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別プログは、テキスト中心。
主に、LCライ受けの二次創作小説と名前変換無の夢小説[銀魂おおぶりテニプリ]等を取り扱っています。
↑別プログにて ルルライ話追加しました。二次創作(コードギアスLC、君に届け、黒執事、おお振り、テニプリ、銀魂)&BLとNLのオリジナルストーリーなどまいぺーすに更新中
月も隠れる新婚初夜
シャワーを終えて、僅かに濡れた髪をタオルで拭くようにしてやってきたルルーシュは、自然と目が探すように追いかけて、テラスにいる、存在を見つけて名前を呼んだ。
長椅子に腰掛けて、本を読んでいたらしいライは、ページを捲る長い指先を軽く動かしただけで、ルルーシュの存在に気づく様子もなく本の中に没頭している。
結ばれても、相変わらずな愛しい存在を映して、ルルーシュの瞳が怪しげに細まり、口元も自然に上がる。
そうして、ライの元へと歩み寄るように、テラスに降り立つと、ようやく気づいたらしいライがパタリと本を閉じて、ルルーシュを迎えた。
闇に浮かぶ銀色のように鮮やかな存在を放つライの瞳は、夜空の月のように儚く美しい色を浮かべて、時に妖艶なほど人の目を引き寄せるそんな魅力を秘めていた。
それが自分を捕らえ映しているのは、気持ちを同じくしている以上に、優越感を覚えるのだが、その当人であるライには自分の容姿と他者の恋情に関してのどれだけの影響力をもっているのかの自覚がないのが困りものでもあった。
「何かあったのか?」
「何がだ」
「いや、嬉しそうにしているから」
近づいていくと、ルルーシュも月明かりに照らされ、濡れた黒髪が怪しく光って、ライとはまた違う空気を纏う。
ルルーシュの笑みに気づいて、そう言ったライに、そうかというように首を傾げて見せた。
それから、室内に移動することもなく、先ほど読んだ本の事、旅行の事と言った内容でライと談笑していくうちに、不意にルルーシュがライを呼んだ。
「ライ」
名前を呼ばれて、見上げたライに重なるように影を落とした。
乾いた音を立てて唇が静かな動作で離れると、二人の距離は僅かな距離を保ったまま。影を落としたのは、空も同じで、雲に隠れてしまった月によって、薄暗い空気となる。
「ルルーシュ?」
瞬くようにルルーシュを捕らえ凝視したままその綺麗な瞳を眺めて、ルルーシュは、静かに笑みのない真剣な瞳で言葉を漏らした。
「この後の予定は、どうする」
「どうする、とは」
言わずとも、ルルーシュの視線がチラリと室内を見やった後で、唇が声もなく言葉を紡いだ。
その意思表示だけで、合点がついたらしくライは、眼を伏せるようにして言った。
「旅行に来て、まだ日も浅いというのに、これからか」
少しその頬が赤いように見えるのだが、月の影に隠れてそれもわからなくなる。それに気づいてながら、ルルーシュは、
「気持ちに国境はないように、この場限りというわけでもないが、二人だけという絶好の機会を利用しないてはない」
「過去の事は身体が記憶していたとしても、同性相手の経験はないのだが」
過去の中に、仮に恋人もしくは、婚約者がいたとしても、それが男だったとは到底ライには思えなく、またそう言った付き合いがあったかどうかも今のライには、わからない。初めてかどうかは別として、今ある状況はお互いにないわけであるのだから、無理もないが、今や結婚という繋ぎで結ばれた二人にとって、戸惑いはあっても、なんら障害にもならないわけで。
「それなら、俺も同様だ。だからこそ、勉強のしがいがあるということだろう」
「勉強になるのか?」
「社会勉強と思えばいいだけのことだ」
「社会勉強・・・しかし、社会的な見方であれば、これは、解釈としては別な気もするが」
「だが、俺の世界には、必要となる知識だ。覚えておいて損はない。俺と共に歩むと選んだお前の考えが正しいなら、尚更だ」
「選択肢はないのか」
「無理強いはしないさ。だが、俺も気持ち的には余裕がない。そのこともちゃんと頭に入れておくことだ」
「同意することを望んではいるけれど、強要はしないということか」
「ああ」
「ルルーシュ・・・・正直、僕は戸惑ってる。緊張しているというのが正しいのかもしれない。だが、気持ちの上でできるか否かというよりも、確かめたいものはある。それでもいいというのなら、君の予定に僕も乗ろうと思う」
自分の考えを言葉に出すようにして、真剣に答えるライに、穏やかに目を細めたルルーシュの瞳はナナリーに向けるものとはまた違う優しさと見たことのない熱情を秘めて、ライの上にもう一度影を落とし唇を重ねた。
触れただけのキスから、息の触れるくらいの僅かな距離に離れて、無言で見つめあうと、音もなく重なる。
気持ちに出てか、行動が積極的になり互いを強く抱き諫めるのだけれど、唇を深めるには息が続かなくて、おおきく息を紡ぐ呼吸を二人でやって、何をあせっているのだろうと苦笑するように笑いあう。それから、一旦収まったかと思うと、耳元でルルーシュの低音が囁き落とされてから、ライが頷くように目を伏せて、少しずつ鼻で息をすることを覚えながら、口付けの深める時間の長さを少しずつ伸ばしていく。
それの繰り返しで、徐々に深まって行くと、地面に重なった影を色濃く作ったまま、ライの手から滑り落ちるように本がコトンっと、地面に落ちた。
それを知りながらも、ライの手が掴んだのは本ではなく、ルルーシュの腕で、シャツに皺を作り、またルルーシュのほうもライの髪に指を差し入れ、捕らえるように引き寄せる。
胸から込み上げてくる陶酔と相手にも聞こえそうな早鐘の鼓動を引き連れて、夜気にさらす冷たさを覚えつつも、触れたところだけ火照ったように其処だけ熱を繋げて瞳や頬にさえも移って熱を上げさせていくけれど、離れる気配はなかった。
雲からゆっくりと月が顔を覗かせる頃には、二人の姿は、室内へと消えていて、その間に入り込める影は一つもない事に気がつく。
あるのは、熱気と甘い雰囲気だけ、朝の光で眩しさを知るまで、二人の時間は夜の闇に解けていくのだった。
[留め]
配布元:TV