処では普通だぞ?。それにお前は一時的な客人と扱いは違うにせよ、ここに暮らすのは私と同意したのだ。私はお前を気に入ってる、生活を含めて面倒ごとは引き受けたつもりだ。だからこそ、あの部屋を与えた。だが、ライがもし、あの部屋に不満があるというのなら、他の部屋を手配するしかないのだが、どうする?」

「不満があるというわけでは」

「では、この話は終わりだな」


 テーブルに料理の盛られたお皿がメイドによって目の前に運ばれ、視線を感じて見ると、ノネットの方もライと同じ料理が並んでいたのだが、料理ではなくライを見てにっこりと微笑んだ。


「久しぶりの客人に此処のコックも気合が入っているから、いつもより料理の品が多い、余る事など考えず遠慮なく召し上がれ。味は、私の保証付きだぞ」


 液体の入ったワイングラスを持ち上げるようにして、ノネットが言った。
 
 スープを飲み干した後、次の料理へとフォークを手に取ったライが、食べたことのない味に驚き、それを味わう光景を見て、ノネットが食事を進めながら話しかけてきた。
 

「はじめてきたというのに、先ほど案内した彼女の名前を知るとは、はじめから気になっていたのか?」


 食事の手を止めたライが、眼を伏せるようにして、再びフォークを動かす。


「よいよい。若い男は此処では稀だから、メイド達もお前の事を珍しがって話しかけるものもこれから増えてゆくだろうし、お前もいい話し相手くらいにはなるだろう。またお前のところに理由をつけて、訪れるやも知れんが、悪く思わないでくれ。それから、一つ言い忘れておいた」


 その言葉に、ノネットの横に着くようにして立ったメイドは、ベルティユだった。ライと目を合わせると、会釈した。


「私の留守の間に何かあれば、彼女に申し付けてくれ。今日からお前の身の回りの世話を担当する。初めてのものよりも顔の知っているものがよいと思って、彼女に決めた。性格は見てのとおり真面目だ。紹介は、ああ、名前は既に聞いているのだったな」

「彼女が、ですか?」

「選んだのは、私だが、女性の方がいいだろう。それから、コレは此処の決められたやり方と思ってくれればいい」

「・・・・」


 拒否は出来ないと言われた様で、黙り込むライは戸惑うように僅かに顔を伏せると、ベルティユは、


「ライ様のご満足いただけるよう、私どもが精一杯仕えさせていただきます」


 通った冷静な声を聞いて、ライが顔を上げると、ベルティユは、少しだけ目を笑みに変えて、


「けれど、ライ様が身の回りの事など申しつける事があるのでしたら、それに従いますので、どうか、その辺はご安心ください」


 ライが拒否を示す言葉があるのなら、無理までして身の回りの世話をメイドに任せることにならないとベルティユがフォローをしてくれたのだ。
 ライは感謝の言葉を口にするだけで、拒否する言葉はなかった。ノネットの決められたことだとは言え、其処までしてもらうつもりはなかったのだが、これ以上気を遣わせてしまいたくはなかった。


 ノネットの会話を交えた食事を終え、部屋に戻ると、開かれたままの窓から外を眺めた。見知らぬ土地でも、空と月だけは変わらぬ姿で其処にある。
 
 ギアスが暴走したあの時、ノネットと出会ったことでこうした結果になるとは考えてもいなかっただか、不思議と後悔はなかった。
 
 此処から、再び新しい生活を始めることと、まだ見ぬ明日へと思いをはせて、考えを振り切るように窓を閉ざすのだ。
 
 月光は優しく、見守るように窓越しに部屋へと差し込んでいたのだった。

[続く]

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